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『神様はパン派』

 中学生の頃、社会科の先生がこんな話をした。

 

 神様は人間を作るとき、パン生地をこねて窯で焼いたのだという。

 

 最初はうまくいかず、生焼けになった。


 白いままの人たち。

 

 次は火を入れすぎた。


 黒く焼けた人たち。

 

 そして三度目で、ちょうどいい焼き色になった。


 黄色い肌の人たち。

 

 神様はそこで、ようやく成功だと言った——そんな話だった。

 

 教室のあちこちで笑いが起き、誰かが言った。

 

「じゃあ俺らが成功例ってことか」

 

 先生は少しだけ間を置き、「まあ、そういう“たとえ話”もある」とだけ答えた。


  



 今、私は焼きおにぎりを食べている。

 

 表面はこんがりと焦げ、醤油の香ばしい匂いがする。

 

 私は、このくらいしっかり焼けているほうが好きだ。

 

 ふと、あの話を思い出す。

 

「なんでパンなんだろう?」

 

 ここでは米が主食だ。

 

 手の中にあるのも、こんがり焼けたおにぎりだ。

 

 もし神様がこの国で人を作ったなら、材料はきっと米だったはずだ。


「共食いになるからか?」


 ……少し考えて、やめた。

 

 私は焼きおにぎりの、いちばんよく焦げた部分をかじった。



■おわり■

【あとがき】

これは、私が中学生の頃、授業で聞いた話をもとにしています。

なお、本作に人種差別の意図は一切ありません。あくまで当時の記憶と、それに対する個人的な違和感を描いたものです。

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