大繁盛の神戸家と重要な事を任される信長
天正二十四年(1596年)二月六日
山城国 洛中 神戸家
「宇治丸の白焼き、出来ましたよ!運んで下さい!」
「はい!」
「粒あんの饅頭2つも!」
「はい!」
「宇治丸の澄まし汁も!」
「はい!」
「ウグイス色の饅頭もお願いします!」
「はい!」
京六郎の騒動の翌日、神戸家は途轍もない大繁盛をしていた。大改装した神戸家は1階に80人、2階に40人の計120人が座れる作りになっていたが
満席であるだけでなく、更に空席待ちまで合わせると200人程の人間が神戸家に詰めかけていた
そんな中で京六郎は、政宗の子供の五郎八姫と兵五郎と共に防寒グッズを販売していたが
その手法が
「姫様、とてもお似合いです。父君と母君も、よく似合っておりますぞ!」
「京六郎様が、お似合いと仰るのであれば一つ買いましょう。父上も母上もよろしいですね?」
「まあ、少し値は張るが、寒さ対策にもってこいだし、買うか!」
「そうですねえ。着物を着ていると首周りが冷えますけど、これがあると暖かいですし、買いましょう!」
「「「ありがとうございます」」」
京六郎目当てに来た女子達と親に営業をかける事だった。京六郎に褒められたから買う女子と
防寒グッズの有用性に納得して買う親以外に、五郎八姫と兵五郎の幼子が
「こちら、暖かいですよー!」
「買ってくださーい!」
と、全力でアピールする姿を見て、
「あんな幼子が働いているなら、買ってあげなきゃ、大人として恥ずかしいだろ!」
と、心を揺さぶられて買う大人も居た。歳頃の女子や大人は防寒グッズを買っていたが
ケモ耳カチューシャの売り上げが今ひとつだった。そこで京六郎が
「五郎八殿、兵五郎殿。髪飾りを着けた状態で、店の前に出て声をかけてみましょうか」
六三郎が考えていた、「モデルが着用した状態を見せて販売する」を知らず知らずのうちに実行すると
「父様!あの兎の耳みたいな髪飾り、可愛いです!私も欲しい!」
「祖父様!丸い耳の付いた髪飾り、買ってください!」
幼い娘達が、父親や祖父に買ってくれとねだる声が聞こえて来た。これをきっかけに京六郎は
「そちらの姫様も、こちらの髪飾り、如何ですか?拙者が着用すると、こうなりますが、姫様が着用すると、より可愛らしくなると思いますぞ?」
神戸家を出て京六郎に会いに来た女子に営業をかけていた。京六郎の営業に女子は
「買います!一つずつください!」
まさかのクマ耳とウサ耳の両方を買っていった。これに京六郎は
「お買い上げ、ありがとうございます。それでは、こちらの髪飾り、拙者がお着けしましょう」
カチューシャ2つを女子の頭に着けるサービスをした結果、京六郎の顔が間近に来た女子は
「は、はああ。京六郎様のお顔が、こんな近くに」
とても興奮して、顔が真っ赤になっていたそんな事を知らない京六郎がカチューシャを着け終え、女子の真正面に顔を下ろして
「とてもお似合いですよ」と、一声かけたら、
「はああっ!が、眼福、過ぎ、る」
女子が思わず声を上げる。推定身長180センチの京六郎が、150センチ台前半の女子にそんな事をした結果
「私もよろしいですか?」
「次は、私に」
「その次で構わないので、私にも」
カチューシャを買う女子が列を作っていた防寒グッズとセットで販売する事も考えていたカチューシャが
この日の販売分の50個を、あっという間に完売した。この様子を料理を作りながら時々見ていた高代は
(六三郎さんは転生者だから、この時代で独特でクセ強な人なのは仕方ないけど、
まさかの京六郎くんまで、独特な人だったか〜。しかも、あの感じは天然でやってるだろうし、
こりゃ京六郎くんの正室さんは苦労するだろうなあ
それこそ「あの人は女子に好かれるのは仕方ないですが、正室は私なのです!」みたいに
器が大きいか、肝っ玉が太い女性じゃないと、心労が絶えないだろうし。頑張ってね京六郎くんの未来の正室さん)
※高代は京六郎が結婚した事を知りません
神戸家が大繁盛している同時期、信長は御所に呼ばれていた
天正二十四年(1596年)二月十日
山城国 御所
「織田右府よ、面を上げよ」
「ははっ!」
主上に言われた信長は、面を上げ、何を言われるのかと待っていると
「さて、織田右府よ。朕がお主を呼び出した理由は、何じゃと思う?直言を許すから申してみよ」
まさかの「呼び出した理由を当ててみろ」だった。これには信長も予想外だった様で
「申し訳ありませぬ。ここ最近、政は息子に任せておりましたので、息子が何か失態をおかしたのですか?」
「信忠が何かやらかしたのですか?」と質問する事しか、出来なかった。信長の答えを聞いた主上は
「ほっほっほ。織田右府よ、お主の息子の織田内府は、見事な政を実行し、畿内を中心とした織田家の領地を安定させておる。なので、安心せよ」
「信忠はちゃんとやってるから、安心して良いよ」と、褒めて来た。これを聞いた信長は
「お褒めの言葉、ありがたき!」
感謝を述べると、改めて
「それでは、此度、拙者が呼ばれた理由を教えていただきたく」
呼び出された理由を求めた。信長の問いに主上も簾の向こうで姿勢を正すと
「改めて織田右府よ、数年前に足利の阿呆が征夷大将軍の官位を返上した事により、
日の本の安寧を任せる事が出来るのは、名実共に織田家になった!
そこでじゃが、お主に征夷大将軍の官位を授けたい!それだけでなく、お主の息子や家臣達に少しばかり上の官位も授けたい」
信長に征夷大将軍の官位、そして信忠や信孝の息子達、更には六三郎達家臣の官位も上にしたいと宣言した
これを聞いた信長は
「身に余る光栄にございます!」
声を震わせて喜んだ。しかし、主上は
「じゃが、その為の条件が幾つかある」
信長の征夷大将軍就任への条件があると伝える。それを聞いた信長は
「どの様な条件でしょうか?」
条件の内容を確認する為、質問すると
「うむ。先ず大和国の事じゃ。最近、大和国の民が伊賀国に逃げておるそうじゃ
この原因を調べて、大和国に民達が戻る様にせよ!これが一つ目の条件じゃ
次に、九州でキリシタンの信者が増えて伴天連共が、好き勝手しておるとの報告が入った
中にはその土地を治める大名がキリシタンになり、民達を伴天連共に売り、南蛮の武器を始めとした物を買ったりするだけでなく
領地の昔からある宗教の寺を壊してキリシタンの寺を建てておるそうじゃ!この様な事、
先祖代々日の本の安寧を祈って来た朕は勿論、許せぬ!ご先祖様も怒り心頭で許さぬじゃろう!
そこでじゃ!これから三年の内に、大和国の安寧と九州のキリシタン共の征伐を成した暁には、征夷大将軍の官位を授けたい!やってくれるな?」
主上からの条件を聞いた信長は
「ははっ!三年の内に、大和国の安寧と九州のキリシタン共の征伐を見事に成し遂げてみせます!」
「成し遂げてみせる!」と宣言した。信長の言葉に主上も
「その言葉、信じておるぞ!」と返した後に
「改めてじゃが、織田右府よ!お主に今挙げた二つ以外の事をやってもらいたい!!難しい事ではない、元号を考えて欲しいのじゃ!
朕は、お主や息子達、更には家臣達が新たな時代を、新たな日の本を作ると信じておる!だからこそ、新しい時代の始まりの元号を決める権利をお主に与える
今日から四日、じっくりと考えて、新たな元号を朕に見せてくれ」
「ははっ!!」
「新しい元号を決めてね」と伝える。こうして、信長は重大なやるべき事が一気に増えたが、とてもやる気に満ちていた。




