寝ぼけてないで起きてください!
いつもお読みいただきありがとうございます!
最後までお付き合いいただけたら幸いです。
(*˘︶˘*).。.:*
著莪の振るった剣を、
琥珀が真正面から受け止める。
激しく火花が散り、
その横から三国が槍を突き出した。
琥珀
「っ……邪魔だ!」
琥珀は身体を捻って槍をかわすと、
返す刃で三国へ斬りかかる。
三国
「っ!」
疾風
「三国!」
疾風が割って入り、
再び琥珀の剣を受け止める。
そのさらに奥では――
ゴォォォォォッ!!
火の童子と蒼の焔が、
灰燼の黒い焔と激しくぶつかり合っていた。
その傍らでは、
澪斗が灰燼の動きを鋭く見据えている。
紅蓮、蒼炎、黒炎。
三色の焔が戦場を照らし、
凄まじい熱波が周囲を吹き荒れる。
そんな激戦の最中――
紡
「……うーん……」
微かな声が漏れた。
紡の指先が、僅かに動く。
続いて、
閉じられていたまぶたが小さく震えた。
紡
「……ん……」
重いまぶたを何度か瞬かせ、
紡はゆっくりと目を開いていく。
ぼんやりとした視界。
最初に映ったのは、
自分を覆う淡い結界の光。
そして――
その向こうから、
心配そうに自分を見つめている真白の姿だった。
真白
「……っ!」
紡の僅かな変化に気づいた瞬間、
真白の表情がぱっと明るくなる。
真白
「紡!
目が覚めましたか!?」
だが――
紡は眠そうに目を細めると、
再びまぶたを閉じかける。
紡
「真白様ぁ……。
あと少しだけ……
寝たいですぅ……」
真白
「…………」
真白は一瞬、ぽかんと紡を見つめた。
結界の外では――
ドォォォォン!!
爆発音が轟き、
激しい衝撃が結界を震わせる。
真白は外へちらりと視線を向ける。
琥珀と斬り結ぶ疾風たち。
灰燼の黒い焔を迎え撃つ、火の童子と蒼。
そして――
再び紡を見る。
紡
「……すぅ……」
次の瞬間――
真白
「紡!寝ないでください!!」
紡
「ふぇっ!?」
真白
「駄目です!
今すぐ起きてください!
寝ぼけてる場合ではないですよ!」
真白の声に紡は驚いて目を見開く。
紡
「うわぁー!
真白様、申し訳ございません……!」
反射的に身体を起こし――
紡
「……って、あれ?」
きょとんと辺りを見回した。
ガキィィィン!!
剣と槍がぶつかり合う音。
ゴォォォォォッ!!
空を染める紅蓮と黒の焔。
地面を駆ける疾風たち。
それらを目にした瞬間――
寝ぼけていた紡の瞳が、
一気に見開かれる。
紡
「あっ……!
って、そうでした!
今、討伐任務中だった!」
真白
「やっと思い出しましたか……!」
紡
「なんで僕、
こんなところで寝てたんですか!?」
真白
「……覚えていないんですか?」
紡
「えっ?」
紡は眉を寄せ、
気を失う直前の記憶を辿る。
紡
「確か……突然琥珀って人が現れて……
話をしていて……」
途切れ途切れだった記憶が、
少しずつ繋がっていく。
紡
「そうだ!
あの人に指で押されて……。
そのあと急に身体が痛くなって――」
紡の表情が強張る。
無意識に自分の身体へ手を這わせる。
胸、脇腹、腹部。
だが――
紡
「……あれ?」
痛みがない。
紡は不思議そうに、
自分の身体を何度も確かめる。
紡
「痛く……ない?
それに……
傷もほとんど治ってる……?」
真白はその様子を見て、
ようやく安心したように表情を緩めた。
真白
「澪斗さんが、
治療してくれたおかげです。」
紡
「澪斗さんが……?」
真白
「はい。
僕が合流した時、
紡は重傷を負って意識を失っていました。」
紡
「…………」
真白
「澪斗さんがすぐに治療してくれたから、
助かったんです。
それに――」
真白の視線が、
離れた場所へ向けられる。
そこでは蒼が、火の童子と並んで灰燼の黒い焔を迎え撃っていた。
真白
「蒼さんも、
澪斗さんが治療に専念できるように、
僕たちをずっと守ってくれていました。」
紡
「蒼くんも……」
紡は戦う二人を見つめる。
そして――
ゆっくりと視線を落とした。
紡
「そんな……。
僕……
皆さんに迷惑をかけてしまったんですね……」
先程までの寝ぼけた表情が消え、
紡の肩が小さく落ちる。
真白
「紡、迷惑なんかではありません。」
落ち込む紡に、
真白は優しく声をかける。
紡
「……真白様?」
真白は紡の目を真っ直ぐ見つめる。
真白
「みんな、
紡を助けたかったから動いたんです。」
その言葉に、
紡の瞳が僅かに揺れる。
真白
「それに――」
ガキィィィン!!
再び激しい金属音が響いた。
琥珀の剣を受け止めた疾風が、
その勢いに押されながらも踏みとどまる。
疾風
「三国!
右から行け!」
三国
「分かってる!
お前らも合わせろ!」
鬼鹿毛・影月
「「御意!!!!」」
一方――
ゴォォォォォッ!!
灰燼の黒い焔が大きく膨れ上がる。
火の童子
「蒼!押し返すで!」
蒼
「うん!」
戦場では、
今この瞬間も仲間たちが戦い続けている。
真白はその光景を見つめたあと、
再び紡へ向き直った。
真白
「だから紡。
今は反省している場合ではありませんよ。」
真白の表情が、
眷属としての凛としたものへ変わる。
真白
「まだ戦いは終わっていません。
紡、すぐに動けそうですか?」
紡
「……!」
紡は自分の手を強く握り締める。
紡
「はい!」
勢いよく立ち上がった瞬間、
少しふらついた――
紡
「っと……!」
真白
「紡!?」
紡
「だ、大丈夫です!
ちょっと急に立ったからです!」
真白
「本当に大丈夫ですか……?」
紡
「大丈夫です!」
紡は今度こそしっかりと両足で立つ。
そして――
先程までとは違う、
真剣な眼差しで戦場を見渡した。
琥珀と戦う疾風たち。
灰燼と対峙する澪斗たち。
紡は拳をぎゅっと握り締める。
紡
「僕も……
もう一度戦えます。」
そして真白へ振り返る。
紡
「真白様!
僕は、なにをしたらいいでしょうか!」
その問いに――
真白は戦場を見渡した。
疾風たち、澪斗たち。
そして――
目の前に戻ってきた、
大切な相棒。
真白の瞳が、
静かに戦況を捉えていく。
最後までお付き合いいただき、
ほんとうにありがとうございます!
次回もお付き合いいただけたら幸いです。
(人´∀`).☆.。.:*・゜




