表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の手違いで異世界転移させられた俺はハーレム生活充実になりました  作者: 桐ヶ谷スバル
第一部 愛を取り戻した転移者 第一章 転移者とワトソン王国
24/65

第22話 佐藤夏樹の過去

 佐藤夏樹は日本に生まれ、両親からしっかりと愛情を注がれ健やかに年相応の子供として成長していた。父親は警察官で街のヒーロー的存在でいつも友達に自慢できちゃう立派な父親で母親は専業主婦。


 小学校の頃は全教科満点で運動神経もそれなりにあり運動会のかけっこはいつも一位でクラスメイトからも慕われており人気者であった。だが高学年に入る辺りから佐藤夏樹よりも優れたクラスメイトの現われにより自分が今まで築き上げた努力の結晶は崩れ落ち、それと同時に自信喪失により成績は低下していた。


 運動会では必ず一位を取っていたのが二位、三位と順位が落ち始め誰からも注目されず友達と思っていたクラスメイト達からも遊びに誘われることもなく孤独に生きていた。


 「佐藤はやっぱり凄いよな」


 頭の中にはその言葉が過り、吐き気すら感じるようになり頭を抱えながら自分の部屋で蹲り涙と声を殺しながら必死になっていた。


 テストの答案用紙が返ってくる日が訪れ、教師は児童の名を呼び答案用紙を返却し、「今回はよく頑張りましたね、この調子で頑張りましょう」と児童を褒めており次は自分の番だと思い必死に頑張ってきたんだからみんなにと思いを寄せながら名前を呼ばれるのを待っていた。


 「佐藤夏樹さん」


 佐藤夏樹は勢いよく「はい!」と返事をし背筋をピンと立て教師の下へと向かう。(これでもう一度みんな俺に注目してくれるぞ。今回は徹夜したからなと)やり切った思いで一歩一歩思いを込めながら歩いていた。


 「佐藤さん、今回の点数なんだけどどうしたの?珍しく20点だなんてちゃんと勉強はしているの?」


 「えっ?」


 佐藤夏樹は一体自分に何が起きているのか理解できずにただ茫然と立っているだけで教師の声が耳に入っていないようだ。


 答案用紙を受け取り、罰点だらけの答案を確認し(そんなはずはない!)と心の中で否定しながら徹夜したせいでしっかり睡眠がとれずに本領発揮ができなかっただけだと自分に言い聞かせる。


 「低学年辺りまでは成績がよくて他の先生や児童から評判がよかったのに…」


 教師は佐藤夏樹を憐れむような表情で見つめ、期待を裏切られたとでも思っているようですぐさま他の児童の名前を呼ぶ。


 次こそはいい点を取るんだと死に物狂いになるも次のテストで結果は覆ることはなく教師にこっぴどく怒られた。


 「佐藤さん、あなたどうしてこんな簡単な問題で10点なの?他の子たちはみんな平均80点台出してるのに何であなただけ!」


 教師は佐藤夏樹に罵声を浴びせながら他の児童たちと比較し、ダメ人間の烙印を押されることになった。それからというもの佐藤夏樹は点数が低かったことを他の児童たちにもネタにされ、休み時間ドッジボールに加わろうとするも「お前が混ざったらみんなバカになっちまうよ」と敬遠しゴミでも見るような見下した表情で突き放す。


 「クソッたれ!どいつもこいつも俺をバカにしやがって!勝手に期待して勝手にガッカリしてお前らは俺の何を知っているんだよ!」


 佐藤夏樹は脳内に浮かぶ「佐藤はやっぱり凄いよ」という言葉に対し涙を流し唇を強く噛みしめた後口をへの字にし、蹲り床をどんどんと叩きながら泣いていた。小学生でありながらこんなにも苦しい思いをして周囲の期待に応えようと頑張っているのに結果を出せず罵声を浴びせられ仲間外しにされ、クラスメイトから蹂躙じゅうりんされたりと楽しかった学校生活が苦痛へと変わっていった。


 それからというも佐藤夏樹は宿題をわざと忘れたりテストも0点を取るほどまでに落ちこぼれ、自分の人生なんてどうせこんなもんだと希望を失い無気力で自堕落な人間へと変貌していた。


 「佐藤さん、宿題を何回忘れたと思っているの?大体ちゃんと宿題をしないと将来いい大人になれませんよ!ちょっと、ちゃんと話を聞いているの?」


 教師の声など佐藤夏樹には一切聴こえることはない。佐藤夏樹にとってこの世界のことなどどうでもよくどうせいつもみたいに宿題をしてこなかったことを説教するのだと分かっていたからだ。


 佐藤夏樹はまるで某ちびっこ向けのマンガの主人公のように何をやらせてもダメな人間というわけではなく自分よりも優れた人間が出現したことにより怠惰になる方が楽だと思ったからである。


 一流大学卒のエリートが一流企業に就職し、大した結果を出せずに挫折した引きこもりニートのように精神を病み心の殻を自分から破れずにいた。その方が楽であることを知っているからこその自己防衛ではあるが世間というのはそれを良しとはせずに社会に溶け込めない人間は悪者扱いを受ける。それに耐えきれず自殺をする人間もいたりと現代社会の問題点でもある。


 「俺はこの世界の中心だと思っていた。その世界の中心は俺ではなく他の人間が俺の求めていた中心的人物にそいつがなり俺はただ指をくわえながらただ黙ってみていることしかできなかった。運動会ではいつも一位を取っていたのにいつからか順位が落ち始め誰からも相手にされることは無くなりテストの点数も満点が取れなくなりクラスの人気者だったはずの人生が急にどん底になり宿題なんかしてもどうせ正当な評価なんかももらえずにさぼり始め先生からこっぴどく怒られそれも慣れたのか宿題をすることを辞め家に帰ればアルバムを開いて過去の栄光を思い出しながら傷なめることしかできないそんな自分自身が大嫌いだ…」


 部屋に閉じこもってそんなことを延々と小声でぶつぶつ呟いていた。


 佐藤夏樹は小学生でありながら不登校になり、教室に足を踏み込むことに恐怖を感じ保健室でもいいからということで保健室で勉強をし休み時間は窓の方で外を見て黄昏れ「鳥はいいな…自由気ままに空を飛べるから」覇気のない声で鳥を羨ましがり茫然としたまま顔も窶れてしまい小学生でこんなにも精神状態が不安定になる程にまで追い込まれていることを見て見ぬフリしている歪んだ大人達はそれを見て「自分勝手にその道を選んだのだから自己責任だ!」と佐藤夏樹を一方的に悪者にしたりと大人も子供も誰も彼に手を差し伸べることすらしない。


 最悪な日々を過ごし怠惰な毎日を無駄に送りながら保健室通いの小学校時代である。


 本人はこのままではダメだと努力を重ね勉強を一生懸命になって頑張るも以前のように注目されることはなく、満点を取っても教師からは「そんなの当たり前」と見向きもしてくれず他の児童が満点を取るとにこやかに優しい声で褒めていた。小学校でありながらこの不遇な扱いを受け、誰も佐藤夏樹の努力を認めてくれず精神状態に再度異常をきたし保健室で授業を受けることになる。


 佐藤夏樹は卒業式は一番後ろの方で受け、教室にも行かずクラスメイトや教師に顔を合わせることなく小学校を卒業することとなり一人寂しく自宅へと帰るのだ。


 卒業して中学の入学式まで時間があり家でゴロゴロとしながら両親が買ってくれたパソコンの電源を開きネットサーフィンをしたり動画投稿サイトユー〇ューブでショーもない動画を見たり違法アップロードされているアニメや音楽鑑賞をしたりと楽しんでいた。


 四月となり桜が満開の中、自分が通うことになる中学校へと一人でとぼとぼ歩き下を向いていると前方には友達を複数連れて歩いている新入生がいて「俺はこんな風に楽しむのは無理だろうなあ」と始まってもいないのに諦めていたのだ。


 校門の前にはスーツをビシッと決めた教師が仁王立ちをしており小学校教諭とはまた違い表情も怖そうで生徒に敬語を使うことなんてなさそうな雰囲気だった。


 佐藤夏樹は校門に立っていた教師にぼそっとした声で挨拶をしそのまま自分の名前の書かれている下駄箱へと靴を入れ上靴へと履き替え教室へと向かう。教室の中へ入ってみるとそこにはやっぱり友達に囲まれているリア充集団が真ん中でワイワイガヤガヤとしており端っこにはいかにも陰キャって感じのおとなしそうな生徒が緊張している様子で席に座っており、佐藤夏樹はステルス機能でも搭載しているかのように何事もなく素通りをし自分の席へと座る。


 (可愛い子いるのかなあ?)と佐藤夏樹は内心思いながらキョロキョロと周囲を見ながら何かを確認していた。だが可愛い女の子なんて言うのはラノベやアニメだけの世界だけであってやはり現実は渋い。


 可愛いと言われている女の子の殆どはリア充グループの仲間で何より言葉遣いも仕草も下品そのものでオタク男子達が距離を置きたがるようなタイプしかいないのだ。中学生だからなのか化粧をする女子こそいなかったが茶髪にしたりピアスを開けている女の子なら複数人発見した。


 「何見てんだよ、キモいんだけど!」


 「あっ、ごめんなさい…」


 リア充グループの女子達は陰キャ男子達の目線が気になったのかキモイと罵りそれを見たリア充男子達は「女子に何も言えないとかキモすぎ」と下品な顔で笑いながら彼らを下に見ていた。佐藤夏樹は寝たふりをし目を付けられないようにと目立たないようにしていた。


体育館へと集まり校長や文部科学省の人達の長話が延々と続き佐藤夏樹は鼻で風船を作り目を開けながらうとうとと眠っていた。勿論他の生徒や教師はそれに気づくことはなく(早く終わってくれないかな)と内心思いながら欠伸を堪えていたのだ。


国歌や校歌を周囲が歌っている時にハッと目を覚まし取り敢えず歌わなきゃと思いながらも歌のメロディも歌詞も全く分からなかったため口パクでその場の雰囲気を誤魔化す。だがどのみち佐藤夏樹が歌わなかろうがそれに気づく人間などいるわけもなくみんな歌うことはめんどくさそうだったので真面目にしている人間など三年生と教師を除けばいなかった。


入学式から数日が経ち、佐藤夏樹はどうやら教師に説教をされているみたいだ。


「おい佐藤、お前宿題を忘れたってどういうことだ?あぁん?」


教師はたかだか宿題を忘れた程度で佐藤夏樹のことをネチネチと陰険にいびり始めそれを見た他の生徒達は「あいついきなり忘れてんのかよ」とひそひそと嘲笑うかのように小声で喋る。


「すみません…宿題があることをすっかり忘れていましたので次の日の授業までには終わらせます」


「次の日の授業まではじゃないんだよ、宿題を忘れるってことはお前の今後の人生で相手に差をつけられるんだぞ!その遅れは何やっても取り戻せないんだよ」


「ちゃんとやってても差をつけられる人間なら見たことありますよ」


佐藤夏樹は教師に反論を始める。勿論教師の言っていることは正確な評論ではあるが全てではない。佐藤夏樹は実際小学生の頃は何をやらせてもそつなくこなせる子供であったが高学年に入ってから努力を怠ったわけでもないのに周囲に差をつけられ自信喪失をしてしまったからだ。


「お前教師を舐めてるだろ?」


教師は教壇をバンと大きく叩き髪の毛は怒涛の勢いで逆立ちその姿はまさに異世界ファンタジーに出てくるオークやオーガであった。


「いいえ、舐めてませんけど」


佐藤夏樹が発した一言にぷっつんきたのか教師は胸ぐらを掴み怒号をあげ罵声を浴びせ続ける。佐藤夏樹は何故自分がそこまでして怒られなければならないのか、何故自分ばかりが周囲のターゲットにされるのか理解できなかった。


冷静に考えようとしても答えは解決することはなくただ、自分は虐められているとしか思っていなかった。


「俺はなぁ、今までにダメな人間を見てきたがお前のような奴には初めて出会った!」


その台詞、必ずと言っていいほど大人って言いたがるのだが佐藤夏樹は(それはあんた達大人の視野が狭いだけだろ)と内心思いながら教師の話など耳に入ることはない。教師は胸ぐらを掴み顔の近くで怒鳴り散らしているからなのか臭い息と唾が飛び散っており、とても汚かった。


「いいか、お前達も佐藤のように宿題を初っ端から忘れるようでは社会では通用せんぞ!それを肝に銘じておけ!」


教師の説教は終わり顔に付着した唾液をハンカチで拭い佐藤夏樹は自分の席へと戻る。それでもと言わんばかりに教師は当て付けかのように他の生徒に忠告をする。


 「それと佐藤、お前放課後職員室に来い」


 「えっ、何でですか?」


 「何でってそんなことも分からないのかお前?とにかく放課後に来い」


 教師は公開処刑の如く佐藤夏樹を目の敵にしておりやはり他の生徒達はくすくすと笑い始める。いつものことだからなのか佐藤夏樹の心が傷つくことはなくあ~またこいつら自分らより立場の低い人間探しているのかと呆れていた。こんな社会の為に自己犠牲をしなければいけないのかと考えるとバカバカしく感じてしまい何もかもに関心が無くなってしまう。


 放課後、佐藤夏樹は教師に言われた通りに職員室へと向かい教師はまた教室同様延々と説教を始める。


 「おい佐藤、お前何で今ここに呼び出されているのか分かっているのか?」


 「何でって先生が来いっていうから来ただけです」


 佐藤夏樹は思っていることをそのまま口に出し教師はそんな佐藤夏樹を見て眉を引き攣らせており、教室の時みたいに怒鳴り散らすことはなかった。


 「お前本当に口が減らないガキだな。ここは小学校じゃねえんだぞ、お前のそういうダメ人間なのか享受するために呼んだんだ。これで分かったか?」


 「ハア」


 教師はそんなことを言っているがおそらく嘘である。それだけの為に何故わざわざ放課後職員室に呼び出すか、日頃の鬱憤を晴らすために出来の悪い生徒に強く当たって発散する為だろう。佐藤夏樹もそれが分かっていたからこそ適当な返事をしながら反省したフリをしていたのだろう。


 小学校教師と違って中学校教師は言葉遣いは命令形で話したり上から目線で仕切る人達も多く、小学校教師と違い教え方も全部を教えるというより一部だけ教えて後は生徒に考えさせる方式が多いみたいだ。


 頭の悪い生徒にとっては中学の授業というのは苦痛に感じ、塾にでも行かないと高得点が取れない子もいるくらいだ。小学校の頃は神童だと言われチヤホヤされていた子供も中学に入ってから急に成績が落ち精神状態が悪化したなんて事例もよくあることで中学というものは思春期真っ只中であるため、虐めやモラルに疎い人間が多いのもまた事実。


 佐藤夏樹は中学生活に上手く馴染めず周囲からは疎外され不登校気味になってしまい、家にいるときは取りためていた深夜アニメを自室で鑑賞していたりと現実逃避を開始していた。このままではいかんと思ってオタク活動をしながら軽く筋トレをしたり父親から譲ってもらったエアガンで射撃、竹刀で素振りをしたりと自主的に努力をしていたみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ