『咲乱』、翻弄
「結局のところ、あなたの『法』は空間内でしか有効じゃないということ」
「そうだね」
「その空間がなくなってしまえば、あなたの『法』が僕を縛ることはできません」
にやりと笑う深花。
結界の外側で咲いた花が、ツタを伸ばし、結界を覆っていく。
「見えますか? あれは僕の『盾』です」
「!」
飛鳥が目を見開くのと、結界が割れるのは、同時。
ばらばらと地面に落ちていく結界のかけらを横目に、深花は笑顔のまま立ち上がった。
「さあ、仕切り直しと行きましょうか、『審判』殿」
「やるねぇ。やっぱり君も『いいキャラ』してるよ」
「あなたに言われたくないと言ったはずです」
にやり、笑い合う、奇妙な空間。
外野で様子を見守る三高一同は、何とも言えない空気に顔を見合わせていた。
「俺と君はよく似ている」
「不名誉なことです」
「俺はちょっと嬉しいけどね」
「僕はまったく嬉しくないです」
「仲良くなれると思うんだけど」
「仲良くしたくないです」
一撃、二撃、追撃。
撃ち合いながら会話を続ける二人に、外野にいた仁時と桧山は顔を見合わせ、呆れたように息をついた。
「空間展開……」
「させません」
「うわっ、容赦ない」
「それはお互い様でしょう」
「ずるくない? 自分だけ能力使ってずるくない?」
「それを戦略と呼ぶのでしょう」
「やっぱり君は俺と似てるね!」
「だから嬉しくないって言ってるでしょう!」
二人の会話を聞きながら、桧山は仁時の肩を叩いて、呟く。
「あの二人って絶対仲良いでしょ」
「初対面だろ」
「いや、どう見ても仲良しでしょ」
「確かに仲良さそうだけど」
「知らないんですか、先輩方」
桧山と仁時の会話に紛れ込んだのは、奈音。
「初対面の人のキャラを理解して仲良くなれるのが、信楽さんの恐ろしいところなんですよ」




