↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は狐の眷属です! 真白と紡の神社日誌 ―600年前の巫女の願いから生まれました―  作者: 稲荷寿司
封印されし穢れ人――玉繭の里編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
233/258

義久の策――神気を喰らう灰燼

いつもお読みいただきありがとうございます!

最後までお付き合いいただけたら幸いです。

(*˘︶˘*).。.:*





対灰燼《かいじん》戦――




義久《よしひさ》

「それでは、火の童子《かのこどうじ》、

 蒼《あお》――お願いがあります。」




火の童子《かのこどうじ》

「なんですか?」




義久《よしひさ》は、

灰燼《かいじん》から視線を逸らさぬまま静かに告げた。




義久《よしひさ》

「お二人の焔をあの者へもう一度放ってください。」





蒼《あお》

「えっ……でも……」





火の童子《かのこどうじ》も、

訝しげに眉をひそめる。





火の童子《かのこどうじ》

「せやけど義久《よしひさ》様や、

 アイツはアタイらの神気を吸うんやで、

 あいつに力を与えるってことやで?」





義久《よしひさ》

「えぇ、それは存じてます。」




火の童子《かのこどうじ》

「ほんなら、なんで――」




義久《よしひさ》

「今は簡単に戦略をお伝えします――」




義久《よしひさ》は手短に火の童子と蒼《あお》に説明する。





義久《よしひさ》

「――という訳です。

 あの者に、お二人の焔を吸わせ続けてください。

 それも――

 反撃する余裕すら与えないほどの火力で。」





火の童子《かのこどうじ》

「……なるほどなぁ……」




蒼《あお》

「……でも……ほんとに上手くいくの?」





二人の視線が義久《よしひさ》へ向く。




義久《よしひさ》

「お二人の焔の火力なら必ずできます。」




その口元には、

いつもの穏やかな笑みすら浮かんでいる。




義久《よしひさ》

「それに、

 出来るかどうか迷っている暇はありません!

 やるんです。選択肢は、それだけです!」




寿久

「はぁ……また兄上の根拠のない自信が」





義弘

「だが、その自信がいつも正しかった……。」





火の童子《かのこどうじ》

「……ほんなら!

 義久《よしひさ》様の言う通りにやるわ!なっ!蒼《あお》」





火の童子《かのこどうじ》の言葉に、

隣にいた蒼《あお》が小さく頷く。





蒼《あお》

「うん……義久《よしひさ》様……蒼《あお》に任せて。」




義久《よしひさ》の戦略を、

すべて理解したわけではない。



それでも火の童子《かのこどうじ》には、

義久《よしひさ》の顔を見れば十分だった。




火の童子《かのこどうじ》は、

ニィッと口角を上げる。




火の童子《かのこどうじ》

「ほな、

 アタイと蒼《あお》の本気の焔お見舞いしたろ!行くで!蒼《あお》」




蒼《あお》

「……分かった!」




二人が同時に前へ出た。




ゴォォォォォッ!!




火の童子《かのこどうじ》の紅蓮。




蒼《あお》の蒼炎。




二つの焔が、

凄まじい勢いで灰燼《かいじん》へ襲いかかる。




灰燼《かいじん》

「ハッ!」




紅蓮と蒼炎が左右から迫る中、

灰燼《かいじん》は避けようともせず、

その場に立ったまま二つの焔を見つめていた。




灰燼《かいじん》

「また神気くれるんか?

 えらい気前ええやん!」





迫り来る二つの焔を目の前にしても、

その場から一歩も動かず愉快そうに口元を歪める。




紅蓮と蒼炎が近づくにつれ、

その熱と神気に煽られ、

灰燼《かいじん》の身体を形作る黒い焔が激しく揺らめいた。




灰燼《かいじん》は、

二つの焔を迎え入れるように両腕を大きく広げた。



その直後、

左右から押し寄せた紅蓮と蒼炎がぶつかり合い、

灰燼《かいじん》の身体を一気に呑み込んだ。





ゴォォォォォォッ!!




二色の焔が激しく入り乱れ、

灰燼《かいじん》を一瞬にして覆い尽くす。





しかしその身体が燃え上がることはなかった。





紅蓮も蒼炎も、

その身体へ触れた瞬間から形を崩し――




ズズズズズ……!




黒い焔の中へ、

次々と吸い込まれていく。




灰燼《かいじん》

「ええなぁ……!」




灰燼《かいじん》の口元が、

愉悦に歪んだ。




黒い焔が、

一回り大きく膨れ上がる。



流れ込む紅蓮と蒼炎を呑み込むたびに、

その勢いはさらに増していった。




灰燼《かいじん》

「もっと寄越せや!」




火の童子《かのこどうじ》

「言われんでも――!」




さらに神気を込める。




火の童子《かのこどうじ》

「くれてやるわ!!」




ゴオオオオオオオッ!!




紅蓮が勢いを増す。




蒼《あお》も無言のまま、

掌へ神気を集中させた。




蒼《あお》

「…………!」




蒼炎が、

さらに激しく燃え上がる。



二人の神気が、

絶え間なく灰燼《かいじん》へ流れ込んでいく。




灰燼《かいじん》

「ハハハハッ!

 アホやなぁ!

 何べんやっても同じや!」




黒い焔は、

さらに大きく膨れ上がっていく。




灰燼《かいじん》

「そろそろワイも焔お見舞いしたろうかのぅ」





灰燼《かいじん》が反撃に転じようとしたその時。





義久《よしひさ》

「させませんよ!

 寿久《としひさ》!義弘《よしひろ》!貴方たちは足を!」



寿久《としひさ》

「承知。」



義弘《よしひろ》

「任せろ。」




シュルルルルルッ!!




三人の袖口から、

白銀の絹糸が一斉に放たれた。




灰燼《かいじん》

「…………あ?」





寿久と義弘の糸が、

左右から灰燼《かいじん》の両脚へ絡みつく。



続けて――



義久《よしひさ》の放った絹糸が、

灰燼《かいじん》の両腕へ幾重にも巻きついた。



ギュッ――!



灰燼《かいじん》の身体が、

その場へ縫い止められる。




灰燼《かいじん》

「っ!しもた、炎熱爆裂童子に気ぃ取られて

 こいつらに気づかんかったわ!

 せやけど、

 ほんならこのままワイの焔で

 押し返せばええだけや!」




灰燼《かいじん》は、

そう言って黒い焔へ神気を注ぎ込み、

二人の焔を正面から押し戻そうとする。




火の童子

「なんや、押し返す気か?

 そんなんさせへんで!

 蒼《あお》、まだまだいけるやろ?!」




蒼《あお》

「うん!」




二人がさらに神気を注ぎ込んだ瞬間、

紅蓮と蒼炎の勢いが一気に増した。




押し戻しかけていた黒い焔が、

再び灰燼《かいじん》の目前まで押し込まれていく。




灰燼《かいじん》

(なんやねん、あの二人の火力……!


 こいつらの糸で動かれへんうえに、

 焔を押し返そうにも勢いが強すぎる!


 今は吸収して受け止めるだけで、

 手一杯や……!)





そんな灰燼《かいじん》の様子に、




寿久

(さすが義久《よしひさ》兄様……。

 思い描いた通りに事が進んでいる。)




義弘

「寿久よ、兄上に感心するのはよいが、

 今は我らもあの者の拘束に集中しなさい。」




灰燼《かいじん》

(あぁー、もう!

 ほんまイライラするわ!


 せめてこの糸だけでも、

 引き千切れへんのか……!)




灰燼《かいじん》は、

なんとか義久《よしひさ》たちの拘束を振りほどこうと、

手足に絡みつく絹糸へ黒い焔を放った。



ゴォォォォッ!!



黒い焔が白銀の絹糸を包み込み、

激しい熱がその場へ広がる。



これで焼き切れる――

灰燼《かいじん》はそう思っていた。




しかし、

焔が収まっても絹糸は焼け落ちることなく、

変わらず灰燼《かいじん》の手足をきつく縛り続けていた。




灰燼《かいじん》

「……あ?」




予想外の光景に、

灰燼《かいじん》は訝しげに眉をひそめる。




もう一度、

先ほどより強い焔を絹糸へ叩きつける。




それでも、

絹糸は一本すら焼き切れなかった。




灰燼《かいじん》

「ほんまになんやねん、この糸は……

 忌々しいのぉ……」




その時――




灰燼《かいじん》の身体を覆う黒い焔が、

不意に大きく脈打った。




ボッ――!




一瞬だけ、

黒い焔の内側から紅い光が漏れる。




灰燼《かいじん》

「……あ?」




最後までお付き合いいただき、

ほんとうにありがとうございます!


次回もお付き合いいただけたら幸いです。

(人´∀`).☆.。.:*・゜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。