第32話 ジョセフのいないクエスト
佐藤夏樹は結局テレサの言っていることが理解できずに黙り込んだまま寝室で枕に顔を埋めながらベッドに寝そべっていた。
「あぁ~、マジでテレサの言っていた《《執念の意味が分からねえ》》……強くなるためには根性入れて修行するんじゃダメなのかよ?」
テレサの執念とは一体何なのか、悩み苦しみ佐藤夏樹は考えるのをいつの間にか辞めていた。今分からないことを無理に分かろうと頭を抱えて答えが出るほど世の中はラノベやアニメ、マンガのようにご都合主義ではないことが分かっていたからだ。
元々佐藤夏樹は普通の高校生であるため戦うという意識自体が低かった為常に戦いの恐怖というものに怯えながら生きてきたテレサのように感覚が研ぎ澄まされているわけではないのだ。
「とにかく分からねえことを無理に分かろうとしたってぶっ壊れるだけだ。今は楽しいことでも考えるか……」
そうは言っても異世界には漫画やアニメなんてものはないため精々この世界の書物を読む程度しかない。佐藤夏樹は以前ジョセフに読み書きを教えてもらったためそれなりに言語を理解することはできるのだ。
「そこにいたのか?佐藤夏樹」
佐藤夏樹はハッとしながら顔を埋めていた枕をポイっと軽く投げ顔を見上げる。
「何だよ、ジョセフか……」
「何だはないだろ。どうせ暇ならこの本でも読んでおきなよ」
ジョセフは佐藤夏樹に『無属性魔法集』と書かれた本を差し伸べるように渡す。
「マリーがお前には《《無属性魔法の適正がある》》って言ってたからさ」
佐藤夏樹は「そんなものがあるならもっと早くに……」と小言を俺に言う。
ジョセフは(そんなことを言ったってそんな本があるの知ったのだって今さっきなんだから早くもくそもないんだけどな、細かい事気にしたってしょうがないんだけどさ)と内心思っていた。
佐藤夏樹は本を手にした瞬間黙々とページを捲り睥睨とした表情で本を読む。
「ジョセフ、これなんて読むんだ?ところどころ読めねえ部分があるんだけど……」
ある程度読み書きは教えていたんだけどまだ佐藤夏樹が平仮名程度しか読み書きができないことをジョセフはスッカリと忘れていた。
「これはだな、『言語理解』だな。この魔法はいわゆる固有魔法で呪文名だの詠唱しなくても発動できるみたいだな」
「お前はいいよな、その気になればチート能力を授けてもらえたのに貰ったのが《《この世界の読み書きができるだけ》》なんだからよ……」
佐藤夏樹はジョセフのことをかなり羨ましがりながら本を読んでいた。
「『言語理解』か……って、さっきまで読めなかった字が嘘みたいに読めるんですけど!」
「……ん、それはよかったじゃん」
佐藤夏樹は文字が読めることに喜びを感じ、他のページを次々と捲りながら文字を読みページを開く手が止まらずにいるのをジョセフはじっと見ていた。
「これが『ハイスピード』でこっちが『身体強化』か……文字が読めるようになるってのは楽しいもんだな。日本にいた頃だってここまで面白いと思えることなんてなかったのによ」
これは佐藤夏樹は化けるな。
「問題はお前の魔力がどれほどのものかだな。俺と同じくらいの魔力量であれば使いすぎない方がいいだろう」
「お前いつも『パープルサンダー』とか『スパーク』使いすぎでばてているからな」
「それにしても何で宮廷に?まだ早い気もするが……」
ジョセフは佐藤誠に尋ねると深刻そうな顔をしてジョセフに言う。
「テレサの奴に執念を感じないと言われてよ……俺は根性だけでなんとかなると思っていたのだが俺には何が足りないと思うよ?」
佐藤夏樹は俯いた状態で俺に答えを求めていた。
「それはもうお前自身が見つけているんじゃないのか?」
「んなっ?」
予想外の一言に佐藤夏樹は驚いたのか声を失っていた。
「おいおい、俺が悩んでいるのにそれはないだろ!」
佐藤夏樹はいつものようにキレのあるツッコミを俺に入れる。
「それでいいんだよ」
ジョセフはほっこりとしながらそう言うと「全く、お前に相談した俺が間違いだったよ……」と肩を竦め唖然としていた。
佐藤夏樹達はジョセフとリサ抜きでゴブリンの討伐をすることになり遠足でも行くのか?と言わんばかりにマリーとアイリスのテンションは上がっておりテレサと佐藤夏樹は無表情で、ジンジャーはどうすればいいんだ?といった感じだった。
「それではゴブリン討伐の為に行ってきます」
「気を付けるんだぞ姉ちゃん、最近魔物も強いのがいっぱいいるみたいだから」
門番の人は親切にマリー達のことを気にかけていた。
「それにしてもいつものあの色眼鏡で顔の良く分からない長髪の兄ちゃんはどうしたんだい?」
「ジョセフ君は暫く休業してもらっているから今回のクエストには参加しないんですよ」
マリーは門番の人にジョセフがクエストに不参加である旨を伝える。
「そっか……まあとにかく生きて帰ってこれるのを祈っておくよ」
門の外へと出てゴブリンの討伐するべく目的地まで向かう。
今回のゴブリン討伐は洞窟ではなく新人冒険者の狩場としても有名な迷宮にしているので距離も街からそんなに遠くはないためなんとか日帰りで帰れそうだ。迷宮は今のところ他の冒険者が20階層まで攻略しており、上の階層はまだ誰も足を踏み入れていないそうだ。
「マリー、あの時みたいに『エニィウェアゲート』を使えばよかったんじゃないのか?」
「佐藤夏樹君、あれは実際に知っていたとしてもこの目で見たことがなかったら意味がないのよ」
佐藤夏樹は『エニィウェアゲート』はどこへでも移動できる魔法だと思っていたのだがマリーが説明したことによって初めて学習したようだ。
「マジかよ!魔法ってのも万能じゃねえんだな……」
「そりゃそうよ、死んだ人間を生き返らせることができないように魔法にも限界はあるのよ。でも、成長することに限界はないとあたしは信じているわ。それをジョセフ君は私達に教えてくれたと思っているからね」
「そのおかげで私もジョセフみたいに魔力をコントロールする術を身につけられたしね。まだ未完成だけどさ……」
マリーがそう言うとジンジャーも同じようにジョセフに出会ったことに感謝の気持ちを込めて言う。
「いつも無茶ばっかしているけど、そのおかげで私達もジョセフから学ぶことができたし……」
テレサは照れ隠しをしながら呟く。
「テレサちゃんか~わいい」
「からかうな!」
マリーはテレサの頬を人差し指でつんと当てテレサは慌てて手でマリーの指を振り払おうとする。
佐藤夏樹はどさくさに紛れテレサの胸を後ろから触ろうとするも「何触ろうとしているんだ!佐藤夏樹!」と肘打ちで佐藤夏樹の顔面に一発攻撃を入れる。
「別に殴らなくたっていいだろ!」
「お前が私にセクハラをしようとするからだ!そんなことだからお前に婚約者どころか恋人一人もいないんだよ!」
テレサは佐藤夏樹に憤り正論を言う。
佐藤夏樹達は迷宮の入り口を潜り抜け入り口を入るとそこには転移陣を守っている冒険者が派遣されていた。
「ゴブリン討伐に来た冒険者かい?」
転移陣を守っている男から声を掛けられマリーは尋ねる。
「はい、そのゴブリンは何階層辺りにいるか分かりますか?」
「最近までは一階層にうじゃうじゃいたんだがこの辺は完全に我々が占拠したから
魔物は二階層からになるよ」
「分かりました。それでは二階層に転移してもいいですか?」
「勿論、ゴブリンだからって油断はしないようにするんだぞ」
男はマリー達に親切に心配をしてくれており、マリー達は転移陣の中に入り二階層まで一気に転移した。
転移陣を守るのは交代制で8時間に一度は派遣している冒険者が代わりながら行っているそうだ。佐藤夏樹はその光景を見てまるで警備会社だなと日本にいた頃を懐かしみながら二階層で自分の実力を見せつけるチャンスを窺っていた。
(俺だって、テレサに出来る男であることを証明してみせるんだ!ジョセフのようにはいかなくとも、俺は俺のやり方で戦っていく!)と内心思いながら剣を鞘から抜き出し両手で持ち構える。
剣道をやっていたからなのかその姿勢はかなり様になっておりテレサは後姿を見て「こうゆう格好だけは一丁前に出来ているんだけどな……」と呟く。
「うるせーな、何でも格好から入るって言うんだからいいじゃねえかよ!」
「別に悪いわけではないがそれだけでは戦果は……」
佐藤夏樹が反論するとテレサは付け加えるように言おうとした途端マリーとジンジャーは一瞬立ち止まる。
「「何か気配を感じるわ!」」
マリーとジンジャーは事前に『スヌーピング』と『サインセンシング』を発動していたみたいで何者かが殺意を剥き出しにしていることが分かっていた。
殺意は段々佐藤夏樹達の方へと近づき淀んだ空気が漂い始める。
「多分この気配からするとゴブリンではあるけどゴブリンロード辺りもいるはずね……」
マリーは瞬時にゴブリンの規模の多さとゴブリンの上位種がいることを把握し、戦闘態勢に入るように指示を出す。
「今から雑魚はあたしとアイリスちゃんが魔法で蹴散らすからジンジャーちゃんは使える魔法で接近しつつ佐藤夏樹君とテレサちゃんも一緒にお願いできるかしら?」
「「「了解!」」」
マリーはテレサ達に魔法を発動するまでは待機するように指示を出し魔法で一気に数を減らす根端のようだ。
ゴブリンの群れが一気に押し寄せテレサ達を襲撃しにかかってきた。ゴブリンの中には狙撃部隊もいるようでガタガタになった矢を放つものもいて軌道がブレて仲間に当たることもあった。
「大いなる炎よ、我に火山のように煮えたぎった業火のような力をお与え下され……『ブラストフレイム』!」
烈火のごとく燃え盛り、ゴブリンの群れを一気に焼き尽くす。マリーはあれでも魔力を相当抑えているみたいで『ブラストフレイム』自体が中級魔法であるため威力を抑えていなければこの階層自体が一気に燃え敵味方関係なく全滅していたことは間違いなかった。
アイリスはマリーに続き『ウィンドカッター』で炎で焼けていたゴブリンを切り裂き、『ウィンドカッター』の風圧で炎は激しくさらに燃え上がりゴブリンの数は一割程度に減っていた。
「今よ!」
マリーは大声をあげテレサ達は全速力でゴブリンに接近した。
ゴブリンを大量に魔法で蹴散らしたマリーとアイリスのおかげで接近戦が楽になり佐藤夏樹、ジンジャー、テレサは次々と怯んだゴブリン達に止めを刺す。
この作戦は普段ジョセフが用いている戦法でそれをうまくマリーは応用していたみたいだ。
「ぐぅるるるるるる~!」
魔法で重傷を負いながらもマリーに襲い掛かろうとするゴブリンもいたがマリーは『スパーク』でゴブリンの頭部を粉砕させる。
「魔法使いは接近戦に弱いなんて言わせないわよ!」
『スパーク』の本来の使い方で魔力をコントロールし加速させたことで貫通能力もさらに強化されたため初級魔法でも上級クラスに匹敵するほどにはなっていた。マリーだからこそできる技術であり、ジョセフという存在がいたことによりヒントを貰いそれを実践できるのだ。
「ジョセフ君がいたからこそ魔力コントロールを完成させることができたけどここまで難しいとはね……でもこれなら普通に戦えるわ!」
魔力コントロールができるということがいかに重要であるかを再認識し、それを意識づけることを心掛ることにした。
「マリー、ゴブリンもだいぶ減ったよね……」
「そうね、あとは彼らに任せてあたし達は彼らが仕留め損ねたゴブリンだけに集中しましょっ」
佐藤夏樹は無属性魔法『ハイスピード』と『身体強化』を使用できるようになりジンジャーとともにゴブリンの胴体、頭部を斬り、テレサは魔法適正が無い身でありながらも己の技量のみでゴブリンに武器を掲げるチャンスすら与えずにバサバサと斬り捨てるのだ。
ゴブリンは人間のように知能はないが集団になれば人間ですら倒せるか怪しくなる程強かったりする場合もあり初心者冒険者が全滅に陥ることすらある。
「……佐藤夏樹、無属性魔法が使えるようになってからここまで戦果を挙げるようになるとはな……私も負けられんな」
テレサの赤いポニーテールがなびきゴブリンを焼き鳥でも焼くのかと言わんばかりに3体を同時にくし刺しにし、薙ぎ払う。
ゴブリンロードはゴブリンとしても意地を人間に見せつけるかのようにゴリラみたいに胸を太鼓のようにドンドンと叩き咆哮をあげる。
「こいつは今までの雑魚とは違うな……だが、今の俺なら倒せなくもない!」
佐藤夏樹はニヤっと笑ってはいるのだが額からは冷や汗が一滴たらりと垂れ流れる。本心では(俺は本当にあのデカいゴブリンをぶっ倒せるのか?)と不安に感じていた。
「佐藤夏樹、口では平気そうに言っているが大丈夫なのか?」
「うるせえよ、そう言うテレサは大丈夫なのかよ?」
「ドラゴンの時に比べればまだマシさ……だが、ジョセフがいない以上油断はできないな」
テレサは佐藤夏樹に偉そうなことを言っておきながら自分はジョセフがいなければ……と不安に思っていたようだ。
ゴブリンロードは通常のゴブリンよりも一回り以上大きく通常のゴブリンは身長おおよそ130~140cmほどであるのだがゴブリンロードは180~200cmほどはある。
「ゴブリンだからってここまでデカいと正直少し不安にもなるがここで黙って負ける気はない!」
佐藤夏樹は『ハイスピード』を発動しゴブリンロードへと高速接近し、斬りかかろうとするも魔力がかなり消耗していたからなのか40パーセント程度しか成果を発揮できていなかった為ゴブリンロードには攻撃を見切られ躱され続けていた。
(ここで魔力切れかよ!?まだ2~3回程度しか使っていないってのに……)
そう、佐藤夏樹は自分の魔力量がどれくらいあるのかを意識せずに全開で使っていたため燃費の悪い状態で戦闘を繰り広げていたのだ。
「オラァッ!」
がむしゃらに剣をブンブン振り回しているがゴブリンロードは嘲笑うかのように声をゲラゲラとあげ、みぞおちに一発拳を入れ佐藤夏樹は岩に叩きつけられる。
勢いよく叩きつけられたからなのか呼吸困難となり、気管支が一部傷つき吐血をしていた。
「ガハッ!」
ゴブリンロードの攻撃は中型トラックにでも衝突したのかと言わんばかりに重く、『身体強化』を事前に発動していなければ確実に死んでいたことは目に見えていた。
(ジョセフは魔力が切れかけても諦めることはなかった……俺だって、ここで簡単にくたばってたまるか!俺だってジョセフみたいに可愛い女の子と恋愛したいんだからよ……)佐藤夏樹の脳内は常に美少女とラブラブになることのみだ。その夢を実現するまでは死ねない理由が佐藤夏樹にはあった。
「もういい、お前が強くなろうとしていることは……だからここからは私に任せろ!」
テレサの一言は何とも頼もしさがあり、マリーは『ヒール』で佐藤夏樹を治療し「認めたくはねえが……」と自分の実力ではゴブリンロードには勝てないと佐藤夏樹はテレサに託す。
「テレサだけじゃ心配だから私も付き合うよ」
「それなら援護頼む……」
テレサはぶっきらぼうにジンジャーの援護を聞き入れる。
「んじゃ、足止めするから」
ジンジャーの魔力量はまだまだ余裕があったからなのか佐藤夏樹よりも『ハイスピード』の性能を発揮させており、ゴブリンロードはジンジャーの剣捌きにより身動きが取れないようだ。
「ぐぅぅぅぅ~」
ゴブリンロードは低く声を唸らせ左足の腱を切断されているからなのか出血もしており、ふらふらと倒れ込みそうになりながらも片足だけでなんとか立位を保っている状態であった。
「あいつ、俺よりも使いこなしているな……」
「そりゃあそうよ、君と違って魔法を当たり前に使っている世界の人間なんだから」
「ちょっと待てよマリー、お前の言っている意味が分からないんだが……」
「隠しても無駄みたいね……君をこの世界に転移させたのはあたしだから」
佐藤夏樹はマリーから発せられる言葉の一つ一つを回収しその意味を少しづつ理解していく。自分がマリーによって転移させられた人間である事実をまさかこの場で明かされるなんて思っていなかったからだ。
「お前は何故俺をこの世界に召喚した?俺以上に適任者がいたはずだろ?草凪誠とかジョセフとかよ!」
佐藤夏樹はマリーを睥睨し声を震わせる。いつもなら大声をあげているところだったのだが今回はかなり冷静に対処しているようだ。
「あたしの師匠が予言をしたのよ。佐藤夏樹、あなたを召喚することでこの世界を魔人族の野望を阻止できると……」
「……俺はお前達の知っての通り落ちこぼれなんだぞ!そんな落ちこぼれを召喚したところで世界が変わるわけねえだろ……」
涙ぐんだ声でマリーに自分が落ちこぼれでどうしようもない人間であることを自負するのだがマリーは目を閉じ首を横に振る。
「過去の君なんて正直どうでもいい。落ちこぼれだって自分で思っているのなら変わる努力を死に物狂いでやればいいじゃない?」
「あぁ、お前に召喚される前からやってたよ……けどっ、ダメだったんだよ!どんなに努力したって周りから評価されることなく追い抜かれ差をつけられて、だから俺は学校もサボるようになって家に引きこもっていたんだよ!いきなりこの世界に召喚された時とか俺にも……と期待が膨らんだがジョセフや誠みたいな奴がいることから俺の必要性は全然なさそうだしこうなるくらいならいっそあの場でジョセフが俺に手を差し伸べなければとも思ったよ。あいつは俺が駄目な奴だと分かっても仲間として受け入れてくれるし見捨てるような奴じゃないから本音が言えなかっただけで……」
「それよりもテレサちゃん達がゴブリンロードを倒すところを見届けましょ、詳しい話は終わってからで……」
マリーは絶望に浸り顔を俯かせている佐藤夏樹にテレサ達の戦いを見るよう少し強めの口調で言う。
ジンジャーは再び足を引きずりながら歯を食いしばり棍棒を振り上げるゴブリンロードに『スパーク』を発動し、ゴブリンロードの胴体に穴が開き麻痺が生じ身動きが取れなくなる。
掌から『スパーク』を発動したジンジャーは『サンダースピア』のように貫通能力を重視した魔力コントロールをしているのだがジョセフのように麻痺させて神経を破壊といったイメージも浮かばせていたことから成功率は高かった。
「テレサ!」
ジンジャーはテレサの名を呼びテレサは脚力を生かし助走をつけ剣を掲げズバッと振り下ろす。
ゴブリンロードはテレサの剣により一刀両断され、マリーは火属性中級魔法『ストロングファイヤー』でゴブリンロードの体は跡形もなく消し炭となり地上から消え去った。
「マリー、連携攻撃ありがとう……」
テレサは恥ずかしげな表情でマリーに感謝の言葉を述べる。
「別に礼を言う程じゃないよ、テレサちゃん。このくらいのフォローしかできなかったけどね……」
マリーはいつもの口調でテレサに謙虚な態度を取る。
二階層のゴブリン討伐が終了したことによりギルドへと討伐完了の報告をしに行こうと一階層で転移陣を守っている冒険者に軽く「ご苦労様です」と挨拶を済ませ迷宮の外へと出る。
迷宮から出た後の外の空気はいつもよりも美味しく感じマリー達は背伸びをしながらふあ~っと欠伸をする。




