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48話・嬉し恥ずかし朝帰りのはずが…

 翌朝。わたしは頭を撫でられている感覚で目を覚ました。

「ナイル…」

「寝乱れるきみも素敵だね。昨晩はいっぱい感じてくれたようで嬉しかったよ」

 わたしは布団の中のうつぶせで寝ていてシーツを握りしめていた。背中にナイルの手が触れ唇を押し当てて来る。

「あん。止めて。ナイル。くすぐったい」

「そろそろ起きないと皆がきみの不在に気がついて、捜しまわることになりそうだよ」

「あ。いけない。寝過ごしてしまった?」

 わたしはベツトの上に身を起こしかけて自分が何も着てないことに気が付いて慌てて胸元を毛布で隠す。そこには赤い痕が点々と残されていた。

 昨晩、御払いと称して彼がわたしを裸にしてさんざん弄んだ結果だ。昨晩彼にされたことを思い出しわたしは羞恥に震えそうになった。

「もお。ナイルの嘘つき。お払いだなんて言ってあんなことするなんて…」

 ナイルが平然とした顔でいるのが癪に障る。彼は先に司教服に着替えていた。

「嘘なんて言ってないよ」

「お祓いはちゃんとしてあげたよ。あとで効果が現れると思うけど?」

 くすりとナイルが笑う。いかにも怪しい笑い方だ。

「着替えられる? 手伝おうか? まりか」

「大丈夫です。寝巻きぐらいひとりで着れるから。いやあ。もうこっち見ないで」

 わたしが寝巻きを着る間、ナイルはにやにやとわたしを見ていた。目線を外す気は無いらしい。わたしはふてくされ気味に頬を膨らませながらなんとか着替え終えた。

「そうふくれないでまりか。さあ。部屋に戻るなら付き合うよ」

 ナイルがわたしの頭を撫でてガウンを着せてくれる。差し出された手に促されて仕方ないなとわたしは機嫌を良くした。繋がれた手から温かなナイルの想いが伝わって来るような気がする。嬉しい様な恥かしい様な微妙なそわそわ感を抱えて彼について自分の部屋まで送ってもらった時だった。

 がたん。と、室内から何か物音がした気がして、わたしはナイルにしがみ付いた。

「なにあれ?」

 ナイルと顔を見合わせると、ナイルがまっ先になかへ踏み込んだ。彼の背からなかを覗くと室内に男がいた。


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