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第15話 春の狩猟祭(後編)
狩猟祭の夜の宴会場は、中世らしい豪華な装飾と音楽で溢れていた。
しかし、宴の最中、一人の上級騎士が突然馬上で落ちたような怪我を訴えて運ばれた。原因は鞍の細工だった。
エレノアは天幕の中で待機し、四人の騎士から報告を受けていた。
「犯人は中堅貴族の使用人らしい。俺たちが使っていたものを狙っていた可能性が高い」
ルーカスが冷静に分析した。
オスカーが情報を追加する。
「どうやらヴォルフ公爵派が、若手騎士を弱体化させようとしているみたいだぜ」
ディートリヒが拳を握った。
「許せねえ……。エレノア、俺たちが守るから、もう少し大胆に動いてもらうことはできるか?」
エレノアは静かに首を振った。
「いえ……私は目立ちたくはないのです。むしろ皆さんが情報を集めて、私は影ながら探るだけではダメでしょうか」
ガスパールが優しく微笑んだ。
「わかった。俺たちが表で動き、君は裏から探ってくれ」
宴が終わった後、騎士団長がエレノアを遠くから睨む視線を感じた。首席調香師ハインリヒも、冷たい目でこちらを見ていた。
エレノアは母の形見の香りをそっと嗅ぎながら思った。
(四人に味方になっってくれた……でも、貴族からの警戒は、ますます強くなっていく)




