『機巧』、見抜く
「さてさて、他校生」
「まずは自己紹介から始めようか」
校門のそば。
スコップを担ぐ詠時の目の前で、その二人は笑って言う。
「俺は扇屋威空」
「俺は笹川明良」
まずはスパナを持った彼が、かぶっていた帽子をあげながら。
続いてハンマーを持った彼が、かけていたゴーグルをおろしながら。
「俺たちは二人で一人」
「二つで一つ」
「通り名は『機巧』」
「以後お見知りおきを」
二人の自己紹介を最後まで聞いてから、詠時は担いでいたスコップを地面に突き立てる。
「ご丁寧にどうも」
「お前は誰だ、他校生」
「名乗られたら名乗り返す。礼儀だぜ? 他校生」
笑顔を浮かべたままの威空と明良。
詠時はがしがしと頭を掻いた後、溜息をついてから、口を開いた。
「二高から、生徒会長の付き添いで参りました。伊田詠時っす」
「通り名は」
「『職人』。あんま気に入ってないんすけどね」
詠時が名乗れば、二人は嬉しそうに笑みを深める。
「そうか、『職人』」
「俺たちは気に入ったぜ? 『職人』」
「そちらに気に入られてもあんま嬉しくないんすけど……」
深く溜息をついて、詠時は視線を横にずらす。
ああ、参った。
基本的に争い事は嫌いなんだ。
だから戦えることも隠していたつもりだったのに。
情報って、どこから漏れるかわかったもんじゃないな。
「あーもう、わかりました、わかりましたよ。相手すればいいんでしょう、あんたらはそれで満足なんでしょう」
「投げやりだな、『職人』」
「それでも『職人』か」
「他人が勝手にそう呼んでるだけっすよ、俺はただの『凡人』っす」
ちらり、威空は詠時が持っているスコップを見やる。
ちらり、明良は詠時の足元の地面を見やる。
「どこが凡人だ」
「全くだよ、お前は抜け目なさそうなやつだ」
「おっと」
瞬間、詠時の足元で、地面がぼこっと音を立てた。
「ばれちゃってました?」




