↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大将、聞いた? ―みんな見てる夢―  作者: 藤一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/15

体が軽い なぜ

社務所を出たあと、そのまま本殿へと足を向けた。せっかくここまで来たのだからと、賽銭を投げ、二礼二拍手一礼をする。

手を合わせた瞬間、ふっと、体が軽くなるのを感じた。

肩にのしかかっていた何かが、すっと抜けていくような感覚だった。同時に、それと入れ替わるように、何かが胸の内側にすっと入り込んでくるような、そんな感覚もあった。両方が同時に起きているのに、不快さはなかった。むしろ、心地よいとさえ感じた。

目を開けて、境内を見渡す。木々のざわめきも、参道の砂利の音も、いつもと変わらない。ただ、自分の内側だけが、何かひとつ違う状態になった気がした。

帰りの電車に乗り込む。参拝の疲れと、あの不思議な感覚の余韻とで、座席に腰を下ろすなり、まぶたが重くなっていった。

抗う気にもならず、目を閉じた。


見覚えのある場所だった。今度は、神社でも蕎麦屋でもなかった。

自分の部屋だ。

見慣れた壁紙、いつもの位置にあるベッド、机の上に置きっぱなしのマグカップ。細部まで、間違いなく自分の家だった。それなのに、どこかが違う。空気の密度のようなものが、いつもと少し違っていた。

誰かと一緒にいる感覚があった。姿は見えない。それでも、安心できる相手だという確信だけがあった。何をすべきかも、分かっていた。焦りはなかった。ただ、静かに、当然のこととして、やるべきことをやっている。


「次は――駅、次は――駅」

車内アナウンスで、目が覚めた。

窓の外を見る。見慣れた景色が流れていた。もう降りる駅の一つ手前だった。

夢の余韻が、まだ体のどこかに残っていた。今回は、はっきりと分かった。あれは自分の部屋だった。

夢が、少しずつ、こちらに近づいてきている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。