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『影の調香師は王宮の謎を嗅ぐ ~没落貴族令嬢、香りで真実を暴く~』  作者: 9 10
第一章 王宮の調香師

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第14話 春の狩猟祭(前編)

 春の狩猟祭当日。王宮近郊の森では、貴族と騎士たちが馬を駆り、獲物を追っていた。


 エレノアは本陣の天幕で待機し、騎士たちが使う手袋と鞍の最終チェックをしていた。


 そこに明るい金髪の青年が駆け込んできた。


「よっ! 俺はオスカーだ。ガスパールから聞いてるぜ!」


 オスカー・フォン・ブラウンは笑顔で手を差し出した。彼は狩猟祭の準備中にガスパールからエレノアのことを聞かされ、興味を持って近づいてきたらしい。


 エレノアがオスカーの手袋を嗅いだ瞬間、表情が変わった。


「……この手袋、微かに異臭がします。興奮作用のある香料が混ざっています。馬も騎士も冷静さを失う可能性が」


 オスカーはすぐに真顔になった。


「マジか……。上は俺たちを試しているのかもしれないな」


 四人の騎士(ガスパール、ルーカス、ディートリヒ、オスカー)がエレノアを中心に集まり、急遽手袋と鞍の交換作業を行った。

 目立たないよう、交代で作業を進めた。


 狩猟が始まると、確かに一部の上級騎士の馬が興奮気味に暴れかけたが、若手騎士たちは事前の対策で無事だった。


 

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