第24話 侍女たちの時間
王太子の側仕えの仕事の合間、エレノアは香房に戻る時間を与えられていた。
工房ではリリアと新しく知り合ったソフィーが待っていた。
「エレノア! 王太子殿下の側仕えになったって本当!?」
リリアが目を輝かせて詰め寄ってくる。ソフィーも少し後ろで、おどおどしながらも興味津々という顔をしていた。
「ええ……突然の話でしたので、私もまだ戸惑っていますが」
三人は香房の裏にある小さな休憩スペースで、簡単なお茶を飲みながら話した。
ソフィーが小さな声で言った。
「貴族たちの間では……エレノアさんが騎士団の若手の方々と親しいって、気にしている人がいるみたいです。気をつけてくださいね。」
エレノアは静かに頷いた。
「ありがとう、ソフィー。私はただ、香りを嗅ぐだけの立場でいたいだけなんだけど……」
リリアが明るく笑った。
「でもさ、エレノアが王太子殿下の側にいるなら、色々情報が入ってくるわよね。私たちも、できる範囲で手伝うよ!」
エレノアは二人の顔を見て、少しだけ温かい気持ちになった。
目立ちたくないと思いつつも、こうして自然にできる「小さな輪」が、少しずつ広がっていくのに嬉しさを感じていた。
その日の夕方、王太子の私室に戻る途中、エレノアはイザベラ公妃派の侍女たちから冷たい視線を浴びた。
貴族たちの警戒は、確実に強まっているようだった。




