第26話「海軍」
寒いですね~札幌ってマイナスなんですよね・・・
そんな街で南の海を思い浮かべて・・・無理!。
どこまでも続く海原、ぬけるように青い空に浮かぶ白い雲。
追い風を受けて帆ははらみ、船は波を切って快走する。
甲板の上では金属の打ち合う音が小気味よく続き、時折重い音が混じる。
数日前の襲撃以来何事もなく航海は快調である。
ローラィとその眷属による誘導で一路もよりの大陸に向けて進んでいる。
彼女達の話を聞けば、あと2日程で着くらしいが、そろそろ他の船と出会ってもおかしくは辺りだという。
この世界はファンタジーである。人間以外の亜人類も多種多様に存在するし魔法に魔獣や悪魔に天使おまけに神様が実在してたりする。
が、もちろんそれらを由としない勢力もあるわけで、これから向かう大陸がそうでないとはいえないので対策も必要になる。
あれからも本の方は読み進めているおかげで新たな仲間も増えたし、召還できる物も増えた、まっ銃弾とか近代兵器は無理だけど。
生活関連の様々なもの特に衣類がでるのは便利だわ。
そうそう魔物たちの方もレベルアップした子がいて、ついにミントとカカオが変態できるようになった。
人間の姿に擬態できて、ちゃんと会話もできるのでこの子達に関していえば先の問題はクリアである。
シャードとダーくんはゴースト系だけに穏形に長けるから消えてることでいいだろうし、パイアやローラィは一部を隠すなりすればいける。問題はゴーレムのダイちゃんだが、彼だけはどうしようもないかもだがメンバーの構成が女性が多いから荷物持ち兼警護の使役ゴーレムで通すつもりだ。
「マスター、船が見えます。右舷前方・・帆船です。」
マストのトップにいるジーナが伝えてくる、私は確かめたいことがあるのでそれを聞く。
「・・髑髏のマークついてない?。」
「見あたりませんが?。マークと言えば帆の中央に、青い球を転がす獣の印が見えます。」
「なんなんです、髑髏のマークって?。」
パイアが話に加わってくる、この娘は一番頼りになりそうね。
「うん?ちょっと記憶の底にね・・海賊のマークだったかな?。」
「かいぞく?それはどんな種類の船ですか。」
「簡単にいうと、この前の奴らみたいなものかな?。」
「そうですか、人の船を襲って自分で稼がずに人の金品を奪うことで糊口をしのぐ輩ですね。」
「そうゆうこと。」
「あれは、そうでしょうか?。」
「まだ距離があるからね、一応警戒態勢でいこう。」
「進路はそのままかな?。」
「変わりありません、まっすぐに進んできます。」
あっ・・もしかしたら、族じゃなくて軍の方かな?
これから行く大陸の最寄りの国の軍隊、だとすると帆のマークはその国の紋章か?。
うちの帆にも何か書いとく方がいいのかなぁ?。
そう思って上を見上げる、クリーム色の帆が風をはらんでる。
[何も付いてませんから、不審な船ではありますね。]
本は何でも知っている、でもあまり語りたがらないのが玉にきず。
こっちが怪しまれるということね?。
[恐らく、この何百年間の間に風習が変わらない限り。]
[ちなみにというか、ご都合主義かわかりませんが、骸骨のマークはこの世界でも犯罪者が好んで使いますので、海の上なら海賊という認識でかまいません。]
あらら・・・じゃあマークを考えないとね?。
何にしようかなぁ~髑髏の他に使うとまずいのある?。
[昔・・・のご主人の紋章はいかがでしょう?。]
その人かその子孫が犯罪者じゃなければいいわね。
[色の配色を少し変えてみましょうか、今から帆の色全体が変わるのは明らかに不自然ですし。]
その文章の後に呪文が浮かび上がってくる、これを唱えろというのかな。
詠唱が終わると見上げた帆に紋章らしき物が浮かび上がった。
さて、私が指揮を執ってると不自然だしここでくつろいでいてもねぇ。
デッキチェアーやサイドテーブルに日除けのタープを消して、舵輪の傍に移動することに。
「マスター、前方の船進路そのまま。マスト上及び前甲板上の人がこちらを観察してるのを視認しました、火砲の類の存在と魔術師を感知。対魔呪文がすでにかかっています。」
「パイア支障があるかの?。」
「さほど、只嘘は見破られるかもしれませんね。」
「え~でも本当のこといっても信じないよね?。」
「そうでしょうね。」
そんな会話を交わしてる間にも両船の間隔は近づいてくる。
やがて、お互いの顔がはっきりと目視できるように相手の船が左舷側を併走するように舵を切ったようだ。
「私はクラム・ダガンス、ゾエルデン王国海軍中佐である。貴船は我が領海に通常航路外から進入しつつある、その目的をお聞かせ下さい。」
併走しながら、拡声器を持って話しかけてくるのは、青年将校といった感じだがそれなりに経験を積んでるだろうオーラを醸し出している。
しかし、なんで汚れたら洗う水に苦労するだろうに、白いシャツに白いスラックスなんだろう?。
とりあえず、あらかじめ決めていた役割を演じることにする。
ライオネルが船長で私はこの船のオーナーでスレイブン公爵の娘、
パイアはお目付役である。
「これは失礼をした、この船はスレイブン公国所属の大公女御料船である船団で航海中に嵐に遭いさらに半魚人の襲撃から逃げたため航路を見失っておりました。」
向こうの甲板がにわかに慌ただしくなった、どっちに反応したんだろう?。
大公息女、それとも半魚人の方か。
先ほどの士官が再び舷側に近づき拡声器を持ち上げる。
「了解した、貴船が敵対行為をとるものではないのであれば我が国は歓迎する用意がある。港までの案内と先ほどの半魚人の襲撃場所なども教えてもらいたいので、そちらに数名乗り込ませてくれないか?。」
う~ん、そうだろうな人知れず上陸したかったんだがなぁ。
設定間違ったかな、半魚人の襲撃場所か、もしかしたら損害がでてるのかね?。
ヴァリアス が形だけだけど聞きにくる。
あっ、この「ヴァリアス」が新たに増えた仲間になる。人狼なので普段はほとんど人間に見える。主人には忠実でこの世界の知識もあるので傍においている。
「仕方ないな、一人だけにしてくれと云え。公女の船故に見ず知らずの男を何人も乗せるわけには行かないと。我々はゾエルデン王国を知らないし失礼だが本当にあなたがたがそこの軍人か信用する術がないゆえの妥協であると。」
「よろしいので?。こちらから私が出向いて場所を説明するだけでよいかと。」
「それで、ボロが出なければいいんだが。話の整合性が取れなくなっても困るからな。こっちに迎え入れた方がいいだろう、パイアかローラィもしくはミントやカカオあたりに誘惑させることもできるしな。」
「誘惑ですか、もし女性がきたらどうします?。」
「その場合は、一人でもないかもな。その時はおまえかライオネルに誘惑させる。」
「そうならないように、祈りますわ。」
読んでくださってありがとうございます。




