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第四章 ⑤

一番前に生徒に指摘され呑気に首を傾げるセフィア。

すこし物思いに耽り過ぎていたのか、生徒サイドからすると、動かない喋らない。そのくせやたらニコニコしているとても不気味な姿だっただろう。

――もっとしっかりしなきゃいけませんね。

これでは生徒に面目が立たない。

四月もあと一週間弱。ルーミックとエイリス以外のペアも打ち解けあってきたようで、見ず知らずの人と肩を並べる緊張感も薄れ始めた。気安い関係は好ましい。緩んだ気と頬を引き締めて、どこまで話しましたっけっと、自分のノートをめくりつつ。彼女は授業を再開する。

「ああ、ここですね。えーっと……。

魔力を持っている人みんなが騎士を目指しているのではありません。このフォーリティナ魔道学園は代々数多くの騎士を輩出していますが、中には違う目標を持っている人もいるでしょう。生活や仕事に応用したりと、魔力の使い道は様々です。

さらに一口に『魔道騎士』と言うと『魔力を用いて戦う人』を指しますが、そのほとんどは国家直属の『正騎士』と企業などが自衛の手段として独自に雇う『職業騎士』に大別されます。正騎士の仕事は国全体の秩序の安寧の維持――つまりは国民の安全や生活を守ることと、敵対戦力への対抗手段としての存在ですね。長い戦争の歴史の中、今の平和がどれだけ続くのかは誰にもわかりませんから。ただ、敵が常に外部にいるとも限りません。目下問題になっているのは内側の敵です」

わかりますか、と間を空けると、即座に答えが返ってくる。

「それって『選ばれざる者』ですよね」

「正解です。『選ばれざる者』はその名の通り魔力を持たない人たちの集団です。彼らは『騎士』は魔力を持っていない自分たちへの差別だという主張から、騎士制度の撤廃及び魔力の使用の全面禁止を訴え、これまでに幾度となくデモ行為や、時にはテロに近い活動も行っています。

また、『選ばれざる者』には魔道騎士も在籍していることが確認されています」

どうして、と問われれば、その答えは『地位』と『自己満足』のためだろう。

万一現行の制度が本当にひっくり返されるようなことがあれば、次に国を治めるのは『選ばれざる者』の功労者。騎士としての力をうまく使えば十分に手が届く範囲。

そしてもう一つ、『革命を起こす自分』や『弱者に手を差し伸べてあげる自分』に酔いたいがために。

後者に至っては組織の思想と正反対であるというのに。用が済んだ後の可能性を考えていない。

「いくら魔道騎士と言っても魔装を展開していなければただの人。油断していれば普通の人にだってやられますし、銃で撃たれれば死んでしまいます」

逆に言えば、油断さえしていなければ銃にだって勝てるということ。そのため、魔法や魔装については厳格な法が定められている。

それだけでは足りないと彼らは言うのだ。

俺が使えないのだからお前も使うなと。つまりはそういうこと。

「『選ばれざる者』の構成員は年々増加していて、活動も活発化してきています。皆さんも巻き込まれないように気を付けてくださいね」

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