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一度すべてを失った私が、「選ばない」という選択で世界を壊すまで  作者: 優雨セレス


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第32話 選択の剥奪

 ――“選ばせない”。


 その言葉が落ちた瞬間。


 世界が、止まった。


「……え?」


 ミレイユが、わずかに首を傾げる。


 だが。


 その動きが、途中で止まる。


 完全に。


 固定される。


「……っ」


 リディアが剣を構えようとする。


 だが。


 腕が、上がらない。


 動作の途中で、凍りつく。


 アルベルトも同じだ。


 踏み出そうとした足が、そのまま空中で止まる。


 ――動けない。


 いや。


 動かない。


 “次”が、来ない。


「……なるほど」


 私は、静かに呟く。


 自分の声だけが、動く。


 思考も、流れる。


 だが。


 行動が、繋がらない。


 これは。


 “選択の前”で止められている。


「どうだ」


 創る側が言う。


 ゆっくりと歩きながら。


 誰も止められない。


「選べなければ」


 一歩、近づく。


「何も起きない」


 その通りだ。


 これは、最も単純で。


 最も強い。


 完全な封殺。


「……」


 私は、目を閉じる。


 考える。


 何が止められている。


 ・動作の選択

 ・行動の分岐

 ・意思から結果への接続


 つまり。


「……結果が出ない」


 私は呟く。


 選択はできる。


 思考もある。


 だが。


 “反映されない”。


「ええ」


 創る側が頷く。


「お前は、もう何も変えられない」


 断言。


 迷いなく。


「……」


 私は、ゆっくりと息を吐く。


 焦りはない。


 むしろ。


 整理されている。


「……いいえ」


 私は、目を開ける。


「変えられます」


 創る側が、わずかに眉を動かす。


「どうやって」


「簡単です」


 私は言う。


「選択しなければいい」


 沈黙。


 そして。


「……何?」


「今までの問題は」


 私は続ける。


「“選択”を起点にしていたことです」


 一歩、踏み出す。


 ――動く。


 空間が、わずかに歪む。


「……!」


 創る側の目が、初めて揺れる。


「選択→行動→結果」


 それが、封じられている。


 なら。


「逆にします」


「……逆?」


「結果から動く」


 その瞬間。


 空気が、明確に変わる。


「……馬鹿な」


「いいえ」


 私は首を振る。


「すでにあります」


 指を立てる。


「一回目の結果」


 あの失敗。


 あの崩壊。


 あの終わり。


 それは。


 すでに“確定している”。


「……」


 創る側が、黙る。


 理解している。


 だが。


 認めたくない。


「私は」


 ゆっくりと、言う。


「すでに知っています」


 視線を上げる。


「このままでは、全てが崩れる」


 だから。


「それを、前提にします」


 一歩、踏み出す。


 今度は、はっきりと。


 動ける。


 選択していないのに。


「……なぜ動ける」


 創る側が、低く問う。


「簡単です」


 私は答える。


「これは、選択ではないからです」


 結果をなぞる。


 確定している未来を、逆に辿る。


 それは。


 “分岐”ではない。


 だから。


 止められない。


「……なるほど」


 創る側が、静かに言う。


 だが。


 その声に。


 初めて、明確な焦りが混じる。


「お前は」


 一歩、下がる。


「“選択を使わない”」


「ええ」


 私は頷く。


「あなたの領域ではありません」


 その瞬間。


 リディアの指が、わずかに動く。


 ミレイユの呼吸が戻る。


 アルベルトの足が、床につく。


 止まっていた世界が。


 少しずつ。


 戻る。


「……セレスティア様」


 ミレイユが、息を吐く。


 声が、戻っている。


「ええ」


 私は答える。


「まだ終わっていません」


 創る側を見る。


 はっきりと。


「ですが」


 一歩、踏み出す。


「あなたの手は、届かなくなっています」


 その瞬間。


 完全に、均衡が崩れる。


 創る側が、初めて明確に後退する。


「……ありえない」


 低く。


 だが。


 はっきりと。


 否定。


「ええ」


 私は頷く。


「だから、ここまで来たのでしょう」


 沈黙。


 重い。


 だが。


 確実に。


 勝っている。


「……いいだろう」


 創る側が、ゆっくりと手を下ろす。


 空間が、戻る。


 完全に。


「ここまでだ」


 その言葉。


 だが。


 終わりではない。


「……逃げるのですか」


 私は問う。


「いいや」


 創る側が、笑う。


 はっきりと。


「ここからが、本番だ」


 その瞬間。


 空間が、大きく歪む。


 今までとは違う。


 もっと深く。


 もっと根源的に。


「……これは」


 リディアが、息を呑む。


 アルベルトが、剣を握る。


 ミレイユが、後ずさる。


 私は、理解する。


 遅れて。


 だが。


 確実に。


 ――舞台が変わる。


「次は」


 創る側が、静かに言う。


「“お前たちが創る側になる”」


 その瞬間。


 視界が、白く染まった。


 何もない。


 空間。


 無限に広がる。


 そして。


 手の中に。


 何かがある。


 ――“核”。


 理解する。


 これは。


 最終段階。


 選ばないのではない。


 選ばされるのでもない。


 ――創る。


 その責任を。


 押し付けられる。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


ついに「選択の剥奪」を突破しました。

そして主人公は、“選択しない”という新しい領域へ。


ですが次は、

さらに重い段階に進みます。


今度は「創る側になる」――

つまり、世界を決める側に回されます。


ここが最大の山場です。


もし続きを読みたいと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次は「創る責任」です。

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