表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/145

第97話 ダンジョン①


 ダンジョン。もしくは、迷宮。


 異世界ファンタジー系で時たま出てくる魔物と罠、そしてお宝が取れる石造りの洞窟などを基本としたハイリスク・ハイリターンの場所。


 出てくる作品によって細かい違いがあって、“何でダンジョンなんてあるのか?”という答えには自然発生したモノ、神様が試練として作ったモノ、人為的に作られたモノとまぁこの3種類が基本だな。そこから作品によって細かく分かれて最近じゃダンジョンコア――ダンジョンの核に異世界転生するなんてものも溢れてきたっけ? ……もう何でもありだよな異世界転生モノ。私自身、異世界転移した身だから今のラノベ業界の流行は知ることできないけど。


 さて、そんなダンジョンだが、珍しいことに大陸ではこのガザルゾア帝国にしか存在しない。


 事前に調べた本によれば帝国ができるよりもずっと前、何百年も、下手したら千年以上前からダンジョンはこの地に複数あった。



 海に近い場所にある『浅瀬の迷宮』。


 荒野にそびえ立つ『塔の迷宮』。


 山に囲まれた自然の洞窟『大地の迷宮』


 そして現在、帝都にある・・・・・『王の迷宮』。



 この4つが資料にも残らないほど昔から存在していた。


 どうしてこの地にだけダンジョンがあって、他の場所には無いのか? それは誰にも分からないけど、ダンジョンには魔物が住み着き、奥へ進めば進むほど強い魔物が出現するということで、素材目当てか強さを求めてか冒険者はダンジョンへ挑み続けたらしい。

 それは今でも続いている。


 私も今日、『王の迷宮』に挑む。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「……混んでるな」


 やって来ました帝都にあるダンジョン『王の迷宮』。

 位置的には帝都の外れにあって、冒険者ギルドからも地味に離れている。


 ダンジョンは国の管理下だ。

 なので「ダンジョンに行きたいか!? よし行こう!!」とはならない。

 ちゃんと冒険者ギルドに事前に申請して、初めての人は国の役人がブラックリストに載っていないか確認して、最初の方だけ“案内人”と呼ばれる人が付きそうという形を取っている。

 2回目以降は国に確認は取らないけど、必ず冒険者ギルドに事前申告してから行かないと入れてもらえないそう。


 ダンジョンの手前には遊園地の入場口や高速道路の入り口みたいな、2、3人が中に入って手続きをするようないくつかの出入り口がある。

 役人らしい人が申告のあった個人またはパーティーの確認をしたり、雑用などを任されたパートのオバサンみたいな人が居た。


 今は私も確認のため、出入り口受付に並んでいる。

 やはりというか、容姿が珍しいこともあってさっきから視線がウザい。こうして意識して別のこと考えないと嫌になるわ。


 見渡せば、他にもダンジョンで役に立つ道具を売っている売店や、ダンジョンで狩ってきた魔物やその素材をチェックしている冒険者ギルドの人と思われる制服を身につけた職員もいる。テンプレよろしくケンカをして周りに迷惑がられている冒険者もいたけど……警備の人らしい甲冑姿の男がすぐに鎮圧していた。

 荒くれ冒険者を押さえつける役割があるだけあって単純に強い。諸事情で引退した元・髙ランク冒険者がこういう仕事に就いたりするってギランさんに聞いたな。帝国だと腕っ節の良さが重要視されるから特に強いのが多いって。


 そして、奥の方に目を向ければ――目的のダンジョンが見える。


(想像通り、石作りのダンジョンか……)


 見た目は遺跡みたいだ。

 正面からだと、ボンヤリ明るくなっただけの薄暗さの残る入り口しか見えない。しかもさっきから冒険者が出たり入ったりしているんで、それ以上のことは見ただけじゃ分からなかった。


「次の方ー」


 あっと、考え事していたらもう私の番か。


冒険者ギルド身分証・パスの提示をお願いします」


「はーい」


 役人っぽい人に私の冒険者ギルド身分証・パスを渡せば魔道具らしきものの上に置いて何かを調べている。

 冒険者ギルドの表情筋死亡兄ちゃんから聞いた話では、アレで名前・冒険者ランク・事前申告があったかどうかの確認を行えるという。それ以外の個人情報は魔道具を使っても分からないそうなので安心だ。……ついさっき、新たな地雷(称号:ヤケクソ聖女)なんてのがあったばっかだしな! 他人に見られたら恥ずかしさで死ねる!!


「確認しました。ユキナ=ナガセ様ですね」


「はい」


「では案内人が待っていますので、あちらへどうぞ」


 冒険者ギルド身分証・パスを返され、指示された場所へ行くと小さなテントがあった。あれだ。運動会とかで先生たちがいる組み立て式のやつ。

 さっき荒くれ冒険者を沈めた甲冑姿の人がサンドイッチを頬張っているし、雇われた元・冒険者の待機場所なんだろうな。


「すんませーん。初めてダンジョンに入る雪菜ってもんですけど、案内人の人はいますかー?」


「ん? ……あぁ、今日オレが案内する冒険者ってのはアンタか」


 出てきたのは40代ぐらいの男。

 オッサン――というより、同級生のお父さんみたいな雰囲気の人だ。意外と若い人が出てきたな? ショートソードを腰に差していて、道具類がたくさん入ってそうなポーチをいくつも腰に付けている。


「……話には聞いてたが、若いな。アンタ1人か? 仲間は?」


「仲間は2人いるけど、今回は私1人です」


「そうか。オレはレイブンって名前だ。……“案内人”についての説明は?」


「ギルドで聞いてきました」


 ダンジョンへ入るための申請の時に聞いたけど、ダンジョンへ潜ったことない人だけで行く場合、“案内人”と呼ばれる人が浅い層まで付き合い、ダンジョンに出てくる魔物や罠について簡単に説明するそうだ。

 大抵の場合は経験者と一緒に挑むから必要ないんだけど、たまに後ろ盾や知り合いがいない人・田舎から一旗上げるために来た新人パーティーなどがダンジョンへ挑む場合があるので、剣二の時代に改訂された冒険者ギルドの規則として、必要最低限のアレコレを教える『案内人制度』ができたわけだ。


 かなり雑に説明すれば、ようするに「初回限定でお助けキャラが付くけど、浅い層までしか付いてこないし、それ以降は自己責任だから何かあっても冒険者ギルドや案内人に文句言うんじゃないぞ」ってこったな。

 一応、案内人の方にも責任はある。簡単に助けられる状況で助けなかったり、罠の位置や種類を教えなかったりと仕事を半ば放棄した人には、冒険者ギルドの信頼を低下させたとして厳しい罰が待っている。まぁ大抵の場合は事前に適性検査や面接などをするから、基本的に案内人の人って人格者が選ばれるらしいけど。


「ならいい。Dランク冒険者なら浅い層は問題ないだろうが、万一危険と判断したら首根っこを掴んで引きずってでもダンジョンから出るぞ。当然ギルドへの報告はするし、自分勝手な行動によるものだった場合はしばらくダンジョンへの行き来ができなくなるから注意するように」


 案内人――レイブンさんはキッ!と少し脅すようにこちらを見る。


 あ~、これは、アレか。


「苦労するんですね。“案内人”って仕事も……」


「……今の会話だけでそれを言えるなら大丈夫そうだな」


 思わず同情の目で見てしまう。


 もうね? 勘のいい人ならいろいろ察しますよ。

 人の話を聞かずに勝手な行動をするクソガキを何人も見てきたんだろうなー。


 いくら私がDランク冒険者っていっても年若い少女であることには変わりないし、大人に対して反抗的な子供や根拠も無く自信家な子供もいるだろうし、そういう子供たちの案内とかして実際に自分勝手な行動されたり、無茶なことをしようとして首根っこ掴んで引きずってダンジョンの入り口まで戻ることになったりしたんだろうな~。


「辛いことがあるなら愚痴ぐらい聞きますよ?」


「それ普通は飲み屋で友人とかが言うセリフだぞ?」


 言われてみれば確かに。


「んんっ! 仕切り直して……準備はいいか?」


 ダンジョンに入るための心構えその他は大丈夫か?ってことっすね。


「いいともー!」



 案内人のレイブンさんを先頭に、ついに私はダンジョンへと脚を踏み入れた。



 ダンジョンへ入れなかっただと……!

 ま、まぁ、今回は半ば説明回ってことで……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ