第26話 マラソン・パスが使えない?
今日から8月である。そして、今日はスイスの建国記念日でもある。
脚はしっかりしているので、近郊のヤコブスホルンに登ってみよう。朝9時半頃ホテルを発つ。山頂に到着したのが12時過ぎであった。山頂展望台からの眺望は、360度山また山の素晴らしいものだった。
ダヴォス近郊にセルティックという、古きスイスの伝統を残している村がある。このままその村に真っすぐ下山すれば良かったのであるが、もう一山登ればマラソンコースの60km 地点を経由するものと勘違いをして、えらい遠回りをしてしまった。
それでも、15時過ぎにはセルティックに到着した。殆ど民家もない静かな田舎である。
ホテルに戻り、シャワーを浴びてから建国記念セレモニー会場に行ってみた。しかし何もやっていない。終了したばかりのようだ。後で分かったが、14時~17時には、アルプフォンの演奏やヨーデリングもあったようだ。聴き損ねてしまった、残念。
夕食後、夕方の部があるので改めて足を運んでみる。20時から、楽団による演奏会があったがあまり楽しくなかった。その後フィナーレの打ち上げ花火が始まったが、こちらは大いに楽しめた。日本と比べ、打ち上げ間隔がやや短いようだ。
帰り路、前のホテルのヒゲの紳士に再会した。今日は3時間走ったようだ。明日帰国すると言う。来年の再会を期待して別れた。ヨーロッパ在住だと国内感覚で来れるが日本からだとちょっと……。
翌朝、ダヴォスに別れを告げる。またいつか、チャンスは有るだろうか、Swiss Alpine Marathon 。
今日の目的地はツェルマット。あの有名な憧れのマッターホルンの麓の村だ。マッターホルンにお目にかかるのは初めてではなかった。真冬のマッターホルンには、20年前に何度もお目にかかっている。今回は久しぶりの再会だ。
ダヴォスを出発した電車は途中、クール駅(Chur、Kurr)、ブリーク駅(Brig)で乗り換える。マラソン・パスの使用スペックをよく理解してなかったので、列車内でいろいろゴタゴタが発生する事になる。
自分ではKurr で乗り換えて氷河特急に乗れるとばかり思っていた。だが駅員さんの話によると、このパスは特殊なので、氷河特急には、差額分を払っても乗車できないとの事である。
乗車券売り場で相談してみると、途中2度の乗換えがあるタイムテーブルを印刷してくれた。氷河特急に乗れないのは残念だったが、スケジュールがはっきりしたので気持ちは落ち着いた。
ところが……、これがなかなかスムーズには行かない。最初の列車では問題なかった。2つ目の列車ではパスに疑問を持たれて、20分程預ける事になった。が、これも問題なかった。最後のブリーク~ツェルマットの列車では、これは使用できないと言う。
それは何故か? 理由を訊いてみた。Private Company だからだそうだ。私鉄と言う事であろう。すると、国鉄路線ならO.K.だが私鉄はN.G. という事か⁉ すると初めに乗った2つの鉄道は国鉄 (あるいは州鉄?)?
これ迄に乗車券売り場や車内でも何度も確認してきたし、実際今まで使用できている。その旨を説明したが受け入れられず、35フランを支払った。納得できなかったので、降車駅でも確認したい旨話し、名前を要求したら即座にネームプレートを見せて教えてくれた。老人であるが、実に堂々としている。とても真面目な人のようで好感は持てる。
降車後、駅で訊ねてみると3つは夫々別の鉄道会社で、3社ともPrivate Companyで初めの2社はこのパスが使用できるとの事だった。私鉄でも使用できる会社とできない会社があるという事か。
ツェルマット到着時刻が迫ってきた。あと5分。前方右側の窓の外にいきなりアップで、マッターホルンの上部が現れた。少し怖さを感じた。私は巨大な観音像でも間近で観ると怖さを感じる。何故か? 気が小さい事は確かだ。
予想以上に日本人が目立つ。ホテルは今日の分は確保できたが、明日からの分は当たった4軒とも満室だった。明日は早々に観光案内所に行かねば。




