↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は狐の眷属です! 真白と紡の神社日誌 ―600年前の巫女の願いから生まれました―  作者: 稲荷寿司
封印されし穢れ人――玉繭の里編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
235/258

絶対死ぬと思った澪斗と、絶対守ると誓った優羽

いつもお読みいただきありがとうございます!

最後までお付き合いいただけたら幸いです。

(*˘︶˘*).。.:*



対琥珀《こはく》・穢れ人戦――




――バリィィィンッ!




鋭い破壊音が響き渡る。




穢れ人の周囲に浮かんでいた氷槍が、

一斉に澪斗《みなと》の水の鎖へと襲いかかった。



一本、二本と氷槍が突き刺さるたび、

水の鎖が激しく波打つ。




それでも鎖は氷槍を受け止め、 その勢いを殺していた。




――バキィンッ!





最後の一本の水の鎖が弾け飛ぶ。




だが同時に、



水の鎖へ突き刺さった氷槍にも、

無数の激しい亀裂が走る。




――ガシャァンッ!




氷槍が甲高い音を立てて弾け飛んだ。




煌めく鋭利な氷片が、

氷の雨となって辺り一面へ撒き散らされる。




紡《つむぎ》

「ま、真白《ましろ》様!

  まずいですよ! 澪斗《みなと》さんの鎖が……!」




真白《ましろ》

「分かっています!僕も見えてますから!

 紡《つむぎ》!もっと神気を結界に込めます!」




紡《つむぎ》

「は、はいっ!」




穢れ人の周囲に再び冷気が集まり、

新たな氷槍が次々と形を成していく。




澪斗《みなと》は二人のもとへ走りながら、

素早く両手で印を結んだ。




澪斗《みなと》

「守護の理――守――」



澪斗《みなと》がもう一度水の鎖を発動させようとした瞬間





琥珀《こはく》

「邪魔しないでもらえるかな?」





耳元で寒気のするほど軽薄な声が響いた。



澪斗《みなと》が振り向くよりも早く、

琥珀《こはく》は目の前にいた。



そして、その手に握られた剣が、

容赦なく澪斗《みなと》へ振り下ろされた。




澪斗《みなと》

「……え」




視線を上げた澪斗《みなと》の視界いっぱいに、

迫りくる鋼の刃が映り込む。




澪斗《みなと》

(これはっ――まずい!

避けろ!避けろ!避けろ――っ!)




頭では分かっているのに、足が地面へ縫いつけられたように動かなかった。




冷たい刃が、

澪斗《みなと》の鼻先へ迫る。



――死ぬ。



そう覚悟した、その刹那。




火の童子《かのこどうじ》

「ぼーっとすんな澪斗《みなと》ぉっ!!」




澪斗《みなと》

「――っ!?」




左右から、二つの影が飛び込んできた。




炎を揺らめかせながら火の童子《かのこどうじ》と蒼《あお》が、澪斗《みなと》の腹部を左右から抱きとめると、間一髪でその一閃をかわす。




澪斗《みなと》の前髪の先を、

琥珀《こはく》の刃が掠めていった。



――ズガァァァンッ!!



空を切った琥珀《こはく》の刃は地面へと深く突き刺さり、猛烈な衝撃波とともに土煙が爆ぜた。




蒼《あお》

「……ふぅ、

 間一髪……だったね」




澪斗《みなと》はすぐには答えられなかった。




いや――




声が、出なかった。



視線だけが、地面へ突き刺さった琥珀《こはく》の剣へ吸い寄せられている。


つい数秒前まで、あれが自分の鼻先にあった。



澪斗《みなと》

(あと一瞬二人が来るのが遅かったら……)

 



その先を想像した途端――



ぞわっ。

全身から血の気が引いた。




澪斗《みなと》

「…………っ」




震える手で 胸元を押さえると、




ドッドッドッドッ――

心臓が早鐘のように激しく脈打っていた。




そして澪斗《みなと》は呆然としながらも顔をあげ、

火の童子《かのこどうじ》と蒼《あお》をじっと見つめ、



火の童子《かのこどうじ》

「なんや?澪斗《みなと》、

 人の顔じーっとみて?」




蒼《あお》も不思議そうに澪斗《みなと》を見つめ返しながら頷く。




澪斗《みなと》

(火の童子《かのこどうじ》様と蒼《あお》が来てくれなかったら……)




澪斗《みなと》の唇は小さく震え、

いつもの軽口も皮肉も出てこなかった。




代わりに出てきたのは――




澪斗《みなと》

「……火の童子《かのこどうじ》様……蒼《あお》……」




二人が澪斗《みなと》を見る。




澪斗《みなと》

「……ありがとう……」




火の童子《かのこどうじ》

「…………」




蒼《あお》

「…………」




二人は顔を見合わせた後、もう一度澪斗《みなと》を見る。

いつもなら、とっくに皮肉の一つでも飛んでくる頃だ。




それなのに――




火の童子《かのこどうじ》

「……ありゃ。

 よっぽど怖かったんやな」



蒼《あお》

「おぉ……」



蒼《あお》も珍しいものを見るように、 澪斗《みなと》をじっと見つめる。




蒼《あお》

「澪斗《みなと》が…… すごく素直だ……」




澪斗《みなと》

「…………」




澪斗《みなと》

「僕、まだ心臓が バクバクいってます……

 二人が来てくれなかったら、僕……あのまま……」




最後まで言葉にできず、

澪斗《みなと》は青ざめた顔で口をつぐむ。



すると――




火の童子《かのこどうじ》の顔が、

いつもの悪戯っぽい笑みに変わった。




火の童子《かのこどうじ》

「おぉ~おぉ~。

 怖かったよなぁ、澪斗《みなと》やぁ~」



わしゃわしゃわしゃっと

澪斗《みなと》の頭を無造作に撫でる。




火の童子《かのこどうじ》

「そない素直になってもぉーて。

 よしよし、怖かったなぁ~」




澪斗《みなと》

「わっ……!  

 ちょ、火の童子《かのこどうじ》様……!

 辞めてくださいよ!これだから貴方は!」




蒼《あお》はいつもの調子に戻った澪斗《みなと》を見つめ、 ほっとしたように小さく笑った。




蒼《あお》

「火の童子《かのこどうじ》……からかわないで。

 でも…… 本当に間に合ってよかった」




火の童子《かのこどうじ》

「ぶははっ!  

 戻った戻った!いつもの澪斗《みなと》や!

 素直な澪斗《みなと》なんぞ気色悪いからなぁ!」




蒼《あお》

「うん。ほんとにそう。」




澪斗《みなと》

「二人ともひどいですよぉ!」




その声に、

火の童子《かのこどうじ》と蒼《あお》は顔を見合わせて笑った。




澪斗《みなと》

「って!真白《ましろ》様達!」





我に返った澪斗《みなと》が、

慌てて真白《ましろ》たちの方へ振り返る。





澪斗《みなと》

「僕の鎖が全部消えてる!?

 早く戻らないと――!」



火の童子《かのこどうじ》

「あぁー、それなら心配いらんで!」




澪斗《みなと》

「……え?」




隣で蒼《あお》も、うんうんと頷いている。




火の童子《かのこどうじ》

「アタイらが何も考えんと、

 二人揃ってこっち来たと思っとるんか?」



澪斗《みなと》

「…………」




火の童子《かのこどうじ》

「その顔やめぇや」




澪斗《みなと》

「いや、だって火の童子《かのこどうじ》様ですし……」




火の童子《かのこどうじ》

「どーいう意味や!!」





蒼《あお》

「澪斗《みなと》……安心して……

 ちゃんと―― もう一人いるでしょ?」




蒼《あお》が、真白《ましろ》たちの方へ視線を向けた。




澪斗《みなと》

「もう一人……?」




その言葉とほぼ同時だった。



――ドォォォンッ!!



少し離れた場所から、

腹の底まで響く轟音が鳴り響く。



凄まじい衝撃波が土煙を巻き上げ、

三人の髪を大きくなびかせながら一気に押し寄せた。



澪斗《みなと》

「な、なんですか!?」



火の童子《かのこどうじ》

「ほらな!」



火の童子《かのこどうじ》が、にやりと笑う。




澪斗《みなと》は弾かれたように、

轟音のした方へ顔を向けた。




そこには――




真白《ましろ》と紡《つむぎ》を包み込む淡く輝く結界と、

氷槍の群れを、正面から受け止める影があった。




澪斗《みなと》

「……あれは……優羽《ゆうは》!」




――ガキィンッ!!



一本目の氷槍が、真横へ弾き飛ばされる。



――バキィッ!




次いで二本目、

三本目と何本もの氷槍が襲いかかる。




――ガシャァァンッ!!




優羽《ゆうは》は舞うように身を翻しながら、

次々と迫る氷槍を受け流していく。



右から迫る一本を弾き、



返す刃で、

左から飛来した二本をまとめて薙ぎ払う。




砕け散った氷片が、

優羽《ゆうは》の周囲でキラキラと舞い散った。




それでも氷槍は止まらない。




五本、十本、次々と真白《ましろ》たちへ襲いかかる。

それでも、一本たりとも優羽《ゆうは》の背後へ通ることはなかった。



――ガキィンッ!



――バキィンッ!



――ガシャァァンッ!!




澪斗《みなと》

「……凄い……」




先ほどまで、

自分の水の鎖を打ち砕いていた氷槍が――



目の前で次々と――

叩き落とされていく。




やがて最後の一本が、

優羽《ゆうは》の顔面めがけて一直線に迫った。




それでも優羽《ゆうは》は逃げずに一歩前へ踏み込む。




そして――




――ズバァンッ!!




振り抜かれた一撃が、

氷槍を真っ二つに叩き割った。




二つに割れた氷槍が、

優羽《ゆうは》の左右をすり抜け背後で砕け散った。




その瞬間――



澪斗《みなと》には、

優羽《ゆうは》の周囲だけ時が止まったかのように見えた。



きらきらと舞い落ちる氷片。



その中心で、

優羽《ゆうは》の髪がふわりと揺れる。



そして、その背後には――



真白《ましろ》と紡《つむぎ》が、

結界の中で傷一つなく立っていた。


最後までお付き合いいただき、

ほんとうにありがとうございます!


次回もお付き合いいただけたら幸いです。

(人´∀`).☆.。.:*・゜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。