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先読みしていた姪(仮題)  作者:
その他いろいろ
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13. ヴォルタ家のその後(クリストファ視点)

『闇の魔女』


父が若い頃にほぼ壊滅状態に追い込み、姉とその仲間が壊滅させたという暗殺集団。

いつからその存在があったのかは知らない。


父と姉の逆鱗に触れたその集団は二度と組織として表舞台に出ることはないだろう。


父の逆鱗である母が巻き込まれた誘拐事件。

もし、それがなかったら『闇の魔女』は破滅への道を進むことはなかったのではないだろうか。


そして姉の逆鱗。

『闇の魔女』

それはクインディア大陸に伝わる『伝説の魔女』を貶める名称。

噂では『伝説の魔女』を嫌悪(逆恨み)していた人々が『伝説の魔女』の名を落とすために広めた名称だという。

漆黒の髪と瞳を持ち、神同等の力を持っていた『伝説の魔女』はクインディア大陸に降臨した『真の神子』であると言われている。

だが、当時の人々は彼女ではなく、彼女と共に降臨したもうひとりの少女を『神子』として担ぎ上げ彼女を虐げていたという。

彼女は数々の伝説を残したが、その業績はもうひとりの少女のものとなっていた。

だがここ数年、それらの業績が『伝説の魔女』の業績であることが様々な証拠物件と共に発表されている。

それを不服としているもうひとりの少女の信者たちが『伝説の魔女』を貶めるために囁いたのが『闇の魔女』だという。

当時は『伝説の魔女』の名を貶める噂を流すだけの無害な集団だった。


だが、いつの頃から『闇の魔女』を名乗る暗殺集団が表舞台に出てきた。

それに真っ先に気づいたのはクインディア大陸ウェス国の先代の王だった。

先代国王は独自の情報網を使い『闇の魔女』を探っていたが、先代国王が本格的に動き出した時には『闇の魔女』はクインディア大陸から姿を消していたという。


ウェス国の先代国王と『伝説の魔女』に関しては様々な噂があるがどれもこれも信憑性に欠ける。

だが姉は先代国王と『伝説の魔女』の話が大好きだ。

いや、『伝説の魔女』に傾倒している。

魔力量がほかの人たちよりも多いことが分かった時(化け物級の魔力量を保持しながらそれを一切表に出さない姉は尊敬に値する)、真っ先に『伝説の魔女様を目指すわ!』とこぶしを掲げて叫んでいたほどだ。

そしてその宣言を先代国王陛下と学園の魔導師たちが後押ししたため最年少の魔術師が誕生したのだが……まあ、どうでもいいか。


ウェス国に留学していた時は『伝説の魔女』と関わったことがある人たちに突進していろいろな逸話を聞いていったという。

全て義兄から聞かされた話だが。

ちなみに義兄は本国とウェス国との連絡係として行き来していたそうだ。

近衛騎士が!?と思っていたら「リラが行くなら俺も!」と強引にその権利をもぎ取ったらしい。

騎士団長が胃痛とお友達になった原因の一つらしい。

姉と義兄の監視役として自身の息子を同行させたがその息子も少々問題を起こしてさらに胃薬とお友達になったとかならなかったとか……?

現在、騎士団長は引退(何もかも捨ててでも隠居)したいと常々愚痴っているらしいが次期騎士団長の最有力な後継者が義兄しかいないことに頭を抱えているとか。

義兄は「団長職についたらリラとの時間が減る!トップじゃなくてトップ下にいる方がいい。そもそも俺は辺境伯を継ぐから長くはいられない」と言ってほかの騎士を推しているらしいが国王陛下が首を縦に振らないために次期騎士団長の選出が難航しているとのことだ。


なぜウェス国での姉の暴走を止めなかったのかと問えば「あれの暴走を誰が止められると思う?」としれっと言われ反論できなかった。

姉の暴走は誰にも止められないのは昔からだった……

まあ、姉が暴走するのは『伝説の魔女』と義兄に関係したことだけだから僕には害がないから放置するけどね。


と、『闇の魔女』についてちょろっと語ったが僕は正直どうでもいい。

今現在、僕の悩みは姉と義兄と…………父のことだ。


姉は僕たちと離れて暮らしている間に父に内緒で伴侶を見つけ、成人と共に結婚していたのだ。

当時保護者であった祖父の許可は得ているので正式なしきたりに沿って行われているので問題はないのだが……


父に内緒にしていたのがまずかった。

父は姉を溺愛したいのにできなかったことを周囲に愚痴を漏らすほどに姉を愛している。

離れて暮らしている時も祖父から送られてくる肖像画(本物そっくりに描写する魔写は母が隠していた)を胸元に忍ばせて愛でていたほどだ。


父の口癖は「アンは絶対に嫁にはやらん!」である。

そのたびに母に「アリアンナそっくりの孫を抱けるのはいつになるのかしら」という呟きまでがワンセットだ。


『闇の魔女』を破滅に追い込んだ今、国王から表舞台への復帰を告げられた父。

父は即決でその話を受けた。

母は社交は面倒だからいやだと駄々を捏ねたらしいが父が国王に返答した後(つまり事後報告)なのでしばらく母は父とは会話を一切しなかった(寝室も別室という徹底ぶりだった)

1~2日は父も平然としていたが3日目あたりから母に縋りついて謝り倒していたな。

それでも母は口を利かず、無視していた。

父を無視して僕に話を振るのは正直やめて欲しかった。

父からの殺気が日に日に強くなっていったんだよ。


父と母の冷戦(?)を止めたのは王妃様とのお茶会だった。

王妃様のお茶会の後、母の機嫌がよくなったのだ。

その理由を後日知ることになるのだが……



あと数日で正式なヴォルタ家の当主となる父に母が爆弾を投げつけた。


「ねえ、クリス。いつになったらフローラちゃんたちを我が家に迎え入れるのかしら?」

「え?」

フローラとは僕が今必死に口説いている女性だ。

あともうちょっとで落とせるところまで来ている……はず……


彼女と母は仲が良く時々デートをしているらしい。

僕ですら年に数度しかしていないのに……

「お母さん、早くフローラちゃん(お嫁さん)たちとあれこれしたいんだけど~?おちびちゃんたちにもおばあちゃんって呼ばれたいんだけど~!?」

「は、母上?」

「だってアンナちゃんは辺境伯のところにお嫁に行っちゃったから母娘デートも頻繁にできないのよ。まあ、あと数年はお仕事の関係で王都暮らしが主だって聞いているけど……領地との行き来もあるしね~」


「は?」


父は持っていたグラスを口元に添えたまま固まった。

口に含んだ状態でなくてよかった……

たぶん口に含んでいたら今頃大惨事になっていただろうな。


「アンがすでに嫁入りしている!?」

顔から表情が滑り落ちている父に母はにっこにっこの笑顔で話し続けた。

「王妃様にいろいろと聞いたのよ~アンナちゃんとファウスト様、学園の予備科時代からの付き合いなんですって!」


嬉しそうに王妃様から聞いたという話を続ける母とだんだんと顔色が悪くなる父。


「それでね、まだ予想でしかないんだけどアンナちゃん、妊娠しているみたいなのよね~」


私もおばあちゃんになるのね~と呑気に話している母。

ちらりと父の方を見るとかろうじて割ることがなかったグラスをテーブルの上に置くとにっこりを笑みを浮かべていた。


うわ~父の笑顔……しかも『ニッコリ』という擬音が聞こえそうな笑顔って初めて見るわ~

うちの家系(母は除く)って表情がはっきりしている笑顔を浮かべている時程、怒りの指数が高いんだよな。

まあ、僕も例外ではないみたいだけど……自分じゃわからないんだよな。




数日後

騎士団内でちょっとした騒動が起きたとか。


だが、箝口令が敷かれ騎士団関係者以外その内容を知ることはできなかった。


ただ一つだけ


騒動が起きた翌日、義兄の顔が変形しており、姉の麗しい笑顔(静かな怒り)が父に向けられていた。


「あらあら、アンナちゃんが()()()家を出るきっかけを作っちゃったのね。わがまま言わずにファウスト様とのこと(婚姻)を認めちゃえば王都にいる間は一緒に暮らすこともできたのに」


姉から麗しい笑顔(怒りMAX)を向けられ、使い物にならなくなった父に母の言葉が追い打ちをかけたことには違いないだろうな。


表舞台(王宮内にある騎士団)ではきびきび働いている(騎士の指導役らしい)父だが、家に帰ってくると屍のようになる日々が続いた。

領地の方は僕が祖父から直接指導を受けて経営しているから領地的には問題はないのだが……

母の言葉や奉仕でも復活しない日々。

ついに母にも匙を投げられた。

母は時間を作っては姉に会いに行って楽しんでいるそうだ。

その話を聞きさらに父が悪化するとわかっていてわざとやっている母が恐ろしい……


いい加減、父には復活してもらいたいものだ。

父に憧れているという騎士たちには見せられない姿だよ本当に。





父と姉が和解(?)したのは翌年。

孫が生まれた時に父が皆が見ている前で土下座して義兄に謝った時だった。

まだまだ、書ききれていない部分もありますが一旦『完結』表示とさせていただきます。

今後は蛇足になりそうなので……(;´・ω・)ゞ



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