取り立て
獲得したスキルをスキルポイントに変換して取り立てます。
掃除スキルLV3……スキルポイント60に変換。取り立てました。
料理スキルLV3……スキルポイント60に変換。取り立てました。
皿洗いスキルLV2……スキルポイント30に変換。取り立てました。
* * *
布団の中で瞼を開ける。窓からは朝の光が差し込んで、小鳥が鳴く声が聞こえてきた。
「……朝か」
なんとも気分の悪い目覚めだ。せっかく覚えたスキルが消えちゃう嫌な夢だった……。
上半身を起こして例の言葉を呟いた。
「ステータス」
現れた半透明のウインドウを眺めると、昨夜見た時よりも表示が妙にすっきりしている。覚えたはずのスキルが全部消えていた。
「せっかく覚えたのになんでだよ!」
慌てて半透明のウィンドウを何度も見直していると、ノエルの声が聞こえてきた。
「差し押さえられてるスキルポイントの分が、取り立てられたんだよ」
たしかに、スキルポイントのマイナスは減っている。だけど、昨日の頑張りが全部無かったことになるなんて……。
どうしようもない憤りを感じて、自然と口が動く。
「うわぁ萎えたー、せっかく覚えたのにー」
ゲームのデータが消えてしまった時のような脱力感を覚え、ばたりと布団に倒れこんだ。
「スキルポイントのマイナスをなくせば、覚えたスキルは消えなくなるよ。天才スキルの恩恵で、スキルを覚えるスピードが異常に速いんだから、10000のマイナスぐらいすぐに返せるよ」
……ノエルは励ましてくれているのか。
そうだよな。家事をやりまくっていたら、すぐにスキルを覚えられるし、スキルLVもよく上がる。
それを繰り返してスキルポイントを完済すれば、きっと強くなれる。俺Tueee&ハーレム実現のために、立ち止まるわけにはいかない!
今日も頑張って家事をしよう。そう心に決めると、拳をグッと握って立ち上がった。
* * *
朝食後、オウデルさんが街に行くのを見送ると、俺はアイリに頼んだ。
「家事とか、何でもいいから俺にやらせて欲しい」
「やる気だねー、やってくれるなら助かるよ」
アイリに指導されて家事を色々手伝った。
家事をやっていると『洗濯』『掃除』『料理』『皿洗い』のスキルを、次々と覚えることができた。
最初の印象から、アイリはキツい子なのかな? と思っていたけど、意外と優しくて丁寧に家事のやり方を教えてくれる。
アイリのような、とびきりの美少女と一緒に家事をするのは楽しい。
やっぱり、異世界転生ってこうじゃないとね。
家の中の家事があらかた終ると外に出た。次は薪割りと畑仕事をやるそうだ。
アイリに教わりながらやっていると、すぐに『薪割り』と『農夫』スキルを覚えた。
薪を割るナタや畑を耕す鍬は、筋力値が0の俺にはかなり重く、振り回すのは辛い。
だけど、スキルを獲得すると、それなりに振れるようになった。力が無くてもできるようになるなんて、スキルって凄い。
次々とスキルを覚え、スキルLVが上がるのでやる気は出る。ただし体力値が0なのですぐにバテてしまう。休み休みでも精一杯頑張った。
一日スキル獲得に勤しんで分かったが、ステータスオール0でも日常生活にはひとまず問題ないようだ。
始めはHP1ということでビビりながら行動していたが、ナイフが指に当たっても絶対防御スキルのおかげで怪我はしない。
また、日常生活で疲れた程度では、HPは減らないみたいなのでひとまず安心だ。
夕方、オウデルさんが帰ってきた。白いダイアウルフの毛皮は一千万イェンで売れたとほくほく顔だ。
夕食は昨日より豪華で、美味しそうな肉がメインだった。オウデルさんは「ちょっと高い酒を買ってきた」と、ちびちびやっている。
アイリが柔らかな笑みを浮かべて、俺を見ている。
「カイトは働き者だね。ずっとここにいてもいいよ」
美少女に褒められて、思わず頬が緩んでしまう。
「ありがと、そうさせてもらうよ」
* * *
自分の部屋に入り布団に横になる。さてステータスでも確認するか。
名前 カイト
レベル 1
HP 2
MP 0
体力 1
筋力 1
魔力 0
反応 0
俊敏 0
器用 0
スキルP -9850 (差し押さえ中)
所持スキル
アイギスの盾 天才 物知りさん アイテムボックス
洗濯LV2 掃除LV5 料理LV4 皿洗いLV2 薪割りLV3 農夫LV3
よしよし、スキル増えてる。あれ、ステータスも少し増えてる?
「限界まで体を酷使し続けると、ステータスが徐々に上がるよ。でもたった一日で上昇するのは天才スキルのおかげだね」
ノエルの説明に、俺Tueee&ハーレムに一歩ずつ近づいていると実感できた。
急激に瞼が重くなってきて、そのまま意識は心地よく沈んでいった。




