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リンホンコード ―暁少女と鉄の男の終末歩き―  作者: 卵掛 小保下
旅する無垢人形〈ウェイストドール〉
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7-① ミウナイン 


 道中、ミウナインを見かけた。日向ぼっこをしているのか、青いシートを敷いてその上で丸まるように寝ている。

 おしゃれ好きの彼女らしく毛は絡まった様子も無くふわふわとしており、手入れが行き届いているのがわかった。


「ぽぴ!ぽぴぴ!」

「わあ、すごく反応がいい」

 

 ロボットペットはミウナインを見るや否や、目を輝かせて話しかけるように鳴く。

 実際話しかけているのだろう。


 だがミウナインは目を開くとガバリと起き上がり、毛をポンポンに逆立て、目をキュッと吊り上げた。

 

「なによコイツ!初対面でアタチに喧嘩売るなんていい度胸してるじゃない!」

「もしかしてミウはこの子と会ったことがあるの?」


 ずっと鳴いていることから、会ったことがあるのかと思い尋ねるも、ミウナインは食い気味に否定した。

 

「無いわよ、こんな失礼な子! きっと飼い主にもデリカシーが無いんだわ!」

「ぽぴ!?」

「『なんで』じゃないわよ! ばかあ!」


 その後も「ぽぴぽぴ」と釈明のように鳴くが、鳴けば鳴くほど怒りに油を注いでいるようにしか見えない。ミウナインの怒りはどんどんヒートアップしていた。

 

「ミウの悪口とか、そんなつもりなさそうだけど……。なんて言っているの?」


 まず状況を把握すべくシャオが間に入るとミウナインは冷静になったのか、ふぅ、と一息ついた。逆立っていた毛も少しずつ落ち着いていく。

 

「そうじゃなくても、そういう事よ! ……ま、アタチが人気なのは自明の理だから、過剰反応も許してあげるわ」


 鼻を鳴らして、ミウナインは一度乱れた毛並みを整える。彼女はブラシを何種類も持っており、毛の状況に合わせて手際よくブラシを持ち替えていた。

 

 シャオもブラシを持っているが、使うのは朝の身だしなみの時だけだ。こうやってどんな時も綺麗であることを忘れないミウナインの努力は、シャオにとって賞賛ものだった。

 

「ミウっていつも身だしなみ頑張ってるよね、みんなから人気なのもわかるなあ」


 シャオの言葉にミウナインはにんまりと笑うが、誤魔化すように表情をツンと取り繕う。

 

「ふ! ふふふ、ふん! 当然よ。だってアタチは白くてかわいい、プレミアムキャットなんだから!」

「ぽ! ぽっぴ!」

「この子、なんて言ったの?」

「……『友達のほうがプレミアムで、歌も踊りも上手』ですって? 知らないわよ! アタチはあんたの友達を見た事無いんだもの!」


 再び毛が逆立つ。今度はシャオが間に入っても止まらなかった。

 

「ミウが怒っちゃった。……君、他になんて言ったの?」


 ロボットペットに尋ねるも、シャオでは意志の疎通が出来ない。困ったように「ぽぴぅ」と鳴くだけだった。

 

「同レベルになるな、ミウナイン。落ち着け。……仕方がない。次に行くぞ」


 ヴィハーンはそう言うも、このまま彼女を放置することは出来ない。

 右往左往しながら怒り心頭のミウナインを何とか宥め、数分後、ようやくバイクを走らせることができた。


 

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