お市様は落ち着いたと思ったら
市が宗六郎を抱っこしながら上機嫌で大広間に向かっていると
「宗六郎!」
高代がやっと到着した。到着した高代は市が宗六郎を抱っこしているのを見ると
「義母上!宗六郎が申し訳ありませぬ!宗六郎!母の元に来なさい!」
慌てて宗六郎を市から奪い取ろうとする。しかし、市は
「ほっほっほ。高代、気にせずとも良いのですよ。まだまだ宗六郎は三歳か四歳くらいでしょうから、
あまり抱っこも辛くありません。それに、甲六郎達は帰って来た時には充分過ぎる程成長していましたから
抱っこ出来る孫は現在のところ、宗六郎しか居ないのです。なので、私に抱っこさせてください」
「抱っこ出来るうちに抱っこしたいから、このままにしてくれ」と高代に頼んだ。市のリクエストに高代は
「義母上がそこまで仰るのでしたら」
宗六郎を市にそのまま任せる事にした。その状態で市を先頭に大広間へ向かい到着すると
「市!ようやく来たか!」
信長が何食わぬ顔出来る市を歓迎した。お気楽な信長に市は
「兄上、色々と言いたい事はありますが、先ずはお帰りなさいませ」
目の奥が笑ってない笑顔で信長の帰還を祝う言葉を述べた。そんな市の空気を察したのか信忠は
「父上、叔母上に関しては父上が対処すると仰っていたので、お願いしますぞ?」
「自分は無関係だからな!」と小声で信長へ念を押した
信忠の念押しに信長は
「分かっておる」と答えると、市達へ向き直り
「それでは市よ、色々と聞きたいのじゃが宗六郎は離れてくれぬのか?」
市へ色々と聞こうとしたが、宗六郎が気になっていた。しかし、その宗六郎が
「右府の爺様!拙者は母上と共に別の部屋に居た方がよろしいですか?」
いつもの様に信長へ「右府の爺様」と呼ぶと、市は
「おっほっほっほ!あなたが右府の爺様と呼んでおる方は、私の兄君ですよ」
思わず笑ってしまったが、ちゃんと信長がどういう人か説明した。市の説明を聞いた宗六郎は理解出来なかった様で
「祖母様の兄君と言う事は、、、祖母様は右府の爺様や池田の爺様と年齢が近いのですか?」
「信長と恒興と市の年齢が近いのか?」と質問して来た。宗六郎の言葉に信長は
「そうじゃぞ宗六郎。お主の祖母様は」
宗六郎の言葉に悪ノリしようとしたが、市が
「そんな事ありませんよ宗六郎。私は右府の爺様より十歳以上若いのですから」
信長の言葉を遮る様に、「年齢が離れている自分は若い」アピールをして来た。そんな市に信長は
「市よ、そこまで若々しいと見せようとするのは」
「若作りアピールは痛いぞ?」と指摘しようとしたが、市は
「あらあら兄上?私は兄上と十歳以上離れている「事実」しか宗六郎に教えていませんが何か問題でもありましたか?」
「若作りなんてしてませんが?」と信長に返す。兄妹の静かな戦いに大広間がピリついたが
「祖母様。そんな怖いお顔をしては、美しいお顔が台無しです!右府の爺様と争わないでくだされ!」
宗六郎が市を宥めつつ、場の空気を和らげる言葉を発した。宗六郎の言葉に市も
「あら、宗六郎ごめんなさい。祖母様は右府の爺様と争っているのではないのです
少しばかり、お話し合いをしているだけですからね」
宗六郎を気遣うしかなかった。そんな状況に信長が高代に対して
「高代、済まぬが宗六郎を連れて行ってくれぬか?少し、いや、かなり深い話し合いをしたい。子供に聞かせてはならぬ内容になるじゃろうからな」
「宗六郎と共に席を外してくれ」と命令した。高代も空気を察したので
「は、はい。宗六郎、母と部屋に戻りますからね」
そう言って、宗六郎を市から受け取って大広間を出て行った。大広間から部屋へ戻る道中、高代は
(ちょっと!お市様、めっちゃ怖いんだけど!宗六郎には激甘だったから良かったけど、確か六三郎さんの扱いにブチギレていたわよね?
もしかして、これで六三郎さんの仕事量が減るけど領地も小さくなるのかなあ?それで戦に出陣しないのであればありがたいけど
流石にそんな事を信長はやらせないだろうなあ。六三郎さんの軍略の才を凄く気に入っているみたいだし
それ以上に六三郎さんが作る物が織田家の財政を支えていたり、古参新参問わず家臣達からの絶大な信頼を得ているから
簡単に休ませてくれないだろうし、どうなるかなあ?あ、それと家康の長女の亀姫様の京六郎くんを見る顔、
あの顔は絶対、京六郎くんのイケメンっぷりに娘ちゃんの嫁ぎ先にしたいと思った可能性が高いだろうな
浜松城でも大変だったのに、安土城でも大変な事になりそう
あ、でも確か信長は京六郎くんを洛中の神戸家と言う茶屋で働かせるって言ってたな
あの高身長細マッチョイケメンが、京都の人が多い地域で働いたら、、、
うん。間違いなくパニックになるわね!こんな時は静かに過ごしましょう!
厄介事に巻き込まれるのは、六三郎さんだけで充分よ!私には宗六郎を育てながら、宗太郎と宗次郎のお嫁さんも探さないといけない義務があるんだから!
あ!それなら、六三郎さんが戦に出陣しない方が2人のお嫁さん探しに集中出来るじゃない!それなら、お市様、いえ義母上の事を応援しましょう!)
色々と考えて最終的に市を応援していた。




