7-③ バラヌス
「お、シャオじゃねえか!今帰った、つー事はもう日が沈むのか。時間は早えなぁ」
トカゲ頭のアンドロイド、バラヌスが屋根の上から挨拶をする。彼はお休みの日は集落をふらつくか、日向ぼっこをしている。
今日は日向ぼっこの日なのだろう。
「あ、バラさん。ただいま! 大丈夫、まだ夕方よりも前だよ。それとこの子知ってる?」
「おぉー、見た感じロボットペットだな。丸くてチビだ!」
バラヌスが屋根からずるりと落ちるように荷台の傍に降りて、ヌゥっと近づいたことで、ロボットペットはすっぽりと影に包まれた。
突然の接近にロボットペットは驚いたのか、「ぴ」と一言だけ鳴いて荷台の隅に転がっていく。
「見た目以外だと?」
「知らね。初めて見たし」
バラヌスの発言にロボットペットは反論しているのか、不満そうに鳴いた。チビだと言われたことが嫌だったようで、モニターの丸い目も半目になっている。
「はあ、俺がでかいだけ? お前のダチより俺のほうがでかい? なら今度会ったら本当か確かめねえとな。そいつの名前は?」
今まであったアンドロイドの中で初めて友達について聞いてくれたのがうれしかったようで、先ほどまでの警戒は何だったのか、目を輝かせて荷台の隅からバラヌスの傍まで転がる。
「ぽぴ!」
「エリオか! いい名前じゃねえか。つっても名前だけじゃわかんねえな。どんな見た目してんだ?」
バラヌスは興味深そうに顔を近づけた。巨体が屈んだ分ロボットペットとの距離がぐっと縮まり、ロボットペットも負けじと機体をバラヌスに近づけるように、ぐりぐりと前に転がった。
「ぷぷぷ」
「髪は短くてロン毛? なんじゃそりゃ。よくわかんねえけど俺よりも髪があるのか。俺は一本もねえけどな!」
バラヌスは自分のつるつるのトカゲ頭を軽く叩いて笑う。ロボットペットも釣られるように楽しそうに鳴き、1人と一匹のやり取りはどこか似た者同士のようだった。
「ボール君の友達は、優しくてロマンチストで、プレミアムで、名前は『エリオ』。歌も踊りも上手で、短くてロン毛。そしてバラさんよりも背が低い!」
シャオが今の所集まった情報をまとめると、バラヌスは腕を組んで目を閉じ、ウンウン頷く。
「よく分かんねえけど、良さそうなダチじゃねえか。早く会えるといいな」
「ぽぴ!」
ロボットペットが元気よく鳴く。その声はどこか誇らしげだった。
それを見てヴィハーンが短く言った。
「ナルギレよりもよほど有意義だった。次に行くぞ」
「『エリオ』かあ。どんな人なんだろう。仲良くなれるといいなあ」
バイクが走り出す中、まだ見知らぬアンドロイドに思いを馳せて、シャオは小さく呟いた。




