義久の策――神気を喰らう灰燼
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(*˘︶˘*).。.:*
対灰燼戦――
義久
「それでは、火の童子、
蒼――お願いがあります。」
火の童子
「なんですか?」
義久は、
灰燼から視線を逸らさぬまま静かに告げた。
義久
「お二人の焔をあの者へもう一度放ってください。」
蒼
「えっ……でも……」
火の童子も、
訝しげに眉をひそめる。
火の童子
「せやけど義久様や、
アイツはアタイらの神気を吸うんやで、
あいつに力を与えるってことやで?」
義久
「えぇ、それは存じてます。」
火の童子
「ほんなら、なんで――」
義久
「今は簡単に戦略をお伝えします――」
義久は手短に火の童子と蒼に説明する。
義久
「――という訳です。
あの者に、お二人の焔を吸わせ続けてください。
それも――
反撃する余裕すら与えないほどの火力で。」
火の童子
「……なるほどなぁ……」
蒼
「……でも……ほんとに上手くいくの?」
二人の視線が義久へ向く。
義久
「お二人の焔の火力なら必ずできます。」
その口元には、
いつもの穏やかな笑みすら浮かんでいる。
義久
「それに、
出来るかどうか迷っている暇はありません!
やるんです。選択肢は、それだけです!」
寿久
「はぁ……また兄上の根拠のない自信が」
義弘
「だが、その自信がいつも正しかった……。」
火の童子
「……ほんなら!
義久様の言う通りにやるわ!なっ!蒼」
火の童子の言葉に、
隣にいた蒼が小さく頷く。
蒼
「うん……義久様……蒼に任せて。」
義久の戦略を、
すべて理解したわけではない。
それでも火の童子には、
義久の顔を見れば十分だった。
火の童子は、
ニィッと口角を上げる。
火の童子
「ほな、
アタイと蒼の本気の焔お見舞いしたろ!行くで!蒼」
蒼
「……分かった!」
二人が同時に前へ出た。
ゴォォォォォッ!!
火の童子の紅蓮。
蒼の蒼炎。
二つの焔が、
凄まじい勢いで灰燼へ襲いかかる。
灰燼
「ハッ!」
紅蓮と蒼炎が左右から迫る中、
灰燼は避けようともせず、
その場に立ったまま二つの焔を見つめていた。
灰燼
「また神気くれるんか?
えらい気前ええやん!」
迫り来る二つの焔を目の前にしても、
その場から一歩も動かず愉快そうに口元を歪める。
紅蓮と蒼炎が近づくにつれ、
その熱と神気に煽られ、
灰燼の身体を形作る黒い焔が激しく揺らめいた。
灰燼は、
二つの焔を迎え入れるように両腕を大きく広げた。
その直後、
左右から押し寄せた紅蓮と蒼炎がぶつかり合い、
灰燼の身体を一気に呑み込んだ。
ゴォォォォォォッ!!
二色の焔が激しく入り乱れ、
灰燼を一瞬にして覆い尽くす。
しかしその身体が燃え上がることはなかった。
紅蓮も蒼炎も、
その身体へ触れた瞬間から形を崩し――
ズズズズズ……!
黒い焔の中へ、
次々と吸い込まれていく。
灰燼
「ええなぁ……!」
灰燼の口元が、
愉悦に歪んだ。
黒い焔が、
一回り大きく膨れ上がる。
流れ込む紅蓮と蒼炎を呑み込むたびに、
その勢いはさらに増していった。
灰燼
「もっと寄越せや!」
火の童子
「言われんでも――!」
さらに神気を込める。
火の童子
「くれてやるわ!!」
ゴオオオオオオオッ!!
紅蓮が勢いを増す。
蒼も無言のまま、
掌へ神気を集中させた。
蒼
「…………!」
蒼炎が、
さらに激しく燃え上がる。
二人の神気が、
絶え間なく灰燼へ流れ込んでいく。
灰燼
「ハハハハッ!
アホやなぁ!
何べんやっても同じや!」
黒い焔は、
さらに大きく膨れ上がっていく。
灰燼
「そろそろワイも焔お見舞いしたろうかのぅ」
灰燼が反撃に転じようとしたその時。
義久
「させませんよ!
寿久!義弘!貴方たちは足を!」
寿久
「承知。」
義弘
「任せろ。」
シュルルルルルッ!!
三人の袖口から、
白銀の絹糸が一斉に放たれた。
灰燼
「…………あ?」
寿久と義弘の糸が、
左右から灰燼の両脚へ絡みつく。
続けて――
義久の放った絹糸が、
灰燼の両腕へ幾重にも巻きついた。
ギュッ――!
灰燼の身体が、
その場へ縫い止められる。
灰燼
「っ!しもた、炎熱爆裂童子に気ぃ取られて
こいつらに気づかんかったわ!
せやけど、
ほんならこのままワイの焔で
押し返せばええだけや!」
灰燼は、
そう言って黒い焔へ神気を注ぎ込み、
二人の焔を正面から押し戻そうとする。
火の童子
「なんや、押し返す気か?
そんなんさせへんで!
蒼、まだまだいけるやろ?!」
蒼
「うん!」
二人がさらに神気を注ぎ込んだ瞬間、
紅蓮と蒼炎の勢いが一気に増した。
押し戻しかけていた黒い焔が、
再び灰燼の目前まで押し込まれていく。
灰燼
(なんやねん、あの二人の火力……!
こいつらの糸で動かれへんうえに、
焔を押し返そうにも勢いが強すぎる!
今は吸収して受け止めるだけで、
手一杯や……!)
そんな灰燼の様子に、
寿久
(さすが義久兄様……。
思い描いた通りに事が進んでいる。)
義弘
「寿久よ、兄上に感心するのはよいが、
今は我らもあの者の拘束に集中しなさい。」
灰燼
(あぁー、もう!
ほんまイライラするわ!
せめてこの糸だけでも、
引き千切れへんのか……!)
灰燼は、
なんとか義久たちの拘束を振りほどこうと、
手足に絡みつく絹糸へ黒い焔を放った。
ゴォォォォッ!!
黒い焔が白銀の絹糸を包み込み、
激しい熱がその場へ広がる。
これで焼き切れる――
灰燼はそう思っていた。
しかし、
焔が収まっても絹糸は焼け落ちることなく、
変わらず灰燼の手足をきつく縛り続けていた。
灰燼
「……あ?」
予想外の光景に、
灰燼は訝しげに眉をひそめる。
もう一度、
先ほどより強い焔を絹糸へ叩きつける。
それでも、
絹糸は一本すら焼き切れなかった。
灰燼
「ほんまになんやねん、この糸は……
忌々しいのぉ……」
その時――
灰燼の身体を覆う黒い焔が、
不意に大きく脈打った。
ボッ――!
一瞬だけ、
黒い焔の内側から紅い光が漏れる。
灰燼
「……あ?」
最後までお付き合いいただき、
ほんとうにありがとうございます!
次回もお付き合いいただけたら幸いです。
(人´∀`).☆.。.:*・゜




