第27話 「ジーナ」
乗船してきたのは最初に声をかけてきたあの青年士官だった、クラム・ダガンスだったか
左手にバックのような物を下げている。
船長(役)であるライオネルにまっすぐ向かい頭を下げた。
「乗船の許可、ありがとうございます。」
彼が頭を下げてる間にライオネルがこちらをちらっと見るので簡単にサインを送る。
もしかしてこれから上陸するまでの手はずを忘れてないよな?。
「お気になさらず、お役目ご苦労様です。」
「早速ですが、大公息女様にご挨拶をと思うのですが。」
「あ~今しばらく、お待ち下さい。それよりも入港の手順などを先に聞いておきたいのです。見知らぬ国への訪問など全くと言っていいほど用意してませんでしたので、何分みっともないまねはできませんので、お嬢様のみならず国元の大公陛下の顔に泥を塗るようなまねにでもなれば、我ら一同のみならず一族郎党すべてに関わることになりかねませんので。」
「あっ、そこまで堅苦しく考えなくても大丈夫かと、貿易と海上警備によってなる我が国は大陸の中央部の方の古式ゆかしい国々とは違いますから。」
「いえ、我が家の常識は他家の非常識とも言います。それに女性の支度は時間がかかるもの。その間に十分話せるかと思いますが?。」
そうそうがんばれライオネル、こちらは田舎もんだからそっちのルールが理解らないアピールをしっかりしておくんだ。
そうすれば、少々のミスは誤魔化せるだろうーたぶん。
しかし、なんでこうなった?大陸に近づいて密かに上陸して船は解体もしくは沈めるという手筈だったんだがなぁ・・・。
[本当のことを話さないからですよ。]
本がなんか言ってる。というか本は開いてないから直接頭のなかに語りかけてきてるのか、確かにそうだが誰が信じる?。気が付いたら絶海の孤島に一人いて、魔術書を読んだら魔物達を召還できるようになって、ゴブリンに襲われて撃退し、それの親玉を倒して船造って旅してます。
[・・・まぁ信じないですよね?。]
よしんば信じても私のこのなりではな、上手くだますか、薬を盛るかして魔法を封じるアイテムでもつけて奴隷として売りはらう、それともその手の趣味の貴族か金持ちの商人に売る、なんてところだろうな。
[ちょっとリアルですね?。]
前世のどこかであったのかもな、あいつらが偽物ならよかったんだがどうも今回は本物らしいからな。演じ続けるしかないのかなぁ・・・。
そうこうしてるうちに二人は前甲板の船室に入っていく、私は船尾の方の船室に移動する。ジーナの服装を整えて彼を迎え入れる準備をしなければ
ローラィは舵輪をパイアはあいかわらずマストの上の見張り台にいる。
ではミントとカカオはというと、ローラィの左右に控えている。ダイちゃんは念のため下の階層に隠してる。
ちなみに前回の半魚人の襲撃から数日後レベルアップをした
ミントとカカオが雌雄の別がないスライムなのに人間の雌型をしているのはライオネルを見ていて雄型をとった場合パイアらに襲われるのを危惧したからか、それともライオネルを弄ぶためか真意はわからないが、おかげで楽しい航海にはなっている。
それにこの世界も外にでるのは男が多くしかも好色な輩が多い、若くて年頃から妙齢の美女が多くいれば子供である主人の私に目が向くのが遅れるというのもある。主人を守る観点からも必要だったといえる。
そんな彼女達の容姿だが、カカオは褐色の肌にエメラルドグリーンの瞳にプラチナブロンドのボブカットの髪、対してミントは白い肌にルビーのような赤い瞳にエメラルドグリーンのロングヘアーをポニーテールにまとめている。
雰囲気はカカオはその性格から攻撃的な感じを漂わせており、対してミントは母性的なおおらかさを醸し出している。
併走する王国の警備船からの注目度は甲板上にいる者ほど高いといえた。
その点ではパイアは不利である。マスト上では見えにくい上に安全の為の籠に入っているため下からは見えないーので今は同じマスト上の水兵に秋波を送っている。
誰が乗り込んでくるやつを誘惑するかで協議した結果、ジーナが選ばれたのでパイアは渋々マスト上のジーナと交代したのだ(一番負けたからともいう)。
まぁ誰を誘惑してもいいけど出来れば利用価値の高い人物にして欲しい。
船長室(私の部屋だが)に入り、ジーナの服装をチェックしもう一度設定を確認して
衝立やベッド(ジーナと寝れるように大人用のクィーンサイズ)を用意して、香を焚き
それらしい家具を召喚して部屋を出る。
さて前の船室に生け贄(クラム君)を迎えに行かなければ、ここからは大人の時間だな。




