表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一度すべてを失った私が、「選ばない」という選択で世界を壊すまで  作者: 優雨セレス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/38

第35話 選ばない限界

 ――崩れている。


 白かった空間が、ひび割れていく。


 音はない。


 だが、確実に壊れている。


 視界の端から、少しずつ。


 世界そのものが、削れていく。


「……っ」


 ミレイユが、私の腕を掴む。


「セレスティア様……これ……!」


「ええ」


 私は答える。


 短く。


 迷いなく。


「崩壊です」


 事実だけを告げる。


 飾らない。


「そんな……」


 彼女の手が、震える。


 温度が伝わる。


 それでも。


 私は動かない。


 リディアが前に出る。


 剣を構える。


 だが、その先に敵はいない。


 ただ、崩れていくだけだ。


「……止められるのですか」


 低く問う。


 その声には、わずかな焦り。


 当然だ。


 これは、戦いではない。


 “消滅”だ。


「いいえ」


 私は首を振る。


「止まりません」


 即答。


 迷いなく。


 アルベルトが、息を吐く。


「……つまり」


 静かに言う。


「選ばなければ、全滅か」


「ええ」


 私は頷く。


 それが、この構造だ。


 創る側の声が、響く。


「理解したか」


 冷静な声音。


 だが、その奥に。


 わずかな優越。


「選ばなければ、すべてが壊れる」


「ええ」


 私は答える。


 同じように。


「理解しています」


 そして。


 一歩、前に出る。


 崩れていく空間へ。


「……ならば選べ」


 創る側の声が、低くなる。


「今度こそ」


 圧がかかる。


 強い。


 だが。


 私は止まらない。


「……」


 視界の端で、ミレイユの姿が揺れる。


 彼女の輪郭が、薄くなっている。


「……セレスティア様」


 声が、かすれる。


 存在が、消えかけている。


 リディアも。


 アルベルトも。


 同じだ。


 全員が、少しずつ削られている。


「……」


 私は、目を閉じる。


 整理する。


 ここで選べば。


 誰かは残る。


 だが。


 誰かは消える。


 それは。


 一回目と同じだ。


「……」


 私は、ゆっくりと息を吐く。


 そして。


 目を開ける。


「選びません」


 その瞬間。


 空間が、大きく軋む。


 さらに崩れる。


「……愚かだ」


 創る側が、はっきりと否定する。


「それでは、すべてを失う」


「ええ」


 私は頷く。


 否定しない。


 それが事実だからだ。


「では、なぜだ」


 問い。


 今度は、純粋な疑問。


 私は、少しだけ考える。


 そして。


 答える。


「同じだからです」


 沈黙。


 創る側が、黙る。


「……何が」


「選べば」


 私は言う。


「誰かが死ぬ」


 一歩、前に出る。


「選ばなければ」


 さらに。


「全員が死ぬ」


 どちらも。


 結果は同じ。


「……」


 空気が、止まる。


「なら」


 私は続ける。


「その前提自体が間違っています」


 その瞬間。


 創る側の気配が、揺れる。


 明確に。


「……前提だ」


 低く言う。


「それが世界だ」


「いいえ」


 私は否定する。


 はっきりと。


「それは“押し付けられた条件”です」


 核を、強く握る。


 光が、わずかに強くなる。


「……」


 創る側が、沈黙する。


 長く。


 深く。


「……ではどうする」


 ようやく、問いが返る。


 私は、少しだけ笑う。


「簡単です」


 そして。


 答える。


「両方を壊します」


 その瞬間。


 空間が、大きく揺れる。


「……不可能だ」


「ええ」


 私は頷く。


「だからやります」


 一歩、踏み出す。


 崩壊の中心へ。


「選ぶか、選ばないか」


 私は言う。


「その二択自体を、壊します」


 核が、強く光る。


 反応している。


 理解している。


「……」


 ミレイユが、こちらを見る。


 もう、ほとんど消えかけている。


 だが。


 笑う。


 小さく。


「……信じて、いいんですよね」


「ええ」


 私は答える。


 迷いなく。


「任せてください」


 その一言。


 短い。


 だが。


 確定している。


 リディアが、剣を下ろす。


 アルベルトが、静かに目を閉じる。


 全員が。


 委ねる。


「……」


 私は、目を閉じる。


 思考を止める。


 選択をしない。


 だが。


 今度は違う。


 これは、放棄ではない。


 準備だ。


「……来い」


 創る側が、低く言う。


「見せてみろ」


 圧が、強まる。


 崩壊が加速する。


 もう、時間はない。


「……」


 私は、ゆっくりと目を開ける。


 そして。


 呟く。


「――選びます」


 その瞬間。


 空間が、止まる。


 完全に。


 すべてが、静止する。


「……」


 創る側が、黙る。


 理解できていない。


「選ばないのではありません」


 私は言う。


 はっきりと。


「選び方を変えます」


 核が、強く光る。


 限界まで。


 そして。


「――ここからです」


 すべてが、収束する。


 決断の瞬間へ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


ついに「選ばない」の限界が来ました。


そして主人公は、

“選ばない”ではなく“選び方を変える”という答えに辿り着きます。


ここからが本当の決断です。


次は、すべてが決まります。


もし続きを読みたいと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次は「間違った選択」です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ