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第98話 因縁の終わり~弟の変態ではなく、兄のクズを最後に思う~

 ご主人である黒猫の悪魔が、自分が暗殺した相手の死体を「仕舞うにょ」と言いながら、バリボリ音を立てながら、悪魔のアイテムボックス「お腹」に仕舞っている。


「ツブちゃん? こ……これ、絶対食べてますよね?」

「仕舞ってるだけなにょ!」

「絶対食べてますよね?」

「五月蠅いにょおお! 仕舞ってるって言ってるにょ! 何が楽しくて、こんなクソ野郎のゴミを僕が食べる必要があるにょ! ふしゃああああ!」

「ひいいいいぃい。その顔で怒らないでくだしゃ……い。」


 ◇ ◇ ◇


 長く、とっても長く続いた、若月が「猫の危険察知」で感じてしまった危機が招いた物語の顛末は、こんな感じであった。


 危険と感じた場所が丈二達にとって遺恨のある場所であったのだが、『危険』と感じさせた男が転移して来るのは、その場所に悪魔的何かで繋がっている銅鉱山。丈二達がその事実を知ったときには、既に遠く離れた銅鉱山に、そいつが転移する寸前であって、やむを得ず『歪』な猫姫こと若月に暗殺を依頼した。


 若月にとっては、丈二の映像で見たその男は脅威でもなんでもなく、自身の眷属となった「猫5匹」とご主人様である黒猫の悪魔とピクニック気分で銅鉱山に赴き、そして見つけた対象の首を、異世界の女神に貰った小太刀に黒猫の黒い魔力を纏わせて、ぴょんと首をちょん切った―――それだけである。


 半年前に繰り広げられた、悪魔バフォメットを巡る身の毛もよだつ「変態達」との闘い。


 領主も巻き込み、神殿も巻き込み、冒険者組合では組合長もキャラバンに参加したフィルムの街の膿が晒されたあの事件の主導者であった『ゼアス・ピオン』というなの変態ネクロテイマーも、数日前に異世界に来た『若月』というなの暗殺者であった少女にとっては、いとも簡単に暗殺できました!


 彼女だけを見ると、どこまで逝ってもそれだけなのである。


 彼女自身も、「猫ちゃん達と楽しく殺れました♡ 楽しかったですね~♪」 と、ルンルン気分でスキップをしながら、目下緑いっぱいの丘をスキップしながら、フィルムの街への帰路を楽しんでいる。


 暗殺依頼を上手にこなしたのだ。

 報酬もきっとたんまり貰えるんじゃないだろうか。


 そしたら、ヒビキさんの宿にあるあのお風呂を、私の満足のいくお風呂に改造しちゃうのです!

 恩人であるコールマンさんやくるるちゃんにも、何かプレゼントしたいですね♪


 彼女がこの世界に来てから見せた「飽くなき欲求」を全部満たす、彼女はそんな夢を見ながら猫達と丘を駆け降りる。


 ◇ ◇ ◇


「この若月ちゃんのスキップを見ていると、何だか、すっごく『歪』に戦いが終わって、その後も一周回って『歪』なハッピーエンドになった感じだな。」


「いいじゃないの、いいじゃないの! 僕達も楽しめたんだし、街も救われた。ハッピーエンドハッピーエンド♪」

「そ~っすよ! これでジョジさんもジンジンも、安心してあれの続きが出来るじゃないっすか!」


「だなだな! あんな……ゼアスだかジアスだか……気持ち悪いくそピオン兄弟のせいで、本当にやりたいことが、性格悪いことに「断片的」に止められてたんだもんな。」


「わあ~、天才アビーちゃんに農作物の女王エイディちゃんとのバーボンコラボ。早く再開したいー!!」

「ちょーとだけ、その言い方あたし嫉妬感じちゃうっすね~。」

「もう~ケレたんは、僕がそっちの目線で彼女を見ていないこと昨日の夜で十分分かってるんでしょ~?」

「も……もう! 思い出させないでくれっすよ~。思い出しただけでも……照れちゃうっす。」


 ケセラセラ……。


「なぁ、サニーさん。作者書くことがなさ過ぎて、こんなチープなエロラブ展開を使い回して胡麻化してると思わないか?」


 その言葉に丈二の相方である白銀の狼は目を細めて、無言のまま笑顔を見せる。


 ◇


 いずれにせよ、これで、彼等もまた安心して『彼等の居場所』フィルムの街に帰還することができる。


 帰る時間を気にしながら、寂しそうにしている『悪魔バフォメット』に、

「また、直ぐ来るさかい、そこまで気を落とさんといてな? 今日のバトル最高やったで!?」

 と、肩を叩いている我らがチームリーダーカットレイに、丈二は出発する旨を伝える。


 本当にあの戦闘狂の大悪魔なのか?と思うくらい小さくなり方を丸めているバフォメットに、丈二も「今度猛者を集めて大会を開こうぜ!?」と声を掛け、別れの挨拶を済ます。


 そして、泣く泣くバフォメットにダンジョンの外まで転移魔法で送り届けてもらった丈二達一行は、森を抜け平地に出て、広いフィルムの街へと続く草原を疾走する。


 ◇ ◇ ◇


 相方サニーの背に乗り、風を感じ、丈二はふと思う。


 彼を銅鉱山でこの事件に巻き込んだ張本人「ジアス・ピオン」。

 どうにも、丈二が最後に考えた宿敵は弟の変態ネクロテイマーではなく、兄のモブであった。


「お前に巻き込まれなければ、この居場所はねぇーってのが……本当に御し難い。」


 バフォメットに"思い入れ"があるからと、狂ったように執着していた彼であったが、夢かなって死体となりバフォメットの意思からの受肉を受け入れていた。


 そんな彼のことを当のバフォメットは、もう既に記憶にすらない。


「なぁ……ジアス・ピオン。お前のそのキモイ片思い(おもいいれ)。好きでも嫌いでもなく、相手に思い出しても貰えないくらい伝わってなかったぜ?」


 少し哀れに思いながらも、やっぱりキモイしか残っていなかった彼に向けて、丈二は小さく呟く。

 そして、そのまま丈二は「それ」のことを記憶から消去する。


 今後、思い出すのは、キモくて、ウザくて、ゴミでクズなネタの中だけ。

 きっと、周りの奴等もそうなんだろう。

 それくらい「ジアス・ピオン」のことを、全ての街の奴等に嫌気を覚えていたが興味がない方が優勢だったはずだ。


 だから、丈二は最後にこのクズのことを思い終わりにする。

 

 キモくて、ウザくて、ゴミでクズなジアス・ピオンとの銅鉱山からの因果は、こうして幕を降ろすのであった。

読者様

これにて、ジアスとの鉱山からの因縁はお終いです。

次回からはチーム「みたらし団子」やBAR「わっふる」での研鑽の物語を進めようかと思います。


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