顔合わせの結果と毛利家の歓喜と混乱
「六三郎の弟の事は一旦、置いておくとして、三七と菫、そして二郎三郎と亀姫殿!
此度の子供達の顔合わせは、半分見合いの様な物ではあるが、それ程気にせずとも良い!三七と菫、孫達から自己紹介させよ」
信長は京六郎の事が気になっていたが、とりあえず顔合わせを進める事にした。信長から自己紹介を振られた信孝は
「ははっ。では、三太郎、お主から自己紹介せよ」
三太郎と名付けた男児から自己紹介させた
「ははっ!神戸伊勢守の嫡男、三太郎にございます!今年で、七歳になります」
「神戸伊勢守の次男、七次郎にございます!今年で五歳になります!」
「神戸伊勢守の長女、賢にございます!今年で四歳になります!」
「神戸伊勢守の次女、紫にございます!今年で三歳になります!」
自己紹介した兄妹は嫡男で年長の三太郎が、六三郎の嫡男の甲六郎と同い年だから当然とはいえ、全員が10歳以下だった
4人の挨拶を受けて信長は
「うむ!皆、儂はお主達の父の父、つまり祖父にあたる!しっかりと覚えておくように!」
自分が祖父である事をアピールしていた。信長の言葉に4人は
「「「はい!祖父様!」」」」
しっかりと返事をして答えた。返事に満足顔の信長は続いて
「それでは亀姫殿、子供達に自己紹介させてくたされ」
亀姫に子供達の自己紹介を振ると、振られた亀姫は
「はい。それでは嫡男から、九太郎、あなたから自己紹介を」
嫡男の九太郎から自己紹介をスタートさせる
「ははっ。奥平家嫡男の奥平九太郎家昌にございます!今年で十九歳になります」
「奥平家三男の、奥平九次郎忠政にございます!今年で十六歳になります」
「奥平家四男の、奥平鶴松丸にございます!今年で十三歳になります」
「奥平家長女の、昌美にございます!今年で八歳になります!」
全員が自己紹介を終えると信長は
「元服しておる二人は落ち着いておるが、鶴松丸と昌美は元気いっぱいじゃな!それで、どうじゃ?」
いきなりアバウト過ぎる質問をそれぞれにぶつけて来た。それに対して信孝は
「父上、どうじゃ?とは、どういう意味ですか?」
と、至極当然な疑問をぶつける。信孝の疑問に信長は
「三七、お主も鈍いのう!それぞれの息子達は相手の娘を見て嫁に迎えたいと思ったか、娘達は相手の息子を見て嫁ぎたいと思ったかを聞いておるのじゃ!」
そう説明した後で、更に
「市が産んだ茶々、初、江、文の四人は、柴田家で世話になっていた各家の当主や嫡男を見て、
権六と市に「この者へ嫁ぎたい!」と言い切っておったぞ!文に至っては黒田家の嫡男を見たその日に自ら嫁になりたいと言っておった!だからお主達も」
柴田家の姉妹を例に挙げながら、説明していたが、信孝から
「父上。柴田家の姉妹に関しては、柴田家で世話になっていた者達と仲を深めていたから出来た事だと思われますし、
そもそも、柴田家は六三郎殿を筆頭に普通の家の価値観で縛られていない家なのですから、あまり無茶を言ってはいけませぬ」
「柴田家は普通の家じゃないんだから」と嗜められた。そこで信孝から
「父上、そして徳川様と亀姫殿。拙者からの提案ですが、勘九郎兄上と義姉上の様に文のやり取りから始めてみてはどうでしょうか?
父上も徳川様も、此度の事を政略結婚の類と見てはいない様ですし、先ずは少しずつお互いを知っていくというのは、どうでしょうか?
拙者の子供は全員、十歳にも満たないのですから、多少は字が汚いかもしれませぬが最初は文のやり取りからでも良いと、
拙者は思います。父上と徳川様は如何でしょうか?」
信忠と松姫の例を挙げて、文のやり取りからスタートさせる事を提案された。信孝の提案に家康は
「三郎殿、拙者はそれで構いませぬぞ」
信孝の提案を了承し、
「元々、此度の事は亀の我儘ですから、相手方の都合も考えないといけませぬ。これで亀が更に我儘を言うのであれば
三河国に帰した方が良いでしょう、亀、先ずは文のやり取りからで良いな?」
亀姫に提案を了承するか確認すると、亀姫は
「はい。先ずは文のやり取りからでお願いします」
家康の覇気を恐れたのか、すんなりと受け入れた。その様子を見て信長も
「そう決まったのならば、無理強いする事は良くないのう」
と、納得して
「それでは三七の子供達と、奥平家の子供達、最初はたわいの無い事で構わぬから、文のやり取りをしながら、互いの事を知っていく様に」
「「「「はい」」」」」
こうして、六三郎と共に働いた経験から信孝は、今回の無理難題をまとめあげた
織田家と徳川家の関係がこじれず解決した同時期
天正二十三年(1595年)十二月二十五日
安芸国 吉田郡山城
「はああああ!?い、いま!お主、今しがた、や、や、やや子を授かったと言ったが誠か?」
「殿も覚えがあるではありませぬか。葉月の中頃に播磨国から戻って来た私に対して
「いま」が身体を鍛えて、女っぶりが上がったら子作りをする!」と宣言して、そこからおよそ一ヶ月、
柴田家からいただいた書物の内容を実行して、身体を鍛える事、食事に気をつける事を始めとした色々な事を頑張った結果、
長月の終わりに殿といたしたではありませぬか!忘れたとは言わせませぬよ!」
安芸国の毛利家では、正室のいまが妊娠した事を輝元に告げると、輝元の絶叫が城内に響いていた。更に輝元は
「い、いま。お主は再来年で四十歳なのにやや子を授かった事、勘違いではないのか?三十代後半でやや子を授かるなど」
と、妊娠した事を信じられなかった。その輝元の側に居た叔父の元春は
「殿、いや太郎よ。柴田越前守殿の奥方は四十歳で末の姫を出産しておる。だから別におかしな話ではないぞ」
「アラフォーでの妊娠は無いわけじゃないんだぞ」とフォローを入れる
輝元の正室の妊娠に城内は歓喜の声が上がるのは当然だが、一方で
「幸鶴丸様が居る中で、奥方様が産む子が男児だったら、毛利家はどうなる?」
「藤四郎様も奥方殿がやや子を授かったと文で伝えておった。喜ばしい事ではあるが毛利家が混乱してしまうのでは?」
「いまが男児を産んだら幸鶴丸はどうなるのか?」や、「家中が混乱しないか?」等の不安も出ていた。




