百点の報告
今日の夕方、大きな目をした巻き毛のキジ虎の男の子が猫山駅にやって来ました。
「お母さん、やったよ! ぼく、算数で百点取ったよ!」
年齢は小学校低学年くらいでしょうか。売店のアルバイトの黒い巻き毛の田中さんに大喜びで報告しています。
「来ちゃ駄目って言ったでしょ。お母さんは仕事中なのよ」
猫の世界の珍名さんである田中さんとはたまにお話することはありますが、小さな息子さんがいることは初めて知りました。
「仕事の邪魔に来たんじゃないよ。買い物に来たんだよ。だから、ぼくはお客さんだよ」
「また、理屈ばっかり。でも、テストはよく頑張ったわね」
田中さんは軽く息子さんを叱りながら、でも、うれしそうにしていました。
息子さんは小さなお菓子を一つ買って、おとなしく帰っていきました。
私が見ているのに気付いた田中さんは、ちょっと恥ずかしそうに言いました。
「あら、すみません。ほんと、うちの子ったら、たまたま百点取ったからって大喜びしちゃって」
「いえ、お利口そうな息子さんですね」
「とんでもない。落ち着きがなくって困っているんですよ。ゲームばっかりしてちっとも勉強しないし」
息子さんが夢中になっているのは怪獣を集める対戦ゲームで、田中さんから百点を取るまでゲーム禁止と言われたら、さっそく百点を取ってきたみたいです。
「きっとやる気になればできる息子さんなんですね」
「ええ。言われる前に自分から頑張ってくれればいいのに」
そう言いながらも、田中さんはちょっとうれしそうでした。
「まあ、私も子供のころは勉強好きじゃなかったし、仕方ないですかね。ミーコ駅長はどうでした?」
「さあ、どうだったでしょうか」
人間の世界にいた子供時代のことは、あまり覚えていません。
でも、なんとなく、田中さんの息子さんと似たようなタイプだったのかなと思います




