第45話 「面倒なこと」
駅馬車は都市交通のイメージなんですけどね。
王城の奥深く、その周囲を堅牢な黒曜石で囲まれ、その外側はあらゆる魔法を阻害するミスリル重水が覆っている。そんな異質な部屋でその会議は行われていた。
「そうか、討伐出来たのか。」
「はい、やはり優秀でしたね。」
「これからも、彼女らを使いますか?。」
「そうだな、使えるうちは働いてもらおう我々のために。」
「それがよろしいかと思います。」
「次はやはり帝国の・・・。」
「うむ、勇者パーティがよかろうて。」
「いささか、時期尚早のような気もしますが?。」
「倒せなければそれでも良い、弱ったところを叩けばよいのだ。」
「それは、我々が介入するということでしょうか?。」
「準備をしておくということで、偶然介入してしまうのです。」
「気付かれないか?。」
「その際は現場指揮官の暴走ということで、我らは知らぬことということに。」
「ところで、王よ彼らの求めるものは帝国に・・・。」
「我が国、我が王家には伝わらぬ、帝国にそれがあるかは知らぬ、原初に召喚の契約を成した古代王国にはあったのかも知れぬがな。あのように便利な存在を何故手放す方法を伝えねばならぬのだ?。」
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王都とに向かう駅馬車の定員は10名、3x2x2x3という座席配置になっている。乗り心地はお世辞にもよいとはいえないが、辛うじてクッションの良いシートに救われていると言うところか。
王国内の街道の治安は比較的よく魔物の進入はありえないようだ。
これは街道沿いに定期的に設置されている街灯状の魔物除けの効果であると言われている。
路面状態は赤い煉瓦が埋め込まれているようでこれが乗り心地にも影響してくることになる。
我々は港に帰った後、まずギルドに向かい依頼の達成報告をしたら、海軍基地に向かうように指示されたので、蘭人と私のグループに分けて私とパイアが海軍に向かうこととし、蘭人カカオミントヴァリアスジーナは宿に戻り、私たち戻り次第旅立てるように準備してもらうことにした。
海軍基地での出来事は不快の一言に尽きる。
基地指令は不在だったのだが、事務総監という壮年のおっさんが極めて高圧的な態度で接してくるのだ。
「では、壊滅させた証拠がないではないか。」
「文字通り海の藻屑と消えたからね。」
「それでは、信じられないではないか。」
「では、どうしろと?。」
「しかも陛下の貸し出した船を破損させたままではないか?。」
「それだけ戦闘が激しかったということなんですが。」
「我々の仲間も大怪我をしたり亡くなったりした結果なんだがな。」
「それは、そのものの技量が未熟だったということであろう、我が輩が言っておるのは壊した物を直さず返すのかということである。」
「考えても見ろ船一隻で、これから襲撃されることがなくなったのなら安いものだろう。」
「さて、その話が本当かが証拠がないからわからんといっとるんだ。」
「だから、報奨金を出さないと言うことか?。」
「証拠があれば出すと・・・。」
このような押し問答を続けたあげくついにパイアが切れたのだ。
室温が一気に下がり、圧倒的な殺気で室内が満たされる。
事務総監のおっさんが腰を抜かして股間にシミを作り何か言おうと口を開けようとするが言葉は出てこない。
「おまえの話はわかった、それが海軍の総意だということと理解する。」
「パイア?。」
「マスター時間の無駄です。」
「・・・そのようだな、郷の言い様は覚えておきます。船の修理をするつもりはありません、そんな義務もないですし約束を交わした覚えもありませんから。貴方の王はこの船を使ってくれと言っただけですしね。あなたが報奨金を払えないのなら王から直接受け取るだけです。」
「パイア面倒だから、殺しちゃだめだよ?。」
そういって私たちは海軍を後にして宿に戻り準備を終えた仲間と合流して駅馬車に乗ったというわけだ。
ちなみにローラィとジーナは解除している、ローラィは陸上では役に立たないからで、ジーナは思ったより傷の回復が芳しくないので戻した方がいいだろうということになったので、駅馬車には私、パイア、蘭人、ミント、カカオ、ヴァリアスの6人が乗っている。ゴーレムのダイちゃんは入港時に解除している。
10人乗りの馬車はこれでほぼ貸し切り状態である。進行方向の側から私の右にカカオ、左にパイア、向かい側右にミント、蘭人、その反対側にヴァリアスと言った感じだ。
王都に行くのはついでに過ぎない、というか王都行きしか内陸に向かう馬車がなかったからというのもあるわけだが、そのついでに報奨金が受け取れればよし、無理ならそのまま国境に近い町まで移動して日を置かずにこの国から出て行くつもりだ。
王都に着いたのは夕暮れ近くというかすでに夜の帳が落ち始めていた頃合いで、馬車から荷物を降ろして以前泊まった宿に向かう。
二人部屋を3つ借りて荷物を置き宿の食堂で夕食をとる。
ここまでは何事も起こっていない、もっとも王都と呼ばれるところでそうそうことが起こるわけもない映画や小説じゃあるまいし。
食事の後は部屋に戻る、部屋の割り振りは私とミント、カカオとヴァリアス、蘭人とパイアになっている、なんでもそういう順番らしい。
基本的に彼女らは私が召還した時点でコアの改変を施しているから魔力は自動で供給されるから食事も睡眠も必要ないのだが、ジーナにこっそり聞いたところ人と交わることによってより質の高い魔力を得ることができるようになるらしい。
それでかどうか翌朝には妙に肌がテカテカしっとりして活気があるんだよね。
翌朝一番ヴァリアスが王宮に走り謁見の申し込みをし、ミントとカカオが蘭人をつれて買い出しに出かける。私とパイアは冒険者ギルドに向かい事の顛末のギルド側の対応と周辺国家の情勢と素材の売却を行った。
「今回の件はまことに遺憾ですが、王宮側が直接支払いをしその際功績を讃え労いたいということでしたのでギルドとしては如何ともしがたいのです。」
とギルド王都本部長なる人物に頭を下げられてはどうしようもなく、ギルドの方での立て替えもできないということから、その件はおいておき周辺の情報やら一番近い国境までのルートと移動手段を聞いたり素材の売却に色を付けてもらったりして宿に戻れば、明日の朝であれば面会が可能とかヴァリウスから報告を受ける。
「めんどくさい。」
思わず口にしたのをパイアもヴァリアスも聞き逃さずにではとばかりに荷物をまとめて宿を引き払い、蘭人たちと合流すると駅馬車のステーションにむかった。
「あの~ヴァリアス?なんか手際よくない?。」
「先日のお話は聞いております、ただこのままこの国にいても害はあれど役がありそうにありません。」
たぶん、王宮の方でもひどい扱いを受けたのかもしれない。
まぁ王宮からの指名の依頼の報告なのに明日に回されたとあればそれも無理がないかも。
戻ってきて訳がわからないかおをしているのは蘭人一人・・・。
「なぁ、報奨金もらうんじゃなかったのかよ?。」
「反故にされました。」
「えっじゃあ只働き?。」
「素材は売れましたよ?。」
「いや、それは別だしいいのかよ?。」
「しかたないでしょう、払う気がないようですしそれで拘束されるのも莫迦らしいじゃないですか。」
「そんな国は出て行くに限ります、じゃないと滅ぼしちゃいそうになります。」
できるの?とは聞かない蘭人である。なんとなくやっちゃいそうののだ。
馬車は昨日と同じ10人乗りだったので同じような席順で乗車した。
ちがうのは同じ馬車に乗客がいたこと、高齢の婦人と孫が二人に商人ぽい男。
馬車は王都を出ると速度を上げて北上していく、衛星都市はパスしていく国境の町「ダコタ」への直行便だ。ギルドで聞いたもっとも早く王都から遠ざかる方法でもあった。なぜそう急ぐのか?それは難癖をつけて足止めされるのを悟ったヴァリアスと拘留されかねないと感じたパイアの感による。
昨日とは違い他の乗客がいるので会話はほとんどなく皆寝たふりをしているが、実は念話で話が続いてたりする内容はくだらないことが多かったが。
この道中に襲撃やら追っ手がきたりとか実は老婦人が暗殺者とか商人が怪物に変身したとかがあればいいのだが、現実はそんなことが起こることもなく途中一度休憩で停車した時に老婦人の孫の一人が時間までに馬車に戻らないことが会ったくらいで、翌日の昼過ぎには「ダコタ」のひとつ手前の町に着いたところで軍の兵士が近づいてきた。
「この馬車に王宮御用船損壊犯である冒険者の一行は乗っていないか?。」
馬車から降りて身体を伸ばしている一行に声をかけてきたが皆一応に見回して首を傾げている。
「まぁ怖い、お嬢様気をつけませんと。」
「ほんまやわぁ・・・て何でわいの方見てんのや。」
「お婆さま、冒険者って?。」
「礼儀知らずな、荒くれ者の事かねぇ。」
「だったら、この馬車にはいないわ。」
「そうよね、マリカこの馬車にはレディが一杯だもの。」
「そこのおじさんとお兄さんだけだもの。」
「お兄さんは礼儀正しいし、おじさんは商売人さんだもの。」
幼い少女達の証言を聞きながら、一同を見渡した兵士は確かにとうなずくと馬車から遠ざかっていく。
礼儀正しいと言われた蘭人は、しばらく照れていたようだがバックから甘い砂糖菓子を探し出すと二人のそばに行き誉めてくれてありがとうと言ってそれを少女達に渡していた。
「ほら、優しい人だわ美男子だし。」
「そうね、子供に誉められてお菓子くれるような人が、荒くれ者の冒険者じゃないわよ。」
「・・・見事に手玉に取られてますねライオネル君。」
「しかし、王宮御用船損壊犯か。犯罪者認定早いな。」
「逃がす気はないと言うところでしょうか?。」
「カカオ、ミント二人は先行して「ダコタ」の街中を偵察しておくれ。」
「「はいマスター。」」
御者に断りを入れて、馬車を降りる二人。
1時間後、再び走り始めた馬車に彼女たちはいない。
[マスター、ダコタの方が警戒の兵士は多く特に出国する者に対する検査が厳しい模様です。]
[街に入る方はどうか?。]
[そちらは、問題なさそうですが出る際のチェックが厳しいようです。]
[出れないのか?。]
[まさか、我々なら容易いことです。]
[ここで、降りてもなかえって人目を引きそうだ。街にはそのまま入るので治安の良いところに宿をとれ。]
[わかりました。]
[聞いたな?蘭人はそのまま一人旅の下級貴族ぽく振る舞って先の少女達と老婆を送りましょうとかいって一度我々から離れろ。]
[わかった。]
[ヴァリアスとパイアは私の保護者として街に入るぞ。]
[[はいマスター。]]
駅馬車は厳戒態勢のダコタに入る。
「なんでこんな物々しいのかな?。」
「さっきの町の兵隊さんが言ってたのに関係有るんかいな?。」
「御用船を壊した犯人とか?。」
「凄いですねぇ?どうな極悪人でしょう?。」
「お母様、怖いですわ。」
「大丈夫です、お母様もお父様もついていますからね。」
馬車が着いた時に兵士たちの臨検があった、あったが兵士たちが彼女たちの顔を知ってるわけもなく。
ましてパーティメンバーは8人にゴーレム1体と聞かされていた。
この馬車には8人乗っていたが、子供が3人もいる残りは5人だがうち一人はどう見ても高齢の老婆と一人は馴染みの商人であった。
兵士長は該当せずと判断し彼らは街に無事入ることになる。
もっと細かく表現できる技量が欲しいですね。




