第5話 ミコノス島かと思いきや…
紺碧の海・エーゲ海で、兎に角一度泳いでみたかった。ミコノス島ではヌーディスト・ビーチとして有名な パラダイス・ビーチは外せない。しかし、町から近い Ornos Beach もそれなりに有名のようである。 ホテルのばあちゃんが、歩いていけるよと教えてくれた。それではと歩いてみたが、いつまで歩いても行き当らない。適当に見つけた別のビーチで泳いでみる。恐ろしく冷たい。10分が限界だった。遠海の色は正にインクを流したような深い碧で素晴らしく美しい。しかし海岸はさほど美しいとは思えない。それよりも水の冷たさが際立つ。
午後からは、昨日歩いた山を目指して走ってみる。エーゲ海で初めてのランニングである。エーゲ海でというよりギリシャで初めてである。ギリシャと言えばオリンピック発祥の地であると同時に、マラソン発祥の地でもある。ランナーの端くれとして、走らないわけにはいかない。
島には観光案内所が無いので地図が入手できず、日本から持参のガイドブックを参考に適当に走ってみる。車道の頂上で三叉路に出たので、港の少し左手に着くとの想定で左手の道を下ってみた。ホテルの近くと思われる場所迄来たが、そこから迷って西方面に行き過ぎたようだ。途中で地元のおっちゃんに遇ったので訊ねてみた。やはり来過ぎていたようで、引き返した。少し話してみたが、この人は船乗りで日本には何度も行った事があるそうで、地名もかなり知っていた。良い人に遇ったようで、いつもの事ながらミスも悪くはない。
夕方からは結構冷える。寝苦しくなくて有難いけど。
海外一人旅最大の、超初歩的ミステーク発覚。何と、”ミコノス島” だと信じて疑わなかったこの島は一つ手前の ”ティノス島” だった。 丸2日近く気づかないとは! 何とも情けない。
親しくなっていた港近くにあるレストランのおっちゃんにパラダイス・ビーチへのアプローチについて尋ねていて話が合わないので、”地球の歩き方” を見せたらすぐに解決した。
「パラダイス・ビーチはミコノス島にある」
「えっ?」
「ここはティノス島だ」
「ここ、ティノス島?」
「そうだよ」
「(ガ~ン!)2日間ずっと、ミコノス島だと思っていたよ」
(他の日本人が馬鹿にされないと良いが…)
気を取り直して、昨日行き当ったビーチへ再度行ってみた。水の冷たさが分かっているのでなかなか海へ入れない。意を決していざ入水。慣れの所為か、昨日ほどは感じなかった。大胆な水着の美少女が家族連れで楽しんでいる。歳の頃は17,8歳か、見事なプロポーションである。
ビーチから帰り一休みした後、昨日と同じコースを走ってみた。風が無かったので速めに走ったつもりだったが、昨日とほぼ同じタイムだった。その後がいけない。喉が渇いた勢いで、ジュース、牛乳、ミネラルウォーターをがぶ飲みしたら、心配した通りになった。身体は正直である。
翌朝は下痢も落ち着いたので1日早く切り上げて、ミコノス島へ出発する。3度目の正直、今度こそ本物である、たぶん。
高速フェリーで15分程で到着した。ここらには似たような島が多いようだ。ここでも港に着くなりすぐ客引きから声がかかる。無視しようかとも思ったが料金を訊いてみると1万2000DRで、トイレ、シャワー付きという事なので、3拍する事にした。6500円ぐらいである。島自体がティノス島よりかなり格が高いので、これぐらいは予想していた。
場所は港からは少し遠いが、高台の好位置にあり満足である。このホテルからもランニングのできそうなコースがあり、ありがたい。ダウンタウンは路地がやたら多く、実に迷い易い。ただ、方向は分かり易い。




