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バットラ!~Battle Triangle 三校対抗全面戦争~  作者: くつぎ
第十二章 その二人、『機巧』
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『機巧』、跳ぶ

 スコップを地面に突き立てたまま、詠時は動かない。

 しかしその足元で、ぼこぼこ、大地が動く。


「目敏いんすねェ。まだそんなに目立つことは」


 そう言いながら、ゆっくりとスコップを持ち上げる詠時。

 ぴくり、威空と明良が反応を示す。

 にやり、笑みを浮かべた詠時は、もう一度口を開いた。


「何もしてなかったのに」


 詠時が、スコップを持っていた手を広げる。

 重力に従って地面に落下したスコップの先が、ざくり、地面をえぐる。

 同時に、詠時の周囲の地面が、爆発的に隆起した。


「うおっ」

「やっべ、これ」


 威空と明良は、同時に校門の上へ退避する。

 隆起した地面が、大地が、形を変える。

 大蛇、あるいは龍。


 その様子を見た『機巧』二人は、同時に引きつった笑みを浮かべた。


「おいおい『職人』、何だそりゃあ」

「ペットか何かか、それともそれは、うちの学校の地面か?」

「両方正解っすかね」


 土から生まれた龍が、懐くように詠時に顔を寄せる。

 その顎を撫でながら、詠時は少しだけ、困ったように笑って見せた。


「今、三高の敷地にある『大地』は、俺が飼いました」


 『大地』を飼い馴らす。

 意のままに操り、整地も成形もお手の物。

 土から様々な形を作り出す様を見た周囲の人間が「まるで『職人』だ」などと言ったことが、彼の通り名の由来となっている。しかし本人はそれを知らない。


「ああ、一般生徒には迷惑かけないようにするんでご心配なく」

「その心配はしていない」

「どっちかと言うと、自分の心配しかできないぞ、この状況」


 スパナを構えた威空が、ちらり、明良の方を見る。

 ハンマーを担いだ明良が、ちらり、威空の方を見る。


「こりゃあ、一筋縄ではいくまい」

「油断大敵、初心忘るべからず」

「全くだよな、相棒」

「しまっていこうぜ、相棒」


 笑みを浮かべる『機巧』二人。

 跳び上がったのは、同時。



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