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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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帰国の途の六三郎と高代の戦

慶長元年(1596年)三月十四日

陸奥国 相馬家領内 湊


「それでは伊達殿!四郎の事、誠に感謝する!そして田村殿!子を大事に育てるのじゃぞ!そして、更に子を持ちなされ!」


「佐竹殿!柴田殿!陸奥国の騒乱を鎮めてくれた事、誠に有難うございます!」


「佐竹様!柴田様!勝竹次郎は勿論、将来産まれる子も、大事に育てます!」


皆さんおはようございます。佐竹家の船に乗って、帰国準備に取り掛かっております柴田六三郎です


いやあ、長かった!高代さんのお迎えも出来ず、高代さんの産んだ子が次男なのか、三女なのかも分からない程


出張が長引いたので、戦が長引いていたら八つ当たりをしていた自信がありましたが何とか終わって、ほっとしております


それじゃあ、別れの挨拶をしておきましょう


「伊達殿!これから陸奥国の統一という大仕事が待っておりますが、伊達殿ならば成し遂げられると期待しておるぞ!


そして田村殿!子は鎹であり宝じゃ!慌てず少しずつ育てて、立派な当主にしていきなされ!」


「はい!柴田様、家臣達も鍛えて、勝竹次郎も鍛えて強い田村家にします!誠にありがとうございました!」


「うむ!期待しておるぞ!それで佐竹殿」


「それでは出立じゃあ!」


「「「「「おおお!」」」」」


こうして、六三郎は何とか弥生の内に帰る事が出来た


一方その頃、洛中の神戸家では


同日

山城国 洛中 神戸家


「「「ありがとうございましたー!」」」


貸切の前日の営業の最期の客を見送って、戸締りを始めていた。当然、従業員の中に高代も居るが


その高代は


(いよいよ明日が来るわー!一緒に働いている皆が居るとはいえ、この私が天皇陛下に食事を出すなんて!


前世の看護師だった頃は勿論だけど、この時代に産まれてからも天皇陛下は遠い存在だった


そんな私が、六三郎さんのレシピがあるとは言っても天皇陛下に料理をお出しする大役をやる事になるなんて!


特別な料理じゃなくて、いつもの神戸家の料理で良いと言ってたし、それはそれで気が楽だわ!


でも、間違いなく信長や公家衆が来るだろうから、大人数になる可能性もあるだろうなあ!


その時はその時だし、いざとなったら京六郎くんと、兵五郎くん、五郎八ちゃん達にも働いてもらいましょう!)


全員出勤して、貸切の日を乗り越える考えだった。そして翌日


慶長元年(1596年)三月十五日

山城国 洛中 神戸家


とうとう貸切の日になり、朝6時には従業員全員が出勤して、食材の確認から始まり、周辺の清掃、更に制服チェックを終えると高代が


「さあ、皆さん!今日は貸切の日ですが、いつも通りの接客を心がけましょう!」


「「「「はい!」」」」


全員にいつも通りの事をやろうと声をかけて、全員返事をして、仕事に取り掛かった


仕事を開始して、およそ1時間後、神戸家に現れたのは


「皆!準備は、、、万端の様じゃな!」


「流石、抜かりは無いですな」


「「「右府様!それに徳川様も!」」」


信長と家康だった。全員の様子を見た信長は


「皆!貸切を頼まれた方、そしてお付きの方々は半刻程で到着なされる!儂と二郎三郎もその中に居る。人数は五十人程じゃが


儂達の事は特に気にせず、いつも通りの神戸家の料理を作り、接客をしてくれ!良いな!?」


「「「「はい!」」」」


「うむ!それでは、引き続き準備に専念していてくれ!」


到着まで残り1時間くらいで、人数は五十人、自分と家康もその中に居る事を伝え、改めて、「いつも通りの神戸家」として務める事を命令した


そこから信長と家康は先導役として主上達の元に戻っていった


その間に高代達は、いつも通りの準備に取り掛かって、あとは出迎えるだけになると


「参られました!!」


京六郎が信長達の姿を見つける。神戸家で食事するのは五十人なのにも関わらず、


道中の護衛の者達が主上の乗る牛車を囲みながら進んでおり


、それらを合わせたら10倍の500人程の一行が神戸家に向かっていた


そして、一行が神戸家に到着すると、当然周囲の民達が何事かとザワつくが


周囲に配置されていた織田家の兵達により壁が出来ていた為、必要以上の距離まで近寄る事はなかった


そして、神戸家の前に牛車が到着すると、主上の代わりに近衛前久が


「神戸家の者達、本日貸切の五十人じゃ。世話になるぞ」


主上の代わりに店長ポジションの家臣に声をかける。前久の挨拶に


「は、はい!ごゆるりとお寛ぎください」


緊張が隠せなかった。しかし、ここで厨房でウナギの蒲焼きを高代が作っていた事もあり、刺激的な香りが漂うと


「近衛よ、この香りは辛抱出来ぬ!早く入ろうではないか!神戸家の店主よ、最初の料理はこの香りの料理を頼むぞ!」


簾で顔を隠した状態で「早く入ろう!最初はこの香りの料理を頼む!」と入店と注文を同時に行なう


それをきっかけに緊張が解けた家臣は


「は、はい!お入りください!」


五十人を案内する。そこから、ウナギの蒲焼き定食を出すと主上は


「この器の温かさ、そして見事な香り。それだけではなく、艶やかで温かい白米の飯とは、何とも素晴らしい!それではいただくとしよう」


蒲焼きをのせた皿を触って温かさを感じ、香りを楽しみながら、蒲焼きを最初に食べると


「美味い。織田右府と徳川中納言から事前に教えてもらっていたが、宇治丸がこれ程美味な料理になるとは!


そして、この宇治丸の汁かけと共に米を食べてみると、やはり美味い!この汁物もまた、美味じゃ!


店主よ、他の宇治丸料理も頼む!そして皆も、料理を食べよ!本日は貸切なのじゃ。我々が食べなければ、神戸家の儲けが無いぞ」


その美味さに感激し、他のウナギ料理も注文した。そして信長達にも「神戸家の為に注文しろ」と言うと、一斉に注文が入りだす


ここから、店内は一気に慌ただしくなり、ウナギ料理だけでなく、甘味も大量に注文が入る


午前の朝食と午後の昼食が50人しか居ないのに、あっという間にこの日の食材の半分が無くなったが


主上はとても満足した様で


「とても素晴らしい料理と体験であった。織田右府よ、料理を作った者に礼を言いたい。連れて来てくれぬか?」


信長に「料理人を連れて来て」と頼むと、信長は


「ははっ!」


返事をして、厨房に行き


「高代!休んでいるところ済まぬが、今すぐ来い!」


有無を言わさず高代を店内に連れて行き、主上の前に正座させると、主上は


「織田右府よ、この女子が料理を作っておったのか?女子よ、名を教えてもらいたいのじゃが、良いか?」


高代に「名を教えてくれ」と伝えて、高代は


「は、はい!織田家家臣、柴田播磨守の側室の高代と申します!」


緊張しながらも、自己紹介した。高代の自己紹介を聞いて主上は


「あの播磨守の嫁か。それならば、この料理の腕も納得じゃ。高代よ、今日の料理は我が人生の中でも格別の美味さであった!


礼を申す。この礼は織田右府を通じて、必ず返すと約束しよう」


高代に対して、お礼をすると宣言した。言われた高代は


「は、はい!」


返事を返すだけで精一杯だった。満足した主上は立ち上がると


「それでは皆、御所へ帰ろう!神戸家の店主よ、貸切にかかった銭は後日、織田右府に渡すので、済まないが待っていてもらいたい。良いか?」


帰る宣言と、代金は信長に渡すと店長に伝える。それを聞いた店長は


「ははっ!」


了承するしかなかった。そこから、主上は牛車に乗り込み、公家衆、更に信長と家康も神戸家の外に出て、御所を目指して帰った


こうして、神戸家の緊張感溢れる貸切は、何事も無く終了したが、この後の夕方の営業をする気力は無かったので、


この日の神戸家は臨時休業の形を取る事にして、休む事になった。

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― 新着の感想 ―
生まれた子供の性別すら知らないってのがなかなかの闇ですわ…w しかしこの歴史だとウナギ料理が今以上の格式を得ることになりそうだ。
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