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欲張ってチートスキル貰いすぎたら、ステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します  作者: ゆさま


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モテモテスキルって

 ――翌日。


 目標となるイベントも終わって、俺はすっかり気が抜けていた。


 リビングのソファーに体を預けて、ダラダラと過ごしている。


 レイナは俺の近くで姿勢よく立っている。マユ、クレア、フィリス、アイリ、リーゼはリラックスした様子で談笑していた。


 ノエルとフォルの姿は見えない。ノエルはきっと鍛錬しているんだろうけど、フォルは何しているんだろ? そう思っていたら、フォルが部屋に入ってきて、俺の膝の上にひょいっと座った。


「カイト、若いうちから怠けていると、早めに認知症になってしまいますよ」


「昨日まで頑張ってたんだから、今日くらいゆっくりしてもいいだろ」


 俺が欠伸しながら返すと、ノエルが部屋に入ってきて、俺とフォルの前に立った。


「フォル、昨日の力はもう使えないの?」


 フォルは一拍置いてから、楽しそうな笑みを浮かべる。


「そうですねー、一日一回、30分くらいなら、ノエルちゃんをコテンパンにするくらいの力が発揮できると思います」


 おいおい、ノエルを煽るようなことを言うなよ。


 俺は肝を冷やすが、そんなことはお構いなしでフォルはご機嫌の様子だ。ノエルの目つきが鋭くなり、ピシッとその場の空気が凍り付いた。


「ふーん、なら勝負してみる? あの場にいた全員が、貪食の蛇の魂のエネルギーで大きくレベルアップしたってこと、忘れているわけじゃないでしょうね?」


 フォルは余裕の笑みをくずさない。


「いいですよ。どうせ生き返るので、勢いあまって殺してしまっても構いません」


「上等! 今こそ、積年の恨みを晴らさせてもらうわ!!」


 うわぁ、面倒なことになったぞ。でも、あの目をしているノエルは、俺にも止められないし……。


「レイナ、悪いけど壊滅しても大丈夫なところに全員で転移して」


 レイナが「承知しました」と、恭しく頭を下げた瞬間、俺たちはどこかの荒野に転移していた。あたりは岩と砂ばかりで、人気は全くない。


 ノエルの叫びが荒野に響いた。


「カイト! みんなも! 魂のハーネスを通して、私に魔力を全部送って!!」


「お、おぅ、分かった。みんなも頼むよ」


 みんなは困惑してるみたいだったが、俺がお願いすると、魂のハーネス経由で全員の魔力がノエルに集まっていく。


 ノエルは全開放した魔力で魔装術を発動。対するフォルが神気を開放すると、神々しい六対の光翼が出現し、手には豪奢な槍が顕現した。


「覚悟はいい?」


「お手柔らかにお願いしますね」


 すごい剣幕のノエルに、フォルは穏やかな笑顔で応える。


 ノエルは聖剣ラングザードに膨大な魔力を押し固めて、巨大な刃を顕現させた。


 レベルが上がったみんなの魔力を魂のハーネスでかき集め、一本の剣に集束させた天譴裂光衝《てんけんれっこうしょう》。その極めて攻撃的なプレッシャーは、遠くで見ているだけでも肌に刺さるようだ。


 ノエルは気合の入った掛け声と共に振り下ろすが、フォルは光槍で軽々とそれを受け止める。二人が激突した瞬間、閃光が走り轟音が大地を揺るがした。


 ノエルの目は真剣そのもので、本気の殺気を振りまいて連続攻撃を仕掛ける。フォルは優雅に微笑みを湛えて、それを受け止めていた。


 二人が激突するたびに、世界が引き裂かれるような凄まじい衝撃が走る。貪食の蛇戦を優に超える超絶バトルが、目の前で繰り広げられている。


 一応マユが結界で俺たちを守ってくれてはいるが、とっても怖い。


 これ、俺が間に入るの、絶対無理だ……。


 立ち尽くしてその戦いを見ていると、数分でフォルはノエルをコテンパンにのしてしまった。


 ノエルは、ボロボロになって膝をつく。


「おのれ……。これだけ強くなっても、まだ女神に勝てないなんて」


 神々しいオーラと光翼が消え去り、通常モードに戻ったフォルはいつものニコニコ笑顔で返す。


「ノエルちゃん、私はもう女神ではありませんよ」


「頭では分かっていても、割り切れるものではないわ!」


 ノエルの悔しそうな声に、フォルは諭すように返した。


「そうですか。私は逃げも隠れもしません。いつでも相手しますからね」


「ぐぅぅ……!!」


 ノエルは歯を食いしばり、悔しさに顔を歪めている。


「いつか勝てるようになるって」


 両手を地に着けてうなだれるノエルの肩に、俺はそっと手を置いた。





 仲良くなったように見えたけど、やっぱりノエルはフォルのことを許したわけじゃなかったみたいだ。


 二十年前の魔王軍との戦いで、ノエルは相当苦しい目に遭わされたみたいだったから、それは仕方がないことなのかもしれない。


 そんな根の深いわだかまりがあっても、表面上は仲良くやっていけるのは、きっとモテモテスキルのおかげなんだろう。


 個々の想いや感情を押し込んで、強制的に俺に惚れさせる能力って、もしかして非人道的な能力なんじゃ……。


 底知れぬ不安が一瞬脳裏をよぎったが、心の隅に押しやった。




 ……せめて、俺のことを好きになってくれた女の子たちを、精一杯大切にしよう。


 俺は改めて、心にそう誓うのだった。


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