しょーもない失敗
魔王城にたどり着いて数日。
豪華すぎるものにはなれないものの、生活自体は慣れてきた。
無事にカー子の家での食事で終わって一安心だな。
そうそう、あのカラスはある程度歳をとれば人の姿になれるらしい。まあ、そのある程度が百年単位みたいなとこあるけど。
今日は魔王さんの側近とかいう三人組が部屋に訪ねてきた。
デューはもちろんとして、一人は脳筋の獣人でライオンっぽいレックス、もう一人は軽い感じで黒いコウモリみたいな翼のズワルトだ。
何をしにきたのかと言えば――。
どうしてお前みたいな子供が一人、町の外をあるていたのか、である。
「言いたくないんだけどな……」
「魔王様は気にしてないみたいだけどね。仕える者として、知っておくべきと思ってね」
「ガーネットの話だけではわからない部分もありますから」
そういうことか。
話すのが恥ずかしいだけで、やましいことはない。我ながらしょーもない失敗だよ。
「追い出されたからだけど」
「え?戦えない子供を一人でかい」
「金持ちの元で働いてたんだろ。あの格好は」
領主だし間違いはない。お金持ちだ。貧乏貴族って言われてたけどな。
「まあ、そうだね。領主のとこだったし、見習いだけど」
「それがどうして」
「騙されたんだよ」
オレは頭をかく。
「急いで荷物を取りに行ってくれって言われて、門まで行けば馬車が外に止まってるからとか言われてさ、外に出た途端にバタンって閉め出された」
一息に言うとレックスが腹を抱えて笑い始めるので、睨みつけておく。ズワルトとデューは驚いで声が出ないみたいだ。
だから言いたくなかったんだ。
「ち、ちなみに理由とか心当たりは?」
「たぶんだけど、自分の仕事を奪われたくなかったんだろ」
「仕事を」
この世界じゃ孤児ってだけで汚らしい人間って考えがあるし、教育なんてほぼ皆無だ。
「そう。たまたま孤児院で優秀だったオレは領主に拾われてあり得ない出世したけど、あいつらからしたら目障りでしかなかったんだろ」
元日本人としても気づかいとかとあってか、仕事しては手を抜かずに相手が使いやすいように場を整えていた。
手抜きが多いあいつらよりは真面目にしっかりやってたとハッキリと言える。
「孤児だったんですね」
「ああ。そんで行くあてもなく歩いてたら――」
「ガーネット様にお会いしたと」
拗ねたように頷けば、デューはあなたも大変ですねと笑った。しばらくはここにいて構いませんからねと付け加えて。
「客人が滅多にこねぇから、張り切ってやがんだ」
レックスがいう。
そうことなら、当面の目標とかを決めるまでここでやっかいになろう。
部屋を出るときに扉に手をかけてズワルトが振り返る。
「君が嘘をついていないようで安心したよ。同胞を助けた恩人を傷つけたくはないからね」
パタリと小さな音を立てて扉が閉じられる。
嘘を見抜く力とか持ってたんだろうな。
さて、ここを出るとしても。
オレ、一文無しなんだよな。
まずはそれを解決せねば!
ありがとうございます。




