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トイレのハニャ子さん

 最近、猫山デパートのトイレに、トイレのハニャ子さんがいるという噂が立っています。

 ハニャ子さんというのはトイレに現れるというお化けで、昔、トイレに落ちて亡くなった女の子の霊だとされています。


 今日、猫山デパートで買い物帰りトイレに入ろうとしたら、小学校低学年くらいの女の子が何匹か、誰もいないトイレに呼び掛けていました。

「ハニャ子さーん、遊びましょ!」

「わあ、早く逃げろー!」

 そう言って、私にぶつかってきてしまいました。


「あぶないわよ。何をしてるの?」

「あっ、ミーコ駅長。ごめんなさい」

 トイレから離れて話を聞いてみると、トイレの花子さんを遊びに誘って、返事が返ってくる前に逃げないと、霊の世界に引きずり込まれるんだそうです。

「だったら、最初から遊びに誘わなきゃいいのに」

「でも、ちゃんと逃げきれたら、いいことがあるんだよ。私はこの前、テストで百点とったよ」

 よくわかりませんが、一種の肝試しのようなものみたいです。


「きっと、そんなの迷信よ。私は逃げないから、よく見ててね」

 そう言ってトイレに行こうとすると、子供たちは必死になって私を引き留めました。

「だめだよ、ミーコ駅長。呪われちゃうよ」

「そうだよ、呪われちゃうよ」

 子供たちがあまりに真剣に言うので、私もその場は断念せざるを得ませんでした。


 子供たちと別れたあと、改めて誰もいないトイレの前でハニャ子さんに呼び掛けてみました。

「ハニャ子さーん、遊びましょ」

「はあい」 

 なぜか背後から返事が聞こえて、びっくりして振り返ると、一匹のサバ虎のおばあさんがトイレに入ってこようとするところでした。


「お猿のミーコ駅長さんだね。今はやりのハニャ子さんごっこかい?」

「いえ、はい、まあ……」

「私の名前はハニャ子だから、つい返事をしちゃったよ。お化けじゃないから、逃げなくても大丈夫だよ」

「はい。……すみません」


 正直なところ、かなり気まずかったです。

 おばあさんによると、おばあさんの子供のころにもトイレの壺姫という似たような噂が流行ったことがあったそうです。

 その時は、先生が打ち消しても全然聞き入れられなかったのに、なぜかいつのまにか忘れ去られていたとのことです。

 

 トイレのハニャ子さんについても、実在しないと学校では先生が子供たちに言い聞かせているようですが、あまり効果は出ていないみたいです。

 たぶん、子供たちが飽きるまでは、この噂は続くのだろうと思います。

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