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僕は狐の眷属です! 真白と紡の神社日誌 ―600年前の巫女の願いから生まれました―  作者: 稲荷寿司
封印されし穢れ人――玉繭の里編

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242/258

見つめる存在

いつもお読みいただきありがとうございます!

最後までお付き合いいただけたら幸いです。

(*˘︶˘*).。.:*





琥珀《こはく》の尋問が続く、その頃――



その様子を、

遠くから見つめる二つの人影があった。



???

「あらら……」



気の抜けた声が、

ぽつりと落ちる。



???

「あの賢かった穢れ人も、

 琥珀様も、灰燼《かいじん》様も――

 ぜーんぜん、駄目じゃん。

 あっさり祓われちゃうし。

 琥珀様なんて、

 あんなにあっさり捕まっちゃって。」



そう言って、

隣に立つもう一人へちらりと視線を向ける。



???

「そんなこと言っちゃ駄目ですよ」



返ってきたのは、

呆れを含んだ穏やかな声。



???

「あの面子では、

 勝ち目が薄いでしょう。

 それに――

 白い狐が二匹もいる」



???

「んー……」



声の主は少しだけ首を傾げる。



その視線の先では、

真白《ましろ》たちが琥珀《こはく》を取り囲んでいた。



???

「確かに、

 あの浄化の権能はすごいけど……」



そこで一度、

言葉が止まる。



???

「それだけじゃない?」



???

「ですが……」



隣の者が、

横目で男を見る。



???

「こうなることは、

 見えていたのでしょう?

 琥珀様には、

 教えて差し上げなかったのですか?」




???

「んー……だって、

 見えたのは可能性の一つだし。


 それに僕たちの役目は、

 あの戦いに手を貸すことじゃない。


 黒曜石と――

 琥珀様たちの回収でしょ?」




???

「まあ……

 確かにそうですけど」



もう一人の視線が、

義久の手元の鞠へ向けられる。



???

「灰燼《かいじん》様の回収は、

 もう無理そうですね」



???

「あれじゃあねぇ」



男も肩をすくめた。



???

「あそこまで綺麗に封印されちゃったら、

 僕にもどうしようもないよ」



そのまま、

再び琥珀《こはく》へ視線を戻そうとして――



ふと、男の目がある一点で止まった。




???

「…………」




先ほどまで浮かべていた、

気の抜けた笑みが僅かに薄れる。



その視線の先にいたのは――



月糸《つくし》。



雪兎《ゆきと》の傍らに立つ少女だった。



風に揺れる髪。



雪兎の言葉に、

どこか嫌そうに眉をひそめる横顔。


男は何も言わず、

ただ月糸《つくし》の姿を見つめていた。



???

「あの娘が気になりますか?」



その声に、

男はようやく隣の人物へ視線を戻した。



???

「んー……どうだろう」



ゆっくりと目を閉じ、

自分の胸の内を探るように思案する。



しばしの沈黙の後――



男は目を開けると、

困ったように眉を下げた。



???

「……考えてみたけど、

 分かんないや」



???

「分からない……ですか?」



???

「うん……

 今は、まだよく分かんないかな」



そう答えながら、

男はもう一度だけ月糸《つくし》へ目を向ける。



何かを確かめるように――

ほんの数秒。




やがて、

何事もなかったかのように視線を外す。



???

「しょうがない。


 じゃあ――

 そろそろ琥珀様と黒曜石、

 取り戻しちゃおうか」



先ほどまで月糸《つくし》へ向けられていた、

どこか探るような眼差しは――

もう、そこにはなかった。



男の瞳が、

琥珀《こはく》と黒曜石を捉える。



???

「えぇ。

 あの面子に気づかれてしまっては、

 面倒そうですしね……」



???

「あぁーそうだね……

 それは僕も御免だなぁ」



軽く笑いながら、

月糸《つくし》へ視線を向けた。



ほんの、一瞬だけ。



???

「…………」



その眼差しに何が宿っていたのか――

隣に立つ者にも、

読み取ることはできなかった。



そして男は、

何事もなかったかのように前を向く。



次の瞬間――



二つの人影は、

気配ごと闇の中へ溶けるように消えていった。


最後までお付き合いいただき、

ほんとうにありがとうございます!

ブクマや評価など頂けたら大変嬉しいです!

次回もお付き合いいただけたら幸いです。

(人´∀`).☆.。.:*・゜

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