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一度すべてを失った私が、「選ばない」という選択で世界を壊すまで  作者: 優雨セレス


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第18話 選ばないという選択

 ――“選ばない”。


 その結論に至った瞬間、逆に思考が加速した。


 矛盾だ。


 だが、この状況はずっと矛盾の上に成り立っている。


 ならば。


 矛盾で突破するしかない。


「……来ます」


 二体が、同時に踏み込む。


 速い。


 重い。


 そして、完全に“同期”している。


 回避は不可能。


 片方を避ければ、もう片方に当たる。


 選択すれば、強化される。


 ならば。


「動かないでください」


 私は言った。


「え?」


 ミレイユが、固まる。


「でも――」


「止まって」


 強く言う。


 今までとは逆。


 “止まるな”ではない。


 “止まれ”。


 その瞬間。


 空気が変わる。


 二体の動きが、わずかに鈍る。


「……やっぱり」


 私は、小さく呟く。


 確信に変わる。


「どういうことですか……!」


 ミレイユが震える。


 当然だ。


 これまでのルールを、すべて裏切る行動だ。


「選択しない状態では」


 私は、静かに言う。


「優先順位が発生しません」


 つまり。


「強化が起きない」


 二体が、迷う。


 ほんの一瞬。


 だが。


 それで十分だ。


「……今です」


 私は、踏み出す。


 中央へ。


 二体の間に。


 “どちらも選ばない位置”へ。


「――!」


 二体が同時に反応する。


 だが。


 遅い。


 迷いがある。


 それは。


 “選ばれていない”からだ。


「止まりなさい」


 私は、両手を伸ばす。


 どちらにも触れない。


 触れない位置で。


 視線だけを合わせる。


「あなたたちは」


 言葉を選ぶ。


 慎重に。


 だが、止まらずに。


「まだ、どちらでもない」


 その瞬間。


 二体の動きが、止まる。


 完全に。


 固定されたように。


「……え」


 ミレイユが、息を呑む。


「止まった……?」


「ええ」


 私は頷く。


「“選ばれないもの”は、存在を確定できません」


 それが、ルールの裏だ。


「……そんな」


「だから」


 私は一歩、近づく。


「ここで終わらせます」


 片方に手を伸ばす。


 軽く触れる。


「戻りなさい」


 低く言う。


 反応はない。


 だが。


 抵抗もない。


「ミレイユ」


「……は、はい」


「もう一度」


 彼女が、頷く。


 震えながら。


 でも、逃げない。


「あなたは、ここにいます」


 その言葉で。


 片方が、崩れる。


 静かに。


 完全に。


 残るは、もう一体。


「……同じです」


 私は言う。


 だが。


 その瞬間。


 違和感が走る。


 遅い。


 反応が。


 ほんの少しだけ。


「……あ」


 ミレイユが、声を漏らす。


 残った一体の“形”が。


 変わる。


 歪む。


 さっきまでとは、違う。


「……学習している」


 私は呟く。


 理解する。


 これは。


 ただの繰り返しではない。


 “更新されている”。


「……じゃあ」


 ミレイユの声が震える。


「どうすれば」


 いい質問だ。


 そして。


 答えは、一つではない。


 私は、目を細める。


 そして。


 決める。


「……壊します」


「え?」


「これは」


 一歩、踏み込む。


「もう戻せません」


 その瞬間。


 残った一体が、動く。


 速い。


 迷いがない。


 完全に。


 “次の段階”に入っている。


 私は、躱さない。


 踏み込む。


 真正面から。


「――!」


 衝突。


 腕がぶつかる。


 鈍い音。


 だが。


 止まる。


「……っ」


 重い。


 でも。


 動く。


 押し返す。


「終わりです」


 低く言う。


 そして。


 そのまま、床に叩きつける。


 砕ける音。


 そして。


 完全に、動かなくなる。


「……はぁ」


 ミレイユが、その場に座り込む。


 限界だ。


 当然だ。


 私は、ゆっくりと息を吐く。


 そして。


 理解する。


 今、何が起きたのか。


「……二つ目のルール」


 静かに呟く。


「選ばないことで、均衡を作れる」


 だが。


「……長くは持たない」


 学習する。


 適応する。


 それが、敵だ。


「……セレスティア様」


 ミレイユが、弱く言う。


「これ、終わるんですか」


 私は、少しだけ考える。


 そして。


「いいえ」


 正直に答える。


「むしろ」


 視線を上げる。


「ここからが本番です」


 その瞬間。


 廊下の奥で、音がした。


 ゆっくりと。


 重く。


 扉が、開く。


 そして。


 複数の気配。


 一体ではない。


 二体でもない。


 ――数えきれない。


 ミレイユの顔が、青ざめる。


「……嘘」


 私は、静かに言う。


「選ばない選択は」


 その先を見据える。


「数を増やします」


 それが。


 次のルールだ。


 そして。


 逃げ場は、もうない。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


「選ばない」という突破口が見えた一方で、

それが新たな問題を生むことも明らかになりました。


この物語は、正解を見つけても終わらない構造です。


もし続きを読みたいと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次は「増え続ける敵」です。

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