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神様の手違いで異世界転移させられた俺はハーレム生活充実になりました  作者: 桐ヶ谷スバル
第二部 黒い魔剣と日本人 第一章 オタク日本人は気ままに生きたい
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第11話 ホワイトブラッド騎士団

 近頃、魔王軍の行動が活発になっていた。チュードランド王国はそれに対抗できる人間を冒険者問わずチュードランド王国中から集め魔王軍討伐騎士団が組織された。


 魔王軍が拠点にしている場所を徹底的に叩いているのだが一向に魔王軍からの襲撃が収まる様子はなく、苦悩していた。


 騎士団は魔王軍を討伐することを口実に街や村人に横柄な態度を取り無銭飲食をしたり無茶苦茶なものだ。


 チュードランド領土王都ヒリフに辿り着いた和泉達はそんな光景を目の当たりにしながら、ただ指を咥えていることしかできなかった。感情的になりやすいジョセフと夏樹はそんな騎士団の横暴さに我慢できずに飛び出そうとしたがリサと裕二、和泉は必死に止める。


 「ジョセフ様、怒りたい気持ちは分かりますが今は堪えてください……私達はあくまでワトソン王国の人間で彼らはチュードランドの騎士団、下手に揉め事を起こせば私達だけの責任では済まないんですよ!」


 「夏樹、君は昨日ジョセフと殴り合いのけんかをしたかと思えばまた喧嘩するのか?」


 「「…………ちっ」」


 ジョセフと夏樹は舌打ちをしながら顔を俯かせ歯を食いしばり怒りをぶつける場所もなくストレスが溜まる一方だ。それは和泉達も同様でこの現状を明るみに出そうにも国が勢力でもみ消して終わりになることは目に見えているため介入することさえできない。


 国の為にと組織された騎士団も自分達の身分を利用して弱者を踏みにじっているという点に関しては魔人族や魔王軍のやっているそれと同じだった。


 「異世界に来てもまた人間の汚さというものを……こんなこと、いつになったら終わるんだ?」


 「ジョセフ様……」


 異世界でジョセフはリサを守るために強さを得てもなお、何故戦わねばならないのか?強さとは何か?平和とは何かを思い悩み苦しんでいた。


 この苦痛を和らげることはリサにも困難であり、時間が解決してくれることをただ祈るしかなかった。


 異世界の世界観を体験していた和泉はジョセフ達の背中を見ながら、自分達に出来ることは何かを模索しながら王都の食堂で食事を取っていた。


 「この料理、美味いな」


 和泉は異世界の料理を口に掻きこんでいた。


 「…………」


 ジョセフは横暴な騎士団のことが頭に過っていたからなのか、それとも異世界の食事が口に合わないからなのか口の中で咀嚼し飲み込んでも味の感想一つ言わず沈黙としていた。


 リサはジョセフの心を読み、和泉達にジョセフが今現在思っていることを代弁するも打つ手がない以上何もできなければ意味がなかった。


 和泉達は食事をしていると騎士団員達はバカ騒ぎをしながら女性店員にセクハラをしたりとめちゃくちゃなことをしており、和泉達は安心して食事を取ることさえ碌にできずにいた。


 「ちょっと、いくら魔王軍を討伐するために結成した騎士団とはいえうちの店のもんに手を出すのは勘弁してほしいものだよ!」


 「俺達は魔王軍からこの国を守っているんだからちょっとくらいいいだろ?」


 店の店主らしき人物が騎士団員の方へと駆け付け注意を促していたが一向にそれを聞き入れる気はなく好き勝手にしていた。


 「それなら今までにつけていた食事代を払ってもらってもいいでしょうか?あなた達が無銭飲食をしてくれるおかげでこっちも商売上がったり下がったりなんです!」


 せめて今までツケにしていた食事代だけでも請求しようとするも騎士団員は酒の飲みすぎで酔っていたのか椅子から立ち上がり酒の入ったジョッキを勢いよく店主に投げつける。


 「…………ぐっ」


 「誰のおかげでテメエらがこうやって商売できていると思っているんだ?」


 「あなた達騎士団のおかげです……しかし、ちゃんと食べた料金は払ってもらわないと困ります!」


 騎士団は自分達がしてやっているんだからと上から目線で横暴な態度を正当化させようとしており、それでも店主は食事代を請求するも騎士団員は代金を支払う気はなく時間だけが無駄に過ぎていた。


 「お願いです!今日の分だけでもいいので――」


 「うるせえぞおら!」


 店主の顔面を屈強な腕で殴り、店主は鼻血を流しながら石畳の張られた床にズザザザと引きずられながら倒れ込み必死に鼻を押えていた。


 我慢の限界に達したジョセフは指をバキッボキッと音を鳴らしながらゆっくりと向かおうとすると和泉が手を出しジョセフを引き留める。


 「ジョセフ、ここは俺に任せてくれないか?」


 「いいのか?あいつらは魔王軍を討伐するために集められた人間だぞ?もしかしたら俺達よりも強いかも……」


 「そんなことはないさ、強いならあんな風に弱者を踏みにじるようなことなんてしない」


 和泉はジョセフを説得すると、血相を変え騎士団員を睨みつける。


 「おじさん達、そうやって他の店でもタダメシしてるんでしょ?」


 「ああん?てめえ見かけねえツラだな?他所もんがいちいち口出しするんじゃねえぞ!ぶち殺されたいのか?」


 騎士団員は和泉に怒鳴り声を上げ、その口からは唾が勢いよく飛び和泉の顔にかかっていた。


 「それがタダメシを食わしてもらう人の態度か?」


 「なんだと?どうやらテメエは俺に殺されたいようだな。俺はホワイトブラッド騎士団のクーデル様だぞ!貴様らのような凡人とは違って選ばれし人間なんだぞ!」


 クーデルと何乗る騎士は自分は特別な人間だと自己陶酔しながら装飾品で着飾った剣を鞘から抜き和泉の首元に軽く突きつける。


 「その剣を見る限りあんた実戦経験はそんなにないだろ?そんな上品すぎる剣なんて常備しているようではホワイトブラッドの実力もそこが知れているぜ」


 和泉はクーデルの上品な剣を見て状況分析をし、ゲームではこうだったと知識を最大限に活かし煽り始めるとクーデルは顔をゆでだこのように赤く染め決闘を申し込んだ。


 「いいだろう!そこまで言うのならホワイトブラッド騎士団の実力を見せてやる!明日の早朝、この店の前に来い!来なかったら騎士団の全権力を使って探し殺してやる!」


 クーデルは和泉を指さしながら店を出ていき、他の騎士団員も舌打ちをしながらクーデルの金魚の糞の如くついて行った。


 一発啖呵を切った和泉はホワイトブラッド騎士団が店を出た後、内心(やべぇどうしよう…………俺、これで決闘に負けたら間違いなく殺されるんじゃねえのか?魔物相手なら平気だったけどいざ人間を相手にってなると絶対緊張して本領発揮できなそうだしマジで明日騎士団に土下座して見逃してもらうなんてそんな都合よく許してくれるとは思えないしやるしかないか……)と不安でいっぱいだった。


 「何今更ビビってんだよ?啖呵切っといてそれとは神様から力を授かった人間として恥ずかしくないのか?」


 夏樹は鼻で笑うように和泉を煽る。


 「怖いさ……あいつら、騎士団って言うくらいだからそれなりの強さがあるのは間違いないだろうしいくら神様から力を授かっているとはいえそんな都合よく俺TUEEE!できるわけでもないじゃん」


 「まっ、人それぞれなんじゃねえの?ジョセフなんて元々があれだから神様に力授かってなくても普通に人間相手ならボコしてたし。一人を除けばな」


 夏樹はジョセフ方を指さし不敵な笑みを浮かべ、ジョセフは煙草を吹かす。


 「お客様、当店では禁煙ですが……」


 「……んっ、それは失礼」


 店長に注意を促されジョセフはそのまま煙草の火を消し、ポケットに入るサイズの灰皿に吸おうとした煙草を入れる。


 「もう、ジョセフ様ったら……」


 その様子を見たリサはジョセフに視線を向けながら溜め息を吐く。


 「夏樹、その一人ってまさか草凪誠って人じゃないよね?」


 「そうだけど、あいつはジョセフ以上に女たらしのハーレム野郎でな。あいつの顔を見ていると鳥肌が立つくらいだぜ」


 夏樹は訝し気に誠という人物の名をあげ、和泉は小説でしかその人物がどういう人か想像するしかできなかったが夏樹の言うこともあながち間違ってはいないと思っていた。


 食事を済ませた和泉達はカウンターで会計を済ませ店を出て宿を探すことにした。


 王都なだけあって面積はかなり広く探すのが大変になりそうだが近くにあるはずだと思い街の人に尋ねると「近くに冒険者ギルドがあるからそこまで案内するよ」と街の人の言うままについて行くと大規模な宿が冒険者ギルドの前に建っていた。


 「ひぇ~、こりゃあでっかい宿だなぁ」


 看板には”月の猫”と書かれており、和泉は「こういった感じの名前はまさに異世界ファンタジーだからこそって感じだなあ……」と看板を見上げながら呟いていた。


 「やっし、早速手続きしようぜ」


 夏樹は宿に入り込み、咄嗟の行動に呆れつつもほっこりとした和泉達は夏樹の後からついて行く。


 「このまま騎士団の決闘バックレて逃げようかなぁ……」


 「その気持ちは分かるが国が作った騎士団となると逃げても追いかけられるんじゃないの?」


 和泉が肩を竦めると裕二はポンと和泉の肩に手を置きながら言う。


 戦いから逃れたくても逃れられなくなったこの現状を考えれば後戻りは不可能なのは和泉自身分かっていた。それでもなお、戦わずして魔王軍を討伐できないかとジョセフ同様に悩んでこそいたが実現する可能性もまた低かった。

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