魔王城、初日
「こんなもんかな」
翌日、エアメガネことデューが持ってきてくれたドワーフの服を着る。
ドワーフとエルフの服どっちにしようか迷ったけどドワーフにする。
なんか異世界の服って感じするから!
さてと、何をするかな。ずっと部屋の中いても退屈だしな。
コン。コン。
「なんだ?」
窓をつつくカラスが一羽。
「カー子?」
たぶん、助けたカラスだと思う。名前なんだっけ――たしか豪華な名前だった思うけど、
とりあえず、窓を開けてやる。
すると、カー子はバタバタと部屋の中を飛び回ってイスの背もたれを止まり木にして止まる。
「グワッ」
「ケガ、治ったんだな。良かった」
城に辿り着く前にだいぶ治ってた気もするけど。あんまり歩こうとしてなかったし、痛みはあったのかもな。
「ガーネット様、お一人で行かれては困ります」
「うぉっと、デュー⁈」
いつの間にかデューがオレのすぐそばに立っていた。ノックぐらいしろ!
「申し訳ありません。ですが、侯爵令嬢であるガーネットになにかあっても困りますので、まあ魔力もない人間にガーネットが負けることはないでしょうが」
「侯爵令嬢ね……。えーと、侯爵って」
貴族なのは分かる。けど、順番はよくわからない。確か、男爵が一番下だったと思うけど。
デューがため息をついて教えてくれる。
「爵位としては王家を除いて一番上と考えてください。本来ならば、お会いするのも出来ない方なんですよ」
「マジか。それはそうと魔力がないってのは?」
気になったのから聞いてみることにする。
異世界無双と出来たりするのか。
「言葉通りです。希望を与えるのも残酷なのでハッキリと言っておきます。限りなくゼロではなく、ゼロです」
「………ゼ、ロ」
「ですが、それは人間であるという証拠になります。人間以外の生物は少なからず魔力がありますから」
ショックを受けるオレの横で、カー子が慰めてくれてるっぽい。サンキュー。
魔力なしが時折いるのは知ってたけど、まさか自分がそうとは……。
「ガラァ。グワッ、ガララ?」
「そうでしたね。ナギ君、ガーネット様の家が助けて頂いた礼をしたいとのことでして、問題がなければ今日の夕食いかがでしょう」
「迷惑にならないなら。断るのもなんか怖いし」
「一族総出でくるでしょうね」
デューがクスクスと笑いながらいう。
さすがそれはな。いい判断したぜ自分。
魔王城の客人としての初日、やることが決まった。
カー子の家に行く時間までに最低限のマナー講座が、エルフのメイドさんのアリアさんの手によって始まった。
マナーって言っても、人間だし庶民だしで大したことはやらなかった。最低限のマナーは前世とそう変わらないらしい。
苦労したのは食事のマナーだな。
ちなみにアリアさんはエルフだけあってすごく美人だった。
おっとりしたお姉さんみたいな人だったけど、甘やかしてはくれない、テキパキしたメイドさんだった。
おかげでバッチリ覚えたけど。
ありがとうございます。




