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大将、聞いた? ―みんな見てる夢―  作者: 藤一


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3/15

埼玉 都内 境目

都心を抜け、電車が地上に出る。窓の外の景色がビルから住宅街へと変わり始める、その一つ手前の駅で、どっと乗客が乗り込んできた。


会社を出た頃には、もうすっかり日が暮れていた。JR線に揺られながら、スマホの画面をぼんやり眺める。投稿の数字は、朝から変わらず『0』のままだった。


大学生らしき四人組が、すぐ近くの席に座った。ユニフォームのレプリカを着ている。今日はデーゲームでもあったのか、酒の匂いと一緒に、上機嫌な声が車内に響いた。


「マジで今日最高だったな」


「サヨナラのとこ、鳥肌立ったわ」


そんな会話に紛れて、ふと一人が声のトーンを落とした。


「あ、そういえばさ、俺も見たわ、あの夢」


「え、お前も? マジで?」


「なんかもう、みんな見てね?って感じじゃない」


「わかる、うちの妹も見たっつってたし」


要領を得ない相槌の応酬だった。何がどう「わかる」のか、具体的な中身は誰も口にしない。それでも四人は、確かに同じものを共有しているという顔で、うんうんと頷き合っている。


朝、都心のオフィスでは「知らない」の一言で片付けられた話だ。それが、埼玉に一歩近づいただけで、また当たり前のように転がっている。


まるで、都心はまだそこまで浸かっていないだけ――そんな気がしてならなかった。

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