死闘
「うおりゃーっ!」
ボーズ頭の筋肉質な男が、身を低くして突っ込んでくる。シュウ目掛け左右の乱打を繰り出した。
それを確実に打ち払うシュウ。懐に飛び込みその右腕を捕まえた。
「邪魔だよクソガキ!!」
叫んでドテッ腹に拳をぶち込む。
「ゲッハーーッ!」
筋肉質の身体がくの字に曲がる。そのまま腕を掴み後方に投げ捨てた。
壁際にその身を打ち付ける筋肉質。声もなく崩れ落ちた。
「野郎! なんちゅう真似を!?」
「殺せ! 叩き殺せ!!」
今度は長髪の白いジャージと、グーフィー絵柄のパンチパーマの男が、一斉に切り込んでくる。
「死ぬかクソ野郎」
覚めたように呟くシュウ。
「こいつで終いにしたるわ!!」
上空からバットを振り落とす長髪。
「魅惑のダブル攻撃じゃ!」
パンチは特殊警棒を振り伸ばし、低い起動で突っ込んできた。
『……!』呼応してグッと気合を籠めるシュウ。
「あめーんだよ!!」
そのバットを、頭上で左手で受け止めた。
「くっ?」
愕然となる長髪。
「……」
パンチの方は言葉さえ出せなかった。その顔面をシュウの足の裏が捉えていた。
「吹き飛べや外道が!」
足裏に力を籠めパンチを吹き飛ばした。
「重いエモノなんざ握るから軌道が読みやすくなんだよ。ただ闇雲に攻撃を仕掛けては俺様には掠りもしねーんだよ!!」
そしてバットを握った腕を手前に引き寄せた。
「あっ?」
同時に引き寄せられる長髪。バランスを崩して前方にのめり込んだ。
「憶えておきなクソ野郎がぁ!」
上空に拳を振り上げるシュウ。そのまま長髪の後頭部を捉え、床に向かって振り落とした。
「ちっ、奴の言うとおりだ、甘く見てるからそうなるんだ。だがまだまだだ! まだまだ行くぞ!!」
湯田の怒号が飛び交う。
「だよな、相手は腑抜けたシュウ。この人数相手に勝てると思うか!」
「強いったって所詮は人間だしな!」
「まったくあの表情見ろよ。危なくねぇ? いつまでもラリってんなっての!」
その号令に呼応して、新手がシュウに襲い掛かった。
「流石シュウ。呆れた喧嘩の仕方じゃ」
呆れて言い放つ葛城。
「……まったくだよ。あい変わらず生き生きした喧嘩っぷりだ」
大野も苦笑したように言い放った。
「あれほど喧嘩に入れ込むのに、オークの戦線争いに名乗りを挙げんのが不思議だがな」
意味深に言い放つ葛城。その視線は大野を捉えている。
「ふっ……考えるだけムダってもんさ」
大野が答えた。それは彼自身が幾度も考えたこと。考えて考え抜いても、答えを導き出すことの出来ぬ謎。
「け、喧嘩の最中に、お喋りはいけないんだな」
ランニングシャツの男が、体を丸め飛び込んでくる。
「ウッキー、クレイジーモンキー猿拳だい!」
同時に猿顔の男が葛城に攻撃を繰り出す。
いつしか湯田の命令により、葛城の相手は五人に増えていた。それでも葛城は揺るがない。堂々と対応するだけだ。
覚めた視線を放つ大野。やがてフラフラっとその空間から抜け出した。
「朝陽、どうして葛城との闘いを止めるんだ?」
怪訝そうに問い質す湯田。
「……馬鹿お前が悪いんだろ? 俺と狂犬の喧嘩に人員を送るから。悪いんだけど俺は、タイマン勝負以外興味はない」
大野がソファーにふんぞり返った。
「チッ……いざとなったら加勢してくれよ」
湯田がイラつく感情を抑え投げ掛けた。
ズバーン! シュウの身体がぐらついた。
「へっへへ、魔王の首、頂きだぜ」
その後方で特攻服を着込んだ短髪の男が意気揚々と吐き捨てた。その手に握られた木刀は確実にシュウの後頭部を捕らえている。
『……』グッと歯を噛み締めるシュウ。額から赤い血が滴り落ちた。
「よし、シュウもこれで終わりだぜ! 止めを刺すんだ!」
今度は鉄パイプを握るオールバックの男が、シュウの顔面狙ってパイプを振り放った。
それを無言でかわし切るシュウ。すかさず右腕をオールバックの顔面に向ける。
『えっ!?』恐怖の余り目を瞑るオールバック。
その胸ぐらが奪われた。そしてその顔をシュウが、目の前に引き寄せた。
「ナメてんなよ外道!」
ムカつき気味に放たれるシュウの怒号。強烈な頭突きを叩き込んだ。
「は……がー」
ガックリと頭を後ろに垂らすオールバック。
「そいつの手を放せーっ!」
後方から短髪が再びシュウ目掛けて走り込んできた。
「放してやんよ!」
シュウはオールバックを一本背負いで投げ飛ばす。
「うおっ? それはあかんって!」
短髪共々後方に吹き飛んだ。
「おらぁおらぁ!!」
サングラスをかけたスキンヘッドの男が、葛城相手に猛烈な連打を繰り出していた。
それを両腕でガードし続ける葛城。
「どうしたよ葛城? 拳が潰れてちゃ反撃も出来んか!」
スキンヘッドは声を荒げ更に捲くし立てる。
「確かに右拳だけじゃ難儀するわな」
その言葉の意味通り葛城は歯を喰いしばり防戦一方だ。
「……じゃが貴様、足元が疎かになってるぜ!!」
言って足払いを仕掛けた。
「へっ?」
茫然自失で崩れ落ちるスキンヘッド。葛城がその顔面に拳を打ち下ろした。
「休んでいる暇などないぞ葛城誠!」
すかさず短髪の男が木刀を構え低い体勢で飛び込んでくる。
「チェストーーッ!!」
中段の起動を描きながら葛城の身と交錯した。それは的確に葛城のわき腹にダメージを叩き込む。勝利を確信したようにその後方にひざまずく短髪。
「……フギャーッ!!」
葛城がその後頭部に強烈な裏拳を叩き込んだ。




