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「カグヤと彼氏と日本史の謎」(セーラー服と雪女 第21巻)  作者: サナダムシオ


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㉚ 彼の正体

 すると、独りになったはずの河合曾良が、ナニやらボソボソ喋り出したのである。


『はい、確かに数多くのポータル候補地を見つけました。いつでもゲート設置可能かと……そうですね。明日、芭蕉と別れて、そちらに合流し、詳しい報告を致します。』


 こんな会話が成雪の耳に飛び込んで来たのだ。

 しかも、ソレは……ヘブライ語だった!


 こんな事もあろうかと、カグヤの手によって、彼にはあらゆる語学の知識も、インプットされていたのだ。まあ実はコレも、真田雪子のアドバイスによるものだったのだが……。


 激しく動揺した成雪は、思わず、湯舟の水面を揺らしてしまった。

 それを曾良は、敏感に察知した。


「誰だ!そこに居るのは!?」

 今度は日本語だった。

 知らぬフリもできまい。


 そう覚悟した成雪は、湯に入ったまま、ゆっくりと彼に近づいた。

「なんか、今、外国の言葉が聞こえて来たような……。」

 成雪はそう言って誤魔化す。


 しかし曾良は、彼の顔を見るなり、血相を変えた。

「キサマは……真田雪村!何故こんなところに!?」

 クローンのコピー元が、時空を超えた有名人だと、こんな時に極めて不都合なのである。


「あの〜、ええっと、ボクはそうじゃなくて、ですねえ……。」

「キサマなら、ヘブライ語が分かるはず。今の会話を聞いてしまったのだな?」


「ええ、まあ、でも、どういう意味なのかな?ポータルとか、ゲートとか?」

「……ならば、この場で死んでもらうしかないな。いや、キサマは、カナリ強いと聞いている。例え刺し違えてでも…。」

「いやあ、それは……遠慮したいなあ。」


「誰が、誰と刺し違えるですって?」

 その時、突然凛とした女性の声がした。

(あれっ?ココは男湯だぞ?)

 成雪は命の危険も忘れて、ついそんな事を思ってしまった。


 湯舟の前の石畳に立っていたのは、真田雪子だった。

 今日も冬物のセーラー服を着ている。イロイロな意味で、違和感アリアリである。

「キサマは、真田雪子!何故こんなところに?いや、まず、ココは男湯……。」


 河合曾良は、最後までセリフを言わせてもらえなかった。

 何故なら、雪子のチカラで、湯舟から空中に上げられてしまったからだ。彼は見えない手で、首の辺りを掴まれているようで、何だか苦しそうだった。


「アナタだって、本当は女性の爬虫類でしょうに。光学迷彩で変装しても、バレバレなんだから。アラハバキさん?」

 彼女はそう言うと、曾良の光学迷彩を、強制解除した。


 すると、そこに現れたのは紛れもなく、全身にヌラヌラとした鱗の生えた、ヒト型の爬虫類族だったのだ!

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