仕事量激増の神戸家と常陸国に着く六三郎
慶長元年(1596年)三月二十五日
山城国 洛中 神戸家
「宇治丸の汁かけ定食、運んで!」
「はい!」
「五色饅頭も出来ましたよ!」
「はい!」
「雉の肉団子うどんも持って行って!」
「はい!」
主上の貸切から10日後、神戸家は従業員達がフル回転しないといけないほど、大繁盛していた
その理由はひとえに、「主上が人生で格別に美味いと言った物を食べたい!」と言うミーハーな人達、
特に洛中から離れた距離に住む人達が押し寄せて来たからで、以前までは空席待ちが80人前後だったのに、今では150人が空席待ちに並んでいた
その様子に高代は
(天皇陛下がお食事してから10日も過ぎたのに、何でこんなにお客さんが多いのよー!
最初の2、3日は仕方ないと思っていたけど、何で更にお客さんが増えているのよ!
それだけじゃないわ!周辺の魚屋さんはウナギを大量に仕入れて、お客さんと私達にも売ってるし!
これ、私と京六郎くん、それから伊達家の皆さんが帰った後は店の営業は大丈夫かしら?)
自分達が帰った後の神戸家の事が心配になったが
(いいえ!私は、宗六郎の子育てと、弟達の嫁取りを優先しないといけないの!神戸家の後の事は、残る人達に任せたら良いじゃない!)
自分の優先事項を思い出して、心配の気持ちを消した。残り数日とはいえ高代達は休めそうになかった
一方その頃、六三郎達はと言うと
慶長元年(1596年)三月二十九日
常陸国 某所
「ようやく着いたか!柴田殿、体調は大丈夫か?」
皆さんこんにちは。陸奥国から2週間程かけて、常陸国へ到着しました柴田六三郎です。いやあ、陸奥国と違い、太陽を強く感じますよ!
そんな俺達の事を佐竹殿が心配している理由ですが
「佐竹殿。拙者と大多数の赤備え達は大丈夫なのですが、、、源次郎、銀次郎、新左衛門はまだ船酔いが抜けない様ですな」
「殿、佐竹様。申し訳ありませぬ」
「まだまだ慣れないものでして」
「動くのもやっとなのです」
脳筋度合いの強い3人が、船酔いに負けております。何故だ?ゴリゴリのマッチョは船酔いしやすいのか?
でも、3人がこんな状態では直ぐに動けないので
「佐竹殿。誠に申し訳ないのですが、3人の体調を回復させたいので、今日一日、居城の水戸城で我々を休ませてもらえないでしょうか?」
佐竹殿に「一日だけ休ませて」とリクエストしましたら
「柴田殿!それくらい、お安いご用ですぞ!それに、柴田殿は勿論、赤備えの面々にも出て欲しいものがあるから、それを了承してくれるか?」
何やら「出て欲しい行事がある」的な事を言われましたが、まあ常陸国は平和ですし関東も変な事を考える輩も居ないはずですから、良いでしょう。でも、念の為
「戦に関する事でなければ」と前置きしておきましょう。俺の前置きを聞いた佐竹殿は
「安心なされよ。儂が柴田殿並びに赤備えの面々に出て欲しいものは、四郎の葬儀じゃ
まあ、細かい事は城の中に入ってから説明しよう!船酔いの三人は歩くのも辛いと思うが、もう一踏ん張りしてくれ!」
まさかの四郎殿の葬儀に俺達全員出てくれと頼んで来ました。親族じゃないけど良いのか?まあ、特になにかするわけじゃないし、此処は言葉に甘えよう
「分かりました。佐竹殿のお言葉に甘えたいと思います」
「済まぬな!それでは、水戸城へ向けて出立じゃ!」
こうして、六三郎と赤備え達は水戸城でしばらく世話になった
その日の内に水戸城に入った六三郎一行のうち、船酔いが酷い3人以外の面々は大広間に集まり、そこで六三郎が
「佐竹殿、そして次郎殿。我々が四郎殿の葬儀に出る事は構いませぬが、佐竹家の一門でも親族でもない我々に葬儀に出て欲しい理由とは、どの様な理由なのか教えていただきたく」
「葬儀に出て欲しい理由を教えてくれ」と質問すると、義重が説明を始める
「柴田殿。その理由じゃがな、簡潔に言うと四郎が柴田殿と赤備えの面々に強く憧れていたからじゃ
四郎が産まれたのは、織田家と徳川家が勝四郎殿のお父上率いる武田家と三河国で戦った年なのじゃが、
大きくなるにつれて、柴田殿と赤備えの面々の見事な武功を挙げた戦の話を聞いて、いつか次郎の補佐をする為に
柴田殿の様な見事な軍略の才を持ち、赤備えの面々の様に精強な家臣達を召し抱えるのだと、目標を立てておった
それは十五歳で蘆名家に養子に行ってからも変わらなかった。だからこそ柴田殿、そして赤備えの皆、
四郎の葬儀に出て、最期に四郎が憧れた皆で旅立たせてくだされ!この通り!」
「柴田様!赤備えの皆様!拙者も父上と同じ思いです!
四郎の最期に皆様が居たら四郎も心晴れやかに旅立てる筈です。なので、どうか!」
義重は説明を終えると、六三郎と赤備え達に頭を下げて葬儀に出席してくれと頼み込む。父の義重に続いて義宣も同じ様に頭を下げる
2人の懇願に六三郎は
「分かりました。葬儀に出席しましょう。それと四郎殿の為に、ひとつやりたい事があるのですが、
その為の準備と必要な人材を明日にでも紹介してもらいたいのですが、よろしいでしょうか?」
「四郎の為にやりたい事がある」と、義重に伝えると
「分かりました。四郎もきっと納得してくれるでしょう。それで、どの様な事を?」
「はい。それは○○○です」
「ま、誠ですか。分かりました。明日の朝一にその者達の元へ行きましょう!」
義重は了承した。そして六三郎もそのやりたい事を説明して、更に義重を驚かせたが六三郎が四郎の為にやりたい事とは一体?




