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第四章 ②

「先生だって、あんなにいいムードを壊すのは気が引けたんですよ? でも一応、こちらも仕事なので……。不純異性交遊なんかに発展されても困りますしね」

「良いムードなんて、……そんなこと!」

エイリスを華麗にスルーして、セフィアはベッドのそばに立つ。

「具合はどうですか?」

「はい、おかげさまで」

「いえいえ、今回のことはルーミック君のおかげですよ。近くに居てくれたことも含めて、あなたがいなかったらどうなっていたことか。ありがとうございます」

礼を言いながら、セフィアの手がルーミックの髪に触れる。

一度目は、あやふやな感触しか覚えていない。

「カッコ良かったですよ」

そして二度目。頭を撫でられるなんていつ以来だろうか。子ども扱いされているようで照れくささはあるものの、穏やかに上下する手のひらの心地よさはたしかに。

「むぅ……」

うっかり眠ってしまいそうになっているルーミックに、蚊帳の外になってしまったもう一人は不服そう。それがどちらへの嫉妬なのかを想像しつつセフィアは手を離した。。

「もちろんエイリスさんも素敵でしたよ? 特に最後の啖呵の威勢の良さは先生も見習わなきゃと思いましたし」

「あ、あれはその場の勢いというか……。それより、先生は用事があって来たんじゃないんですか?」

「……そうです。忘れてなんかいませんよ?」

思いきり間があったのはツッコまないべきなんだろう。

「エイリスさんにはもう訊いたんですが、ルーミック君からもあのときの詳しいお話を聞かせてもらいたくて。起きてすぐで申し訳ないんですが……」

いいですか、とその要請を断る理由はなく、二つ返事で頷いた。

別室で行われるという聞き取りのために、エイリスとは病室で別れて。

手を握ったり開いたり、肩を大げさに回してみたり。立ち上がって動かした身体には痛みはないけれど、丸一日寝ていたせいか、微かに気だるげな感覚が残っている。

「じゃあ行きましょうか」

「はい」

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