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一度すべてを失った私が、「選ばない」という選択で世界を壊すまで  作者: 優雨セレス


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第36話 一回目の本当の失敗

 ――選び方を変える。


 そう口にした瞬間。


 すべてが、静止した。


 崩れかけていた空間も。


 消えかけていたミレイユも。


 剣を下ろしたリディアも。


 目を閉じたアルベルトも。


 すべてが、“止まっている”。


「……」


 創る側だけが、動いている。


 静かに。


 ゆっくりと。


「……何をするつもりだ」


 声は、低い。


 だが。


 先ほどまでとは違う。


 確実に、“警戒している”。


「簡単です」


 私は答える。


 短く。


 明確に。


「確認します」


「……何を」


「一回目を」


 その瞬間。


 空気が、変わる。


 創る側の気配が、わずかに揺れる。


「……それは終わった話だ」


「いいえ」


 私は首を振る。


「終わっていません」


 核を、強く握る。


 光が、深く沈む。


 広がるのではなく。


 “内側に潜る”。


「……」


 創る側が、沈黙する。


 止めるべきか。


 迷っている。


 だが。


 もう遅い。


「……見せます」


 私は、目を閉じる。


 そして。


 核に、触れる。


 ――落ちる。


 意識が。


 再び。


 あの場所へ。


---


 ――中庭。


 崩れた王宮。


 灰色の空。


 倒れた人々。


 血の匂い。


「……」


 私は、そこに立っている。


 だが。


 今度は違う。


 “見ているだけではない”。


 ――感じている。


「……」


 足が動く。


 今度は。


 止まらない。


 進む。


 あの場所へ。


 リディアが倒れていた場所。


 だが。


 その前に。


 視界の端に、別の光景が入る。


「……っ」


 ミレイユ。


 倒れている。


 まだ、生きている。


 だが。


 もう、時間がない。


 さらに。


 アルベルト。


 遠くで、敵を押さえている。


 だが。


 限界だ。


「……」


 理解する。


 これが、“本当の状況”。


 私は。


 選べた。


 ――三つ。


① ミレイユを助ける

② リディアを助ける

③ アルベルトを助ける


 そして。


 私は――


「……」


 思い出す。


 はっきりと。


 あのときの自分。


 何をしていたか。


 何を考えていたか。


「……全部、助けようとしていた」


 その瞬間。


 空気が、重くなる。


 創る側が、見ている。


 だが、止めない。


 見せる価値があると判断したのか。


「……」


 私は、動いていた。


 ミレイユに近づき。


 手を伸ばし。


 だが。


 止まる。


 リディアを見る。


 あちらも危険だ。


 アルベルトも。


 持たない。


「……」


 迷っていた。


 確実に。


 短い時間。


 だが。


 致命的な時間。


「……」


 結果は、知っている。


 だが。


 今は違う。


 “理解している”。


「……」


 私は、ゆっくりと息を吐く。


 そして。


 言う。


「……違う」


 その瞬間。


 空間が、わずかに揺れる。


 創る側が反応する。


「……何が違う」


「私は」


 はっきりと。


 言い切る。


「選べなかったのではありません」


 沈黙。


「……なら何だ」


「選ばなかったのではありません」


 さらに。


「決めきれなかった」


 その一言。


 重い。


 だが。


 正確だ。


「……」


 創る側が、黙る。


 完全に。


「私は」


 続ける。


「“正しい選択”を探していた」


 だから。


「動けなかった」


 結果。


 すべてが遅れた。


 そして。


 全員が死んだ。


「……」


 空気が、変わる。


 静かに。


 だが、確実に。


「……なるほど」


 創る側が、低く言う。


「では、今回はどうする」


 問い。


 核心。


 私は、迷わない。


「簡単です」


 一歩、前に出る。


 あの瞬間へ。


「正しさを捨てます」


 その瞬間。


 世界が、止まる。


 完全に。


「……何?」


「私は」


 はっきりと。


「間違えることを選びます」


 その一言。


 すべてが、変わる。


 創る側の気配が、明確に揺れる。


「……それは」


 言葉が、止まる。


 初めて。


 理解が追いつかない。


「ええ」


 私は頷く。


「だから、ここまで来ました」


 そして。


 手を伸ばす。


 今度は、迷わない。


 一直線に。


 ――一人へ。


 その瞬間。


 世界が、割れる。


 過去が、崩れる。


 記憶が、更新される。


---


 ――戻る。


 白い空間。


 だが。


 違う。


 空気が、完全に変わっている。


「……」


 創る側が、沈黙している。


 長く。


 深く。


 そして。


「……それが」


 低く。


 震える声。


「答えか」


「ええ」


 私は答える。


「これが、私の選び方です」


 その瞬間。


 完全に。


 均衡が崩れる。


 戦いが。


 終わりに近づく。


「……なら」


 創る側が、ゆっくりと手を上げる。


 だが。


 もう、遅い。


「次で終わりです」


 私は、静かに言う。


 迷いなく。


 確信を持って。


「――あなたの敗北で」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


ついに「一回目の本当の失敗」が明らかになりました。


主人公は「選べなかった」のではなく、

「正しく選ぼうとして動けなかった」。


そして今回は、

“間違えることを選ぶ”という答えに辿り着きます。


次は、最大のカタルシスです。


もし続きを読みたいと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次は「間違った選択」です。

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