4 パール、王子様を守る。
なんと、姫様が入浴時に王子様が訪ねてきた!!!
「やあ、ええと……パール、だったかな。ルビーローズ姫はいらっしゃるかな?」
パールは真っ赤になり、緊張しつつもフルフルと首を振って、身ぶり手ぶりで伝えようとした。
そこへ横へ控えていたナッシュが、スッと前へ出てくる。
「王子、パールは喋れないのです。少しお待ちを。」
そう言って手を差し出す。パールはその手に字を書く。2人のいつものコミュニケーションだった。
「王子……姫は今、入浴中だそうです。少し時間がかかるそうですが……どうしましょう?」
王子様は少しうーん、と考えた。
「それなら……姫の身支度が終わるまで、パール、私の話し相手になってくれるかい?」
パールは大喜びで首をブンブンと縦に振った……
パールはルビーに与えられた庭の花の庭園に王子様と二人きりだった。ナッシュは少し離れたところで見ている。夢にまで見たシチュエーションに、パールは内心小躍りどころか阿波踊りぐらいの大騒ぎであった。
「姫とは仲がいいのかい?」
深海の蒼を閉じ込めたような瞳で見つめられて、パールはぽーっとなった。特に深く考えもせず、こくこくと頷く。
「彼女はああ見えて面倒見がいいからね……私も海から救われた時、女神と思ったものだったけど……その後のリハビリのきつさときたら!ルビーはスパルタでね……それでも弱音を吐く私を見捨てることだけはしなかったんだよ。」
何となく分かる。ルビーは回りにも厳しいけど、自分にも厳しい。そして、パールの仕事がうまくいったときなんかは、やったじゃない!と一緒に喜んでくれるのだ。
……パールは愛しの王子様からルビーの話を聞いてもやもやした。けど、ルビーを褒められるとそうなのよ!という気持ちも湧く。
……王子様はルビーの良さはしっかり分かってる……でも、ここで諦めるわけにはいかないのよ!私はフッ……おもしれー女!枠に入って王子様を射止めてやるわ!
そんな事を思っていた時だった。庭園の木の陰から、黒尽くめの男が現れて、王子様に短剣を向けた!
「シリウス第一王子、お命、頂戴する!」
駆け寄ってくる刺客に、ナッシュが素早く王子様とパールの前に出た!けれど……2人をかばう動きが、明暗を分ける!
刺客はナッシュの脇腹をえぐるようにおかしな色の刃を―――
やめて!!!
パールは思いっきりナッシュを後ろに引っ張って、刺客をグーで殴り倒した!!
……覚えているだろうか……海の住人は、陸の住人よりよっぽど力が強い事を……
刺客は錐揉み状に吹っ飛んで木を二本なぎ倒す勢いでふっ飛ばされた……
王子様もナッシュもポカーンである。
パールは、その場に雄々しく立ちそびえている。
完全に、勝者、パールであった。
その後、パールは王子様を守ったその馬鹿力を見込まれて、朝はナッシュとペアで王子の護衛となり、昼からはルビーのお付き兼護衛となるのだが、今のパールは、まだ、それを知らない。




