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それぞれの道


 ホテルのロビー、傷だらけの大野が立ち尽くしていた。苦しそうに天を仰ぎハァハァと息急きしている。

 その手前ではシュウが悠然と立ち構えている。同じく傷だらけの彼だが、大野に比べるとまだまだ元気だった。

「やっぱ魔王だな、こいつで51戦51敗ってか?」

「馬鹿、52戦52敗だろ? それに俺は魔王じゃねー」

「……修羅か? しかも“阿修羅王”」

「ああそうだ。俺は魔王あいつほど、強くはないからな。あいつの強さはハンパねーぜ」

「アッハッハ。相変わらず訳わかんねー」

 呆れるように笑う大野。両腕を膝に預けうな垂れた。

 そして二人、出方を探り合うように無言になる。暫し沈黙に包まれた。


「良かったよ。これでやっと踏み出せる」

 やがて大野が意味深に吐き捨てた。

「そうか」

 シュウが短く答えた。

 身体に気合を籠め体勢を立て直す大野。

「さあ、こいつで終いにしよう。黒瀬修司、悪いがお前とも決別させてもらうぞ!」

 シュウを睨みグッと両拳を構えた。

「そうか。だったら俺も本気で行かして貰うわ。大野朝陽!」

 シュウも呼応して体勢を構えた。


 魔王と悪鬼。数年前、悪名を馳せた名コンビだ。

 互いの力を認め合い、熱い青春を生きてきた二人。多くの仲間を従え、鼓舞し、気を吐き、そして笑い、憤り、時には泣きあった仲間。

 だがある日、事態は急転する。片方の男が通り魔に刺され病院に担ぎ込まれたのだ。

 結果命に別状はなかったが、その男は自らが持って生まれた宿命に気付いてしまう。その日より男は群れ成すことを止めた。

 こうして永遠と思えた友情は消滅する。

 高校に入学する頃には、二人の居場所は益々遠くなっていた。

 片方はその能力を買われ、腕に覚えのある男達のリーダーに。そしてもう片方は益々仲間を拒否する狂気の姿と化した……

 結果片方は仲間に裏切られ、卑劣な男の手によって生死の狭間に叩き落される。そしてもう片方は新たに出会い別れを繰り返し、少しずつだが新しい道を歩き出し始めた。

 捨てることの出来ぬ想い、忘れられぬ過去、信頼すべき仲間、長い人生にはいくらでも存在するだろう。

 それでも時には全てを過去に葬る覚悟も必要だ。そうしなければ新たな一歩が踏み出せぬ時もあるから。


 シュウとアッキ。その伝説のコンビはこの日をもって互いに新しい道を歩き始めるのだ__

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