第42話 「やっぱり。」
ファンタジーな世界では現実世界の兵器の力が弱かったりすることも多いのですが、まぁこの世界では均等なところかやや強めで
LED照明で昼間のような明るさの艦内で10歳くらいの女の子が白いジャケットとスカートのWAVE(Woman Accepted for Volunteer Emergency Service)の制服を着て、
青い髪に艦長用の制帽を乗せて艦長席に座っている、足をぶらぶらさせながら。
「暇だな・・・。」
そう呟いた後、読んでいた本を閉じて何かをつぶやき、本を持つ反対側の手にカクテル・グラスを出してその中味を飲みながら、傍に控える初老の執事服に身を包む男性に声をかける。
「ちょっと聞いてもいいかな?。」
「何でしょう、マスター。」
「この深度で外に出ても大丈夫かなヴァリアス?。」
「もちろん我々には何ら支障はございませんが、外に出た方がよろしいのでしょうか?。」
「いや、この船を維持するのに何気に持っていかれる魔力が多いからな。」
「マスターをお待ちしている間に、私も気絶しそうになりました事前に魔力ポッドを用意してなければこの鋼の船が霧散していたと思われます。」
「維持するコストが半端ないね、やはり異界物の召喚は無理が大きすぎる。」
「さようで、ではなにゆえそこまで無理をして。」
「うんまぁ相手が転移もしくは転生者だとしたらインパクトが有るんじゃないかな?と思っただけかな。」
「それだけに?。」
「それだけだよ。」
「でもまぁもう飽きてきたけど・・解除前にちょっと使ってみるかな。」
「は?何を使うのでしょうか?。」
「カカオ、1番から4番発射準備、目標前方海底都市。」
「ベネッタ様、あそこにはライオネル様やパイアが・・・。」
「別に大丈夫でしょ、準備して?。」
前日に一応操作方法は練習してたはずなんだが、何しろこの手の機械には縁がないスライムのカカオはライオネルが用意していたメモじゃなくて絵を見なおしている。
ライオネル=香坂は結構なミリタリーオタクだった、なんで潜水艦の操作を知っているのか?と問いかけるとじっくり一晩話そうか言われた。
他にも戦闘機の飛ばし方とか戦車の運転が一番簡単とか、おまえ10歳の少女に(中味は転生を重ねておっさん化してるとはいえ)何熱く語ろうとしてんの?。
周りの私の召喚した魔人達の冷たい視線に耐えかねたのか、それとも熱く語るのに反応の薄い私の返事に飽きたのか2時間ほどでやめてくれたのが幸いだった。
ともかくカカオは魚雷の準備が出来て発射の指令も待たずに撃ちだしたーまぁいいけどね。
魚雷が海中を70ノット(130km/h位)の高速で駆け抜けていく。
駆けて行くのをイメージすると脳内に再生される魔法の使える世界って何気に素敵。
あれ?でも射程足りてるんだろうか・・・。
「初めてお目にかかる、ここの族長のシンド・ダルフォだ遠方よりようこそ。」
「これはご丁寧な挨拶傷み入ります。西方のミューズ族の王女ローラィといいます。」
「それはそれはで、その王女様が何用でしょうか?今些か我が国は立て込んでおりまして、あまり時間がとれないのだが。」
「それは承知しております、ここに来るまでに見慣れぬ船も多く見ましたから、では単刀直入に申し上げます。あなたはてんせしゃですね?。」
これは事前にマスターから聞いていたこと、相手が人族であれば「てんいしゃん」と言いその種族のなりをしていたら「てんせしゃ」と言えと、それで相手が「転移者」とか「転生者」と言えば当たりだと。
「・・・転生者?なんのことですかな?。」
「やはり、そうだったのですね、私はてんせしゃと言ったのであっててんせいしゃとは言ってませんよ。」
「・・・・・・。」
「にほん、ちゅうに、ねっとげーむ、ぶいあーる 何か一つはひっかかるでしょう?。」
「・・・おまえもそうなのか?。」
「いえ、ただこちらにおられる方が・・・」
そういって、後ろにいたライオネルを紹介する。
「はじめまして、俺は転移者のライオネル・ガバナーあっこれはゲームキャラの名前で・・・「わかってる、そっかこの世界には転移者もいるのか。」・・・。」
彼の言葉は日本語だった。ゆえに理解できたのはライオネルこと香坂蘭人だけで、ローラィにはわからなかったがそれは相手の側近達も同じだろう。
「に、日本語を覚えてるんですか?。」
「なんとなくな、で何のようなんだ?。同窓会でもするのか。」
「いえ、もしかしたら元の世界に戻る方法をご存じかなと思いまして。」
「元の世界にか・・・。」
「ええ、俺VPSやってる途中で階段踏み外してここに来たんです。初め何がなんだかわからなくって夢の中か死後の世界かとまで思ってたら、転生したって人にあって・・・。」
「残念だな、そんな方法は知らないな。まぁ俺が転移者で戻れないから真剣に探した訳じゃないからな、もしあったとしてもおまえに教える必要があ・。」
そこまで喋ったときだった、轟音とともに世界が揺れた。
再び、三度と轟音と揺れが続く。
ローラィが耳元に囁きかけてくる
「マスターが退屈して攻撃を始めました、適当に逃げるようにと指示がありました。」
退屈して攻撃ってお子様か!、と思ったものの中味はともかく外見はお子様だった。
ならしかたがないか・・・こいつらの討伐依頼も受けてたしな。
「教えてくえたら攻撃をやめさせてもいいが?。」
「攻撃?これがっていうかここは魔法は通じないようになっているはったりは・・・。」
うんまぁ、ファンタジーなこの世界だからね。攻撃=魔法で間違っちゃ無いんだろうけど
あいにく、ベネット(あいつ)は規格外なんだよなぁ。
「通常型魚雷だよ?マニュアルによると弾頭炸薬量267Kgしかないけど効くみたいだね?。」
「魚雷?まさか潜水艦ごといやおまえさっきVPS中に階段からって・・・他にもいるのか。」
再び揺れる大地、駆け込んでくる半魚人達が何かを伝えてる。
かなり慌ててるな、結構な被害が出たのかな?。
「し、しらんこの部族の伝承にもそんな類のことは伝わっていない、嘘じゃねぇ早くやめさせろ耐圧ドームが崩れるとお前らも水圧で潰されるぞ?。」
振り絞るように伝えてくるが・・・
攻撃は終わらない、なぜなら俺が指示してるわけじゃないからだ。
「伝わってないのか、マジで?。」
「教えただろう、やめさせろ。」
「どうやって?携帯なんかないんだぜ?。」
俺たちを囲む半魚人が包囲を解いた、これは戻って伝えろということか。
ローラィをともなってその場所から立ち去る。
「気が短いよな、べネットのやつ俺たちがいるのに攻撃してきた。」
「援護射撃のつもりじゃないの?。」
「パイアそれはない」
などと他愛のない会話をしながら、俺はゴーグルをつけ呼吸器をつけたりして
俺たちは再び海に潜り海中水路を通って外へでた。
「捕まれ、らんと。」
言われるままにローラィの手をとると彼女は元に戻した下半身で素早く水を切ると海底都市から離れていく、人魚族のその泳ぎに遅れることなくパイアがついてきている。
彼女は万能だな、などと思いながら牽かれていくことで急速にベネットの乗る潜水艦に近づいていく。
その間も魚雷がどんどん飛び出してくる、ということは海底の半魚人達の国?町を攻撃し続けてるわけで、振り返るのが恐いな。
おまけに接近してる俺達の事を考慮してる撃ち方じゃないから躱していかないといけない。
掴まってるだけだから実際にかわしてるのはローラィなんだけど見事な身体のひねりだなぁ~と言うものの今は前が見えてない、実はあまりにも動きが早いので片手では振り放されそうなので両手で捕まっている=俺の視界には彼女の胸しか見えていない眼福な状態で魚雷に当たるという恐怖心もない、信頼していいとは思ってないんだが(なんせ魔物だし)どうしようもないのも事実だしね。
パイアがいるのも大きいかな、彼女はベネットの呼び出した魔人達の中でリーダーぽいし
とかなんとか考えて目の前の光景に股間を膨らませてると、彼女に気が付かれたのか
スピードが落ちて止まった足になにか硬いものが触れる。
「「着いたよ。」」
至福の時間は終わった、と同時に魚雷の射出も終わったようだ。
船体にとりつき船外ハッチにから中に入る。
「ご苦労様、何かわかりましたか?。」
ヴァリアスがタオルを差し出しながら聞いてくるので首を横に振る。
ローラィとパイアはタオルの必要もなく魔法を使って身体を乾かし終えている。
「海底都市の天蓋崩落音を確認しました、生命反応減少していきます。」
「掃討する、ミントはジーナを連れて離脱せよ。カカオはライオネルを含んで洋上へでて近くの島に上陸して待機せよ、パイア、ローラィ、ヴァリアスは私とともに海底都市跡に向かい襲撃者を殲滅する。」
「「「了解。」」」
「いや、待て相手も転生者だぞ、おまけに日本人だ。」
「元、だろう?元日本人で今は転生してモンスターだ。しかも人間に対して敵対している自らな。」
「しかし・・・。」
「情報があれば交換条件なったーあってもならんだろうな、人的物質的な被害も大きい討伐依頼を実行する。」
「だから蘭人、君は待機してくれればいい<召喚解除>。」
もうそれ以上の会話は必要ないとベネット、見た目が10歳の少女は潜水艦を消してしまう。
海水が押し寄せる前にカカオが俺を包み込んで、水面に向けて浮上していく傍らをミントが同じようにジーナを包み込んで追従する。
「俺が甘いのか・・・。」
そのつぶやきに、カカオは答えなかった。足元を見ると白い制服に身を包んだ少女が一人の魔人と二人の魔女を引き連れて海底都市があった方向に魚雷よりも遥かに早い速度で移動して行くように見えた。
島に上陸・・・したら半魚人達の奥さんたちに囲まれそうな気もします。




