2 パール、ライバルと仲良く?なる。
ルビーは悩んでいた。
一生を神に捧げるつもりだったというのに、なぜか海辺で救命活動した相手は王子様でプロポーズされるわ、
庶子だからと隣の国の修道院に放り込んで後のことは知らな〜い♡してくれたくれたクソ親父は国のために結婚しろとうるさいわ、
年老いたシスターがどうにかなってもいいのだな……?とかそのクソ親父に脅されるわ
もう最近散々だったのだ。悩みもする。
王子を海から引きずり出して目を開けた時にはホッとしたものだが、しつこくしつこくプロポーズされ続けてルビーはグレていた。というか元から反骨気質ではあったので、新しく与えられたルビーローズという名前にも、メイドたちにも、王妃教育にも飽き飽きとしていた。
そんなとき、ふと、見つけてしまったのだ。
どうにも足が弱そうで、よろよろと歩くメイドの一人を。
ルビーはあちこちに放っておけずに世話を焼いては、しがらみを作ってしまう性格であった。
しかし、本人が気づかないのでどうしようもないのである。
パールは、メイド業務に苦戦していた。海の中は力はいるものの、重力は少ないので、あまり足を使った作業は得意ではないのである。
いつもメイド長や階級が上のメイドに嫌味を言われては、いつか覚えておけ……と恨みを募らせている。もう少し儚くならないものか。
時々心配してナッシュは見に来てくれているものの、やっぱりパールは王子様に夢中だった。深い黒髪。海の蒼の瞳。
通りすがりでも微笑まれるとぽーっとしてしまう。
……そんな時、メイド長からルビーローズ姫から話があると呼び出され、パールは猛った。もしやライバルからの宣戦布告……!
メイド長や階級が上のメイドたちはニヤニヤとしていたけれど、パールは力だけなら誰にも負けるつもりはなかったので、むしろどんとこい!姫など国に送り返してくれるわ!の勢いであった……
パールは、ルビーローズ姫と二人きりになってしまった。呼びつけた姫が、パールと二人きりを望んだからだ。
パールは、逆に不安になった。もしや姫も、陸では百戦錬磨の体術使いなのでは……?
まあそんなこともあるわけがなく、パールは、姫のお茶会で姫の真正面に座らされていた。頭の上には?が乱舞している。
「今日来てもらったのは他でもないのだけれど……貴方、実は足が辛いんじゃない?そういう歩き方をしているわ。」
姫と正々堂々バトる気満々だったパールは、あっ、これ気遣われてる!?と出鼻をくじかれた。
「やっぱり……このヒールの角度、辛いんじゃない?足が悪くなるわ。よければ……私の持ってる靴から、少しでも足が楽そうなものを選ぶから……ごめんね、修道院では看護婦の真似事みたいなこともしていたの。気になっちゃって……」
パールはなんだか申し訳ない気持ちになった……
「あのね、貴方も……家族がいないって聞いたのよ。勝手に聞いてしまってごめんなさい。でも……私も、家族がいないようなものなの。喋れないことも聞いてるわ。私の話を聞いてくれるだけでもいいの、良ければ、友達になってくれない?」
……ルビーローズは、グレていても修道院出身であった……
パール的には不倶戴天の敵から急にトモダチ宣言されて大変に戸惑った。
えー……めちゃくちゃやりにくい相手なんですけど……
こうしてある意味一方的な友情?と呼ばれる何かは始まったのである。
ちなみに今回男たちの出番はない。




